
この記事では、蓄電所に投資するときの入り方を4つの型に分けて説明します。お金、時間、手間のどれを使うかで、選ぶ型が変わります。型ごとに抱えるリスクと必要な手間、向いている方の違いが分かります。
入り方で変わるのはリスクの引き受け方
蓄電所は、用地の確保、系統への接続の手続き、設備の発注と建設、市場での運用という段階を経て収入を生みます。高圧の蓄電所では、用地の確保から運転開始まで18〜24か月かかるのが一般的です。どの段階で投資に入るかによって、引き受けるリスクと、自分で担う手間が変わります。
早い段階で入るほど価格は抑えやすい一方、接続できない、期間が延びる、といったリスクを自分で負うことになります。遅い段階で入るほど、運転開始の時期が読みやすくなります。
4つの型の違い
完成品を買う
- 接続と建設を終えた蓄電所を取得
- 運転開始の時期が読みやすい
- 手続きを任せたい方向け
開発権を買って建てる
- 土地と接続の地位を取得
- 設備と工事は自分で発注
- 機器を選び、補助金も使える
自分の土地で開発
- 事前相談・接続検討から進める
- 最も安く作れる
- 2年以上かかり、接続できないことも
4つめの型として、複数か所を一つの計画で取得する「まとめて持つ」があります。
1. 完成品を買う
接続と建設を終えた、または終える予定の蓄電所を一括で取得します。土地、工事費負担金、設備、工事がまとめて含まれるのが一般的です。運転開始の時期が読みやすく、手続きの手間はほとんどかかりません。早く運転を始めたい方、手続きを任せたい方に向いています。
2. 開発権を買って建てる
土地と、系統接続の手続きを進めた地位を取得し、設備と工事は自分で発注します。EPC(設計・調達・建設)を担う工事会社や機器を自分で選べ、補助金や税制を組み合わせやすい型です。補助金は交付決定の後に契約・発注した設備が対象のため、完成品の取得とは両立しにくく、この型と相性がよいとされます。
3. 自分の土地で開発する
保有地で、一般送配電事業者への事前相談・接続検討から進めます。最も安く作れる可能性がある一方、2年以上かかり、接続できないこともあります。適した土地をお持ちの方に向いています。
4. まとめて持つ
複数か所を一つの計画で取得します。価格交渉の余地が広がり、法人で本格的に事業化する方に向いています。
開発権を買う場合のお金の流れ
完成品を買う型では、これらが一括の取得価格にまとまります。
どの型でも確かめること
型にかかわらず、案件を比べる際は価格の中身を揃えることが大切です。土地、工事費負担金、設備、工事、税が含まれているかで、同じ規模でも価格は大きく違って見えます。接続の手続きがどこまで進んでいるかは、接続検討の回答書、契約申込みの受付と保証金の入金の証憑、連系承諾の書面で確かめます。
持ち方は、個人より法人、または事業ごとに特別目的会社(SPC)を作って持つのが一般的です。資金は自己資金のほか、銀行の長期の融資、リース、ファンドがあります。
型を選ぶときの考え方
どの型が適しているかは、使えるお金、待てる時間、かけられる手間の組み合わせで決まります。
- 時間を優先する:運転開始の時期が読みやすい完成品が候補になる
- 機器や補助金を自分で選びたい:開発権を買って建てる型が候補になる
- 適した土地を持っている:自分の土地で開発する型が候補になる。ただし時間と接続の不確かさを受け入れる必要がある
- 事業として規模を持ちたい:まとめて持つ型が候補になる
2026年のルール変更で、接続の手続きを終えた案件とそうでない案件の差ははっきりしてきました。早い段階で入る型を選ぶ場合は、手続きのどこで止まり得るかを理解し、止まったときの扱いを契約で決めておくことが欠かせません。
低圧蓄電所の場合
出力49.9kW級の低圧蓄電所は、1基あたりの規模が小さく、エリアや時期を分けて複数基を持つこともできます。完成品に近い形で取得するのが一般的で、補助金を前提にしないため、発注や売却を自由に決められるのが特徴です。ただし、隣り合う区画をまとめて持つと分割設置と判断されるおそれがあるため、離れた場所に1基ずつ持つのが確実です。
いずれの型でも、売り手から受け取る書面の範囲と、手続きの進み具合を同じ物差しで並べることが、比較の出発点になります。
まとめ
- 入り方は、完成品・開発権・自社開発・まとめて持つの4つの型に分けられる
- 早い段階で入るほど価格は抑えやすいが、接続や期間のリスクを自分で負う
- 開発権の型は機器を選べ、補助金を組み合わせやすい
- どの型でも、価格の中身と接続の進み具合を書面で揃えて比べる
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。