
この記事では、蓄電所の費用の一つである発電側課金について解説します。発電側課金がどのような費用で、なぜ蓄電所にかかるのか、充電の電力費とどう違うのか、収支の試算で何を確かめればよいかが分かります。
託送料金とは
電気は、発電所から送電線と配電線を通って、家庭や工場に届けられます。この送配電網を運営しているのが、各エリアの一般送配電事業者です。網を使って電気を送るための料金を託送料金といい、送配電網の維持や運営の費用に充てられます。
託送料金は、従来、主に電気を使う側の料金を通じて負担されてきました。これに加えて、電気を系統に出す側にも負担を求めるのが発電側課金です。
なぜ蓄電所にかかるのか
蓄電所は、電気が余るときに充電し、足りないときに系統へ放電します。放電するとき、蓄電所は発電所と同じく、系統に電気を出す設備になります。解説ブックでは、発電側課金を「系統に放電する設備にかかる託送料金の一部」と整理し、売上から差し引く費用の一つに挙げています。
放電する設備として負う費用です。充電の電気にかかる費用とは別に考えます。
充電にかかる費用との違い
蓄電所には、電気を出す側と使う側の両方の顔があります。そのため、費用も二つの方向から発生します。
| 方向 | 主な費用 | 中身 |
|---|---|---|
| 放電(出す) | 発電側課金 | 系統に放電する設備にかかる託送料金の一部 |
| 充電(使う) | 充電の電力費・損失 | 往復の効率の分だけ電気を買い足す。託送料金、再エネ賦課金がかかる場合がある |
充放電の往復の効率は85〜90%程度で、その差の分の電気を買い足す費用が充電の側で発生します。発電側課金は、それとは別に、放電する側として負う費用です。試算を見るときは、両方が入っているかを分けて確かめると漏れを防げます。
収益の構造との関係
蓄電所の収入の中心は、需給調整市場で出力を出せる状態を保つ待機の対価です。卸電力市場の値差は副次的な位置づけです。収入の中心が待機であっても、実際に放電する場面はあり、放電した分には電気を出す側としての費用が伴います。
運用の計画はアグリゲーターが立てるため、どの程度放電する前提で費用を見込んでいるかは、アグリゲーターや事業者の試算で確かめることになります。
試算で確かめること
- 発電側課金が費用の欄に入っているか
- 充電の電力費と、託送料金・再エネ賦課金の扱いが分けて示されているか
- どの程度放電する前提で見込んでいるか
- 制度の見直しがあった場合に、誰が負担を受け持つ契約か
料金の水準や算定の方法は、制度の見直しで変わることがあります。最新の水準は、各一般送配電事業者が公表する資料で確かめてください。
費用の全体の中での位置づけ
発電側課金は、蓄電所の売上から差し引く費用の一つです。ほかに、アグリゲーター手数料、充電の電力費と損失、保守・監視、保険、固定資産税(償却資産)、借地の場合の地代、劣化と更新、撤去の費用があります。
このうち発電側課金は、運用の仕方によって金額が変わる費用です。保険や固定資産税のように、設備を持っているだけで決まる費用とは性格が違います。どれだけ放電するかはアグリゲーターの運用計画によるため、費用の見込みも運用の前提とセットで確かめる必要があります。
アグリゲーターとの契約では、手数料の計算の基礎が売上か運用益かが問題になります。運用益を基礎にする場合、発電側課金や充電の電力費を差し引いた後の金額に手数料がかかるのかどうかで、手取りは変わります。費用の項目と手数料の計算の順番を、契約書で一度通して確かめておくことが大切です。
費用の項目が多いほど、どれか一つが試算から抜けても気づきにくくなります。発電側課金のように名前だけでは中身が分かりにくい費用こそ、何に対して払うものかを理解しておくと、試算の見落としを防げます。
名前に「発電」と付いているため、発電所だけの費用と思われがちですが、蓄電所も放電する限り対象になります。蓄電所を電気を使う設備としてだけ見ていると、この費用を見落としやすくなります。
試算に発電側課金の行が見当たらない場合は、ほかの費用にまとめて含めているのか、そもそも入っていないのかを事業者に確かめます。どちらなのかで、手取りの見込みは変わります。
まとめ
- 発電側課金は、系統に放電する設備にかかる託送料金の一部です。
- 蓄電所は放電するとき電気を出す設備になるため、この費用の対象になります。
- 充電の電力費とは別の費用として、試算で分けて確かめます。
- 水準は制度の見直しで変わるため、最新の公表資料を確認します。
出典
- 系統用蓄電池 解説ブック2026(高圧編)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。