この記事は2026年10月時点の情報です。令和6年度(令和5年度補正予算)のものづくり補助金は、第17次締切から「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))」「グローバル枠」の新しい枠構成で実施されました。ものづくり補助金の公募は第23次締切(2026年5月8日締切)で終了しており、2026年10月時点で新規の受付は行われていません。「最大1億円」の省力化(オーダーメイド)枠の流れは「中小企業省力化投資補助金(一般型)」に、製品・サービス開発や海外展開の支援は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(第1回の申請締切 令和8年10月30日18時)に引き継がれています。
本記事では、令和6年度のものづくり補助金で何が変わったのかを過去の実績として整理し、2026年度に同じ目的の設備投資を行う場合に使える後継制度の枠と補助上限額を、公募要領などの公式資料に基づいて解説します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者等が行う革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する補助金です。令和6年度の公募は、令和5年度補正予算「中小企業生産性革命推進事業」として実施されました。
令和6年度(第17次・第18次締切)の枠構成
第17次締切(申請締切 2024年3月1日)は省力化(オーダーメイド)枠のみの公募で、第18次締切(申請締切 2024年3月27日)では省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の3枠が公募されました。
省力化(オーダーメイド)枠:最大1億円
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組を支援する枠です。オーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて事業者の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムを指します。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業は対象外でした。
| 従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例の上乗せ |
|---|---|---|
| 5人以下 | 100万円〜750万円 | 最大250万円 |
| 6〜20人 | 100万円〜1,500万円 | 最大500万円 |
| 21〜50人 | 100万円〜3,000万円 | 最大1,000万円 |
| 51〜99人 | 100万円〜5,000万円 | 最大1,500万円 |
| 100人以上 | 100万円〜8,000万円 | 最大2,000万円 |
補助率は、補助金額1,500万円までの部分が中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3、1,500万円を超える部分は1/3でした。「最大1億円」は、従業員100人以上の事業者が大幅賃上げ特例を適用した場合の上限です。追加要件として、3〜5年の事業計画期間内に労働生産性を設備投資前の2倍以上とすること、投資回収可能な事業計画とすることなどが求められていました。
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))
革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠です。成長分野進出類型は、DXまたはGXに資する革新的な製品・サービス開発が対象でした。GXは、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で実行計画が策定されている14分野の課題の解決に資する開発であることが要件です。
| 類型 | 従業員5人以下 | 6〜20人 | 21人以上 | 補助率 |
|---|---|---|---|---|
| 通常類型 | 100万円〜750万円 | 100万円〜1,000万円 | 100万円〜1,250万円 | 中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3 |
| 成長分野進出類型(DX・GX) | 100万円〜1,000万円 | 100万円〜1,500万円 | 100万円〜2,500万円 | 2/3 |
大幅賃上げ特例を適用した場合は、従業員5人以下で最大100万円、6〜20人で最大250万円、21人以上で最大1,000万円が上限に上乗せされました。両類型とも、3〜5年の事業計画期間内に新製品・サービスの売上高の合計額が企業全体の売上高の10%以上となる事業計画を策定することが要件でした。
グローバル枠
海外への直接投資、海外市場開拓(輸出)、インバウンド対応、海外企業との共同事業により、国内の生産性を高める取組みを支援する枠です。補助金額は100万円〜3,000万円、補助率は中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3でした。
令和6年度の基本要件
第17次締切の公募要領では、すべての枠に共通して、次の要件をすべて満たす3〜5年の事業計画を策定することが求められていました。
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること
- 事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させること
その後の変遷と公募の終了
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 第17次締切(2024年3月1日締切) | 省力化(オーダーメイド)枠のみの公募 |
| 第18次締切(2024年3月27日締切) | 省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))、グローバル枠 |
| 第23次締切(2026年5月8日締切) | 製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠の2枠。ものづくり補助金としての最後の公募 |
| 2026年度 | 新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ |
第23次締切の製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額は、従業員数1〜5人で750万円、6〜20人で1,000万円、21〜50人で1,500万円、51人以上で2,500万円、グローバル枠は3,000万円でした。第23次締切の採択結果は、申請者数1,275者、採択者数448者(2026年8月7日公表)です。
2026年度に省力化の設備投資を行う場合:中小企業省力化投資補助金(一般型)
