
この記事では、JC-STAR★1がどのような認証で、蓄電所ではいつから、どの機器に求められる予定なのかが分かります。高圧・特別高圧と低圧で開始の基準が違う点と、機器選定で確かめることを整理します。
JC-STAR★1とは
JC-STARは、ネットワークにつながる機器のサイバーセキュリティ認証です。★1は基本的な水準を示します。蓄電所は遠隔で監視し、アグリゲーターの指令で出力を変えるため、PCS(パワーコンディショナ)や通信機器が外部とつながります。電力網の安定にかかわる設備であることから、機器の安全性を一定の水準で担保する狙いがあります。
JC-STARは蓄電所に限った制度ではなく、ネットワークにつながる機器全般を対象にした認証の仕組みです。蓄電所では、制御に通信を使うPCSなどが主な対象になります。
いつから、何に求められるのか
求められる時期は、高圧・特別高圧と低圧で基準が異なります。
高圧・特別高圧
- 2027年4月1日以降に受け付ける契約申込みから
- 基準は「申込みの受付日」
- PCSなどが対象
低圧
- 2027年10月以降に新たに連系する設備から
- 基準は「連系の時期」
- PCSなどが対象
いずれも2026年10月時点の予定。詳細は今後の公表を確認する。
基準の違いに注意する
高圧・特別高圧は申込みの受付日で区切られるため、2027年3月までに受け付けられた申込みは対象外となる見込みです。一方、低圧は新たに連系する時期で区切られるため、申込みが早くても連系が2027年10月以降になれば対象になります。低圧の案件で工期が延びた場合には、この点を意識しておく必要があります。
補助金との関係
国の系統用蓄電システム等導入支援事業では、すでにPCS・EMS・BMSにJC-STAR★1の適合が要件となっています。補助金を使う高圧案件では、制度上の義務化より前に対応品を選ぶことになります。
機器を選ぶときの確認点
認証の義務化前に発注する案件でも、将来の売却や増設を考えると、対応品を選んでおくと安心です。機器の提案を受けたら、次の点を確かめます。
- PCS・通信機器・EMSなど、どの機器が認証を取得済みか、取得予定か
- 取得予定の場合、いつ頃の見込みか
- ソフトウェアの更新や脆弱性への対応を、誰がどの期間行うか
- メーカーと型番、電池・PCS・通信機器それぞれの保証範囲と年数
投資判断への影響
認証そのものが収益を増やすわけではありませんが、対応していない機器では連系や補助金の要件を満たせない可能性があります。案件を比べるときは、価格だけでなく機器の認証の状況も同じ表に並べて確認しておくと、後からの手戻りを避けやすくなります。
なぜ機器の認証が求められるのか
蓄電所は、アグリゲーターから受け取る指令に従って、指令から短い時間で出力を変えます。需給調整市場の一次調整力では、周波数の変化に素早く応じることが求められます。こうした制御は通信を通じて行われるため、通信機器やPCSが不正に操作されると、設備だけでなく電力網の安定にも影響が及ぶおそれがあります。
再エネが増えるにつれて、調整力の担い手は火力から蓄電池へ移りつつあります。多数の蓄電池が調整力を担うようになれば、一台ごとの機器の安全性が電力網全体の安全性につながります。高圧から低圧まで、新しく連系する設備に認証を求める流れは、この背景から理解できます。
低圧で特に意識したい点
低圧の蓄電所は、アグリゲーターが多数の設備を束ねて需給調整市場に入札します。一つの設備の出力は小さくても、束ねられた設備全体が同じ通信の仕組みで制御されるため、機器の安全性はまとまった規模の問題になります。低圧では、現在は接続検討も保証金もなく、契約申込みと同時に容量が確保される扱いですが、この扱いは国の審議会で見直しの議論が続いています。ルールが変わる前提で、機器は認証への対応を見込んで選んでおくと、後からの入れ替えを避けやすくなります。
認証の要件は、今後の公表で細部が変わる可能性があります。発注の時期が近づいたら、最新の情報を確認し、提案を受けている機器がどの時点の要件を満たすのかを、メーカーや施工会社に書面で確かめておくと安心です。
まとめ
- JC-STAR★1はネットワークにつながる機器のサイバーセキュリティ認証
- 高圧・特別高圧は2027年4月以降受付の申込みから、低圧は2027年10月以降の新規連系から求められる予定
- 国の補助金ではPCS・EMS・BMSの適合がすでに要件
- 機器の提案では、認証の取得状況と保証範囲を確かめる
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 系統用蓄電池 解説ブック2026 高圧編(第9章、第10章)
- 系統用蓄電池 解説ブック2026 低圧編(ルールの変化)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。