
この記事では、系統用蓄電池の補助金を使う場合の手順と、発注の順序についての注意を説明します。補助金は金額の大きさに目が向きがちですが、いつ発注できるか、受けた後に何が制約されるかを先に理解しておくことが大切です。
国と東京都の補助制度の対象
国の「系統用蓄電システム等導入支援事業(令和7年度補正)」は、出力1,000kW以上が対象です。リチウムイオン電池で1万kW未満は補助率1/3、上限10億円とされています。公募は2026年9月4日から11月4日までで、交付決定は2027年1月上旬の予定です。1社2件までという制限もあります。
東京都の系統用大規模蓄電池の助成(令和8年度)は、東京電力管内の系統に直接つなぐ蓄電池が対象で、補助率2/3以内、上限20億円です。都内に本店か支店を置く法人が対象で、2026年度の受付は9月30日で終了しています。
交付決定の前に発注しない
補助の対象は、交付決定の後に契約・発注した設計、設備、工事です。交付決定より前に発注したものは対象になりません。そのため、補助金を使う場合は、交付決定を待ってから発注と建設に進む順序になります。すでに完成した蓄電所を買う形とは両立しにくい点にも注意が必要です。
- 公募に申請所有者本人が電子申請
- 交付決定ここまで発注しない
- 発注・建設相見積りを取って発注
- 完了報告実績を報告して受給
- 一定期間の管理売却・担保に承認が要る
交付決定前に契約・発注した設計、設備、工事は補助の対象になりません。
申請にあたっての主な条件
- 申請者は設備の所有者本人で、代理申請はできません。GビズIDプライムを使った電子申請です。
- 申請までに自治体や地権者との協議を始めていることが求められます。敷地境界から100m以内への説明会が必要になる場合があります。
- PCS・EMS・BMSには、機器のサイバーセキュリティ認証であるJC-STAR★1の適合が必要です。
- 発注ごとに相見積りが要ります。
受けた後の制約
補助を受けた設備は、一定期間、売却・譲渡・担保設定に承認が要ります。運用の途中で売却したい場合や、設備を担保に融資を受けたい場合は、事前に承認を得る手続きが必要です。投資の出口や資金調達の計画を立てるときは、この制約も含めて考えます。
補助金を使うかどうかの考え方
補助金を使えば初期の負担は軽くなりますが、交付決定までの待ち時間、発注の順序、受給後の制約が加わります。開発権を買って自分で設備と工事を発注する形は、補助金と組み合わせやすい入り方です。一方、完成品を買う形や、早く運転を始めたい場合は、補助金を前提にしない判断もあり得ます。出力1,000kW未満の低圧蓄電所は、これらの補助制度の対象外です。
よくある誤解
完成品を買っても補助金が使える:補助の対象は交付決定後に契約・発注した設計、設備、工事なので、すでに完成した蓄電所を買う形とは両立しにくいとされています。補助金を使いたい場合は、開発権を買って自分で発注する形など、交付決定の後に発注できる進め方を選ぶ必要があります。
申請は販売会社に任せられる:申請者は設備の所有者本人で、代理申請はできません。準備の支援を受けることはあっても、申請そのものは所有者が行います。
受け取った後は自由に使える:補助を受けた設備は、一定期間、売却・譲渡・担保設定に承認が要ります。融資の担保に入れる計画がある場合は、資金調達の段取りにも影響します。
スケジュールの組み方
補助金を使う場合は、公募期間、交付決定の予定時期、その後の発注と建設の期間を並べてスケジュールを組みます。系統接続の手続きも並行して進むため、連系承諾や工事費負担金の支払いの時期と、補助金の手続きの時期が重なる点を整理しておきます。交付決定が遅れれば発注も遅れるため、運転開始の時期に余裕を持たせることが大切です。
補助金を使うかどうかは、金額だけでなく、発注の時期、運転開始の時期、出口の計画を並べて比べると判断しやすくなります。条件の詳細は公募要領で必ず確認します。
不明な点は、申請の前に公募の窓口や顧問税理士などの専門家に確かめておくと、手戻りを防げます。
補助金の制度は年度ごとに内容が見直されることがあるため、検討の時点で最新の公募情報を確かめることも欠かせません。
まとめ
- 国の系統用蓄電システム等導入支援事業は出力1,000kW以上が対象です。
- 補助の対象は交付決定後に契約・発注したものなので、発注は交付決定を待ちます。
- 申請は所有者本人で、相見積りやJC-STAR★1の適合などの条件があります。
- 受給後は一定期間、売却・譲渡・担保設定に承認が要ります。
出典
- 系統用蓄電池 解説ブック2026(高圧編)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。