オーダーメイド設備などによる省力化投資は、現在は独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業省力化投資補助金(一般型)」が対象としています。一般型は、事業者の現場や業務に応じたオーダーメイド性のある設備やシステムの導入に活用できます。
| 従業員数 | 補助上限額(大幅賃上げ特例適用時) |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
補助率は中小企業1/2(最低賃金引上げ特例の適用時は2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3です。第8回公募は2026年10月16日17時に締め切られました。公式サイトでは、第9回公募を11月上旬に開始し、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に申請締切とする予定が案内されています(詳細は後日公表)。
2026年度に製品・サービス開発や海外展開を行う場合:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
革新的な製品・サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた設備投資等は、中小企業基盤整備機構の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が対象です。公式サイトでは、旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金であると案内されています。
| 枠 | 補助上限額(括弧内は賃上げ特例適用時) | 補助率 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 従業員1〜5人:750万円(850万円)/6〜20人:1,000万円(1,250万円)/21〜50人:1,500万円(2,500万円)/51人以上:2,500万円(3,500万円)。下限100万円 | 中小企業者1/2(2/3)、小規模企業・小規模事業者、再生事業者2/3 |
| 新事業進出枠 | 従業員1〜20人:2,500万円(3,000万円)/21〜50人:4,000万円(5,000万円)/51〜100人:5,500万円(7,000万円)/101人以上:7,000万円(9,000万円)。下限750万円 | 1/2(2/3) |
| グローバル枠 | 新事業進出枠と同じ。下限750万円 | 2/3 |
補助率の括弧内は、地域別最低賃金引上げ特例を適用した場合です。第1回公募のスケジュールは、公募開始が令和8年6月29日、申請受付が令和8年9月30日から、申請締切が令和8年10月30日(金)18時、採択発表は令和9年1月頃の予定です。
基本要件として、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率4.0%以上、従業員一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とすることなどが求められます。令和6年度のものづくり補助金と比べ、賃上げに関する要件が引き上げられています。
GX(脱炭素)分野の開発を計画する場合の注意点
令和6年度の成長分野進出類型(DX・GX)のようなGXに特化した類型は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募には設けられていません。省エネ性能に優れた製品の開発など脱炭素に関わる取組でも、各枠の要件(革新的な新製品・新サービスの開発であること、新市場性・高付加価値性があることなど)を満たす必要があります。また、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備とその一体不可分の附属設備は補助対象外経費とされています。
補助対象となる中小企業者の範囲
中小企業基本法上の中小企業者の定義は次のとおりです(資本金基準と従業員数基準のいずれかを満たせば該当)。各補助金の対象者の範囲や、みなし大企業の扱いなどは、それぞれの公募要領で確認してください。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
小規模企業者は、製造業その他で従業員20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下の事業者です。
申請前に準備しておきたいこと
- GビズIDプライムアカウントの取得:いずれの補助金も電子申請で、GビズIDプライムアカウントが必要です。発行には時間がかかるため、早めに取得しておきます。
- 賃上げ計画の検討:後継制度では、給与支給総額や事業場内最低賃金に関する要件が設けられており、目標未達の場合は補助金の返還を求められる場合があります。
- 交付決定前の発注は対象外:補助事業は交付決定後に開始する必要があり、交付決定日より前に契約(発注を含む)した経費は補助対象になりません。
- 補助金は後払い:実績報告と確定検査を経てから補助金が支払われるため、設備代金を立て替える資金計画が必要です。
まとめ
令和6年度のものづくり補助金では、最大1億円の省力化(オーダーメイド)枠の新設や、成長分野進出類型(DX・GX)を含む製品・サービス高付加価値化枠への再編が行われました。ものづくり補助金自体は第23次締切で公募を終えており、2026年度は、省力化投資は中小企業省力化投資補助金(一般型)、製品・サービス開発や新事業・海外展開は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が受け皿となっています。申請を検討する際は、各公式サイトの最新の公募要領で要件と締切を確認してください。
参考資料
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)(PDF)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(18次締切分)(PDF)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次公募要領を公開しました(中小企業庁)
- ものづくり補助金 採択結果
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)(中小企業基盤整備機構)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業基盤整備機構)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)(PDF)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました(中小企業庁)
- 中小企業・小規模企業者の定義(中小企業庁)
著者のプロフィール
- 小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。
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