
系統用の蓄電所は、高圧の2MW級でも低圧の49.9kWでも、保安規程の届出と電気主任技術者の選任が必要で、どちらも外部委託ができます。違いは、保安の対象になる設備の構成と、ほかに必要な手続きにあります。
低圧でも電気主任技術者は必要か
必要です。系統用の蓄電所は事業用電気工作物として扱われ、保安規程の届出と電気主任技術者の選任(外部委託可)が求められます。低圧の太陽光と同じ感覚で「低圧なら不要」と考えると、手続きの抜けにつながります。
高圧(2MW・8MWh級)
- 保安規程の届出が必要
- 主任技術者の選任。外部委託可
- 高圧受変電設備・変圧器を含む
- 工事計画の届出は対象外
低圧(49.9kW・200kWh級)
- 保安規程の届出が必要
- 主任技術者の選任。外部委託可
- キュービクルは不要
- 連系盤・計器が中心
高圧ではどのような手続きが加わるか
高圧では、保安の対象となる設備が多くなります。主な設備は、蓄電池コンテナ、PCS、変圧器、高圧受変電設備、EMS、遠隔監視の通信設備です。工事計画の届出は出力1万kW以上または容量8万kWh以上が対象で、2MW・8MWhは該当しません。また、系統用蓄電池を含む合計の出力が1万kWを超える事業者は発電事業の届出が必要です。複数か所をまとめて持つ場合は、合計の出力も確認します。
外部委託ではどのような点を確かめるか
外部委託では、契約の範囲と費用、異常時の対応を確かめます。保守・監視の費用には、定期点検、遠隔監視、通信費、電気主任技術者の外部委託が含まれ、収支の試算の費用項目に入っているかを確認します。
| 確認すること | 見方 |
|---|---|
| 委託の開始時期 | 運転開始の前に選任と保安規程の届出が済む工程か |
| 点検の内容 | 定期点検の頻度と、蓄電池・PCSの点検を含むか |
| 異常時の対応 | 遠隔監視の通知を受けて誰が現地に向かうか |
| 費用の計上 | 収支の試算の保守・監視費に含まれているか |
| 契約の名義 | 設備の所有者の名義で結ぶか、売却時に引き継げるか |
手続きはどの段階で進めるか
主任技術者の選任と保安規程の届出は、建設の段階で消防への届出と並行して進めます。高圧では、機器の発注から据付、試験まで6〜12か月の間に、消防への届出、保安規程の届出、電気主任技術者の選任(外部委託)を並行して進めるとされています。低圧でも、施工と届出の段階で同じ手続きを済ませ、連系・試運転に進みます。
複数基を持つ場合の注意は何か
低圧で複数基を持つ場合は、基ごとに保安の手続きと委託契約が必要になる点を収支に織り込みます。また、離れた場所に1基ずつ置くのが分割設置の規制の点で確実とされているため、点検の移動距離も含めて委託先と相談しておくと、費用の見通しが立てやすくなります。
主任技術者の基本は電気主任技術者とはで、高圧の保守契約は高圧蓄電所の保守契約と主任技術者で扱っています。
投資家が主任技術者について売り手に確かめることは何か
売り手には、選任の予定者と委託先、保安規程の届出の予定時期、委託費が収支の試算に入っているかを確かめます。完成品を買う場合は、運転開始の時点で選任と届出が済んでいるか、所有者が変わったときに委託契約と保安規程の届出をどう引き継ぐかも確認が必要です。
低圧の区画を買う場合は、販売会社が委託先を紹介するのか、オーナーが自分で探すのかを確かめます。アグリゲーター契約と同じく、保安の委託も設備の所有者の名義で結ぶ形になることがあるため、購入前に書面で条件を確認しておくと安心です。
委託費は収支のどこに表れるか
委託費は、保守・監視の費用として毎年の費用に入ります。低圧は出力が小さいため、売上に対する固定費の割合が高圧より大きくなりやすく、委託費の水準が収支に与える影響も相対的に大きくなります。収支の試算で保守・監視費がどの前提で置かれているかを確認します。
まとめ
- 系統用の蓄電所は高圧・低圧とも事業用電気工作物で、保安規程の届出と主任技術者の選任が必要です。
- どちらも外部委託ができ、点検の内容と異常時の対応、費用の計上を契約で確かめます。
- 高圧は受変電設備を含み、合計1万kW超では発電事業の届出も確認が必要です。
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。