
この記事では、電気事業法の発電事業の届出について、系統用蓄電池との関係を解説します。誰が対象になるか、複数の蓄電所を持つ場合にどう数えるか、設備ごとの手続きとの違いが分かります。
発電事業の届出とは
電気事業法では、電力網に電気を送る設備を一定規模以上持つ事業者に、発電事業の届出を求めています。系統用蓄電池も、この合計に含まれます。系統用蓄電池を含む合計の出力が1万kWを超える事業者は、発電事業の届出が必要です。
ポイントは、判断の単位が設備ではなく事業者である点です。1か所ごとの規模ではなく、その事業者が持つ設備の出力を合計して判断します。
- 保有設備を洗い出す系統用蓄電池を含め、電力網につながる設備
- 出力を合計する事業者単位で足し合わせる
- 1万kWを超えるか超えなければ届出は不要
- 超えるなら届出発電事業者としての手続きに入る
複数の蓄電所を持つ場合
高圧の系統用蓄電池で多い出力2MW級の蓄電所は、1か所だけなら合計1万kWに届きません。しかし、同じ事業者が複数か所を持つと、合計で1万kWを超えることがあります。2MW級を6か所持てば、合計は1万kWを超えます。
出力49.9kWの低圧蓄電所は1基の出力が小さく、通常の保有規模で1万kWに届くことは考えにくいものの、太陽光など他の設備とあわせて持つ事業者は、合計で確かめておくと安心です。
開発を続ける事業者は早めに確認する
蓄電所の開発を段階的に進め、複数の案件を自社で保有する計画がある場合は、どの時点で合計1万kWを超えるかを見込んでおく必要があります。届出の要否が変わる時点を把握しておけば、手続きの準備が遅れることを防げます。
設備ごとの手続きとの違い
発電事業の届出と混同しやすいのが、工事計画の届出です。工事計画は設備ごとの手続きで、出力1万kW以上または容量8万kWh以上の設備が対象です。2MW・8MWh級は該当しません。
| 手続き | 単位 | 2MW級1か所 | 2MW級を複数 |
|---|---|---|---|
| 発電事業の届出 | 事業者 | 不要 | 合計1万kW超なら必要 |
| 工事計画の届出 | 設備 | 不要 | 各設備は不要 |
| 保安規程・電気主任技術者 | 設備 | 必要 | 設備ごとに必要 |
| 消防の届出 | 設備 | 必要 | 設備ごとに必要 |
つまり、蓄電所を増やしていくと、設備ごとの手続きは1か所ずつ積み重なり、事業者単位の手続きは合計の出力で新たに必要になる、という二つの動きが起きます。
投資の形と届出の主体
発電事業の届出は、設備を持つ事業者が対象です。完成した蓄電所を投資家が買い取る形では、買い手の保有設備の合計が問題になります。特別目的会社(SPC)で案件ごとに保有する形では、各社の合計で判断することになります。どの名義で保有するかは、届出の要否にも関わります。
複数の蓄電所をまとめて取得する計画がある場合は、取得後の合計出力と届出の要否を、専門家とあわせて確かめてください。
届出の要否を確かめる手順
保有設備の合計を正しく出すには、まず電力網につながる設備を一覧にすることから始めます。系統用蓄電池だけでなく、同じ事業者が持つ発電設備も対象になり得るため、太陽光発電所などを持っている場合は、あわせて書き出してください。
次に、それぞれの設備の出力をどの数字で数えるかをそろえます。パワーコンディショナの定格出力なのか、電力会社と契約した受電電力なのかで、合計の数字が変わることがあります。数え方は、手続きの所管の案内や専門家の助言で確かめるのが確実です。
- 電力網につながる保有設備の一覧を作る
- 出力の数え方をそろえる
- 今後の取得計画を加えた合計の推移を見る
届出の要否が変わる時点を把握しておくことは、案件を取得する順番や時期を計画するうえでも役に立ちます。
発電事業の届出が必要になると、届出後も事業者として国への報告などの対応が求められます。複数の蓄電所を保有する計画では、設備の運用だけでなく、事業者としての事務の体制も含めて準備しておくと、取得を進めた段階で慌てずに済みます。外部の専門家に相談する場合も、保有設備の一覧と今後の取得計画を示せると、助言を得やすくなります。
保有の形を決める段階で、届出の要否もあわせて検討しておくと、後から体制を組み直す手間を減らせます。
まとめ
- 系統用蓄電池を含む合計の出力が1万kWを超える事業者は、発電事業の届出が必要
- 判断の単位は設備ではなく事業者で、保有設備の出力を合計する
- 2MW級1か所では不要だが、複数か所で合計1万kWを超えることがある
- 設備ごとの工事計画の届出とは別の制度として整理する
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。