
この記事では、低圧蓄電所の分割設置の規制について、土地を貸す・売る地主の立場から説明します。どのような場合に分割と判断されやすいのか、道路や水路で隔てられた土地はどう扱われ得るのか、区画を分けるときに何を確かめればよいのかが分かります。
分割設置とは
電気事業法の規則では、本来ひとつの設備を複数の低圧に分けて連系することを分割設置として規制しています。高圧で接続すべき規模の設備を、低圧の区画に分けることで、高圧の手続きや設備を避けることを防ぐための規制です。系統用蓄電池も、2023年4月からこの規制の対象になりました。
低圧の区画を並べて、実質的に高圧の規模にすることは規制の対象です。判断するのは一般送配電事業者で、申込み後の審査の中で行われます。
分割と判断されやすい場合
資源エネルギー庁のQ&Aでは、次のような場合に分割と判断されやすいとされています。
- 隣り合う区画で、設置者が同じ
- 隣り合う区画で、土地の所有者(登記簿上の名義)が同じ
- 申込みの年度から遡って1年以内の名義も見られる
- 所有者が別でも、土地が実質的に一つの場所と認められる
地主の方にとって注意したいのは、土地の名義の点です。一つの土地を分筆して複数の区画にし、それぞれを別の事業者に貸したとしても、もとの名義が同じであれば分割と判断されやすくなります。
「特段の理由」になり得る場合
一方で、区画どうしが道路や河川、自治体が管理する水路などで物理的に隔てられている場合は、「特段の理由」として分割に当たらないと判断され得ます。
分割と判断されやすい
- 設置者が同じ
- 土地の登記名義が同じ
- 1年以内の名義も見られる
- 実質的に一つの場所
特段の理由になり得る
- 道路で隔てられている
- 河川で隔てられている
- 自治体が管理する水路で隔てられている
最終的な判断は一般送配電事業者が申込み後の審査で行います。
ルールは見直しの議論が続いている
低圧の系統用蓄電池の申込みは急増しており、国の審議会では分割設置の対策の見直しが議論されています。2026年10月の審議会では、名義を遡って確かめる期間を1年から5年に延ばす案などが議論されました。10月時点では未決定ですが、今後ルールが厳しくなる可能性を前提に考えておくのが安全です。
区画を分けて貸す・売るときに確かめること
- 区画の位置関係:隣り合っているか、道路や水路で隔てられているか
- 名義の履歴:分筆や名義変更をした時期。過去の名義も審査で見られる
- 相手の事業者:同じ事業者が隣の区画にも設置する計画になっていないか
- 設備の名義:区画ごとに設備の所有者が分かれているか
- 契約の取り決め:分割と判断されて連系できなかった場合の扱い
複数基を持ちたい事業者にとっては、離れた場所に1基ずつ置くのが確実な方法です。地主の方も、大きな土地をまとめて区画に分けるより、一つの区画として貸す・売る形を基本に考えると、後のトラブルを避けやすくなります。
投資家が区画を取得するときの見方
投資家の方が低圧蓄電所の区画を取得する場合も、分割設置の確認は欠かせません。隣り合う区画を別々の買い手に売る案件では、土地と設備の名義が区画ごとに分かれているかを確かめてください。申込みの後の審査で分割と判断されれば、連系できない、または計画の見直しが必要になるおそれがあります。
すでに連系の承諾を得た区画は、それだけで手続きの不確かさが小さくなっています。ルールが変わる前に承諾を得た区画は価値が上がるとも考えられます。一方、これから申し込む区画は、審査の結果と今後のルールの見直しの両方の影響を受けます。区画の位置関係、名義の履歴、承諾の有無を、書面で確かめたうえで比べることが大切です。
一つの区画として扱う選択肢
大きな土地をお持ちの場合でも、低圧の区画に分けるのではなく、一つの区画として低圧蓄電所を1基置く、あるいは広さに見合う高圧の蓄電所の用地として提供する、といった選択肢があります。区画を分けることで得られる利点と、分割と判断されるリスクを比べて、事業者と相談しながら決めることが大切です。
判断に迷う場合は、区画の図面と登記簿を用意して、事業者に早めに相談してください。
まとめ
- 本来ひとつの設備を低圧に分けて連系する分割設置は規制の対象で、系統用蓄電池も2023年4月から含まれる
- 隣接区画で設置者や登記名義が同じだと分割と判断されやすい
- 道路・河川・自治体管理の水路で隔てられていれば特段の理由になり得る
- 名義を遡る期間を延ばす案が議論されており、区画を分ける計画は慎重に確かめる
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 資源エネルギー庁「発電等設備の分割対策に関するQ&A」(2026年6月)
- 資源エネルギー庁 次世代電力系統ワーキンググループ 資料(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。