
2MW級の蓄電所の運転後の管理は、設備を動かし続けるためのO&M契約と、法令上の保安を担う電気主任技術者の外部委託に分けて考えます。両者の範囲と責任を契約で明確にしておくことが、事故や停止の際の対応を左右します。
2MW級の蓄電所に電気主任技術者は必要ですか
必要です。事業用電気工作物として、保安規程の届出と電気主任技術者の選任が求められます。
2MW級は電気主任技術者の外部委託が可能です。なお、工事計画の届出は出力1万kW以上または容量8万kWh以上が対象であり、2MW・8MWhは該当しません。制度の詳細は電気主任技術者と保安規程で解説しています。
O&M契約には何を含めますか
定期点検、遠隔監視、通信、不具合時の駆け付けと修理の手配が中心です。
蓄電所の運用費用の中で、保守・監視には定期点検、遠隔監視、通信費、電気主任技術者の外部委託が含まれます。これらを一つの会社にまとめて委託するか、項目ごとに分けて委託するかで、契約の組み方が変わります。O&Mの範囲の全体像は蓄電所のO&Mに含まれるものにまとめています。
O&M会社
- 定期点検と清掃
- 遠隔監視と通信
- 不具合時の駆け付け・修理手配
電気主任技術者(外部委託)
- 保安規程に沿った点検
- 事故時の判断と報告
- 工事の際の保安の監督
アグリゲーター
- 市場への入札
- 充放電の制御
- 実働試験と市場登録
保安規程の届出とどう関係しますか
保安規程は、設備の所有者が定めて届け出る保安の決まりで、O&M契約の内容と整合している必要があります。
保安規程で定めた点検の頻度や記録の方法を、O&M会社と外部委託の電気主任技術者が実際に担う形になります。保安規程の届出はEPCの工事と並行して運転開始前に進めるため、O&M契約もその時期までに内容を固めておくことが望まれます。
契約で特に確認する点は何ですか
責任の境目、対応時間、費用の範囲の3点です。
- 責任の境目:EPCの瑕疵保証、機器メーカーの保証、O&Mの対応のどれに当たるかの区分
- 対応時間:遠隔監視で異常を検知してから駆け付けるまでの時間
- 費用の範囲:定額に含まれる作業と、別途請求になる修理・部品交換
停止の期間は収入の減少に直結します。アグリゲーター契約のペナルティの条件とあわせて、停止時の責任が誰にあるかを一貫して読める契約にしておきます。
費用はどのように見込めばよいですか
保守・監視の費用は、運用費用の一つとして毎年の収支に計上します。
運用費用には、保守・監視のほか、アグリゲーター手数料(収益の10%前後が多い)、充電の電力費と損失、発電側課金、保険、固定資産税、土地の賃料などがあります。保守・監視の費用は比較的安定していますが、部品交換や修理が定額に含まれない契約では、年によって費用が変動します。複数年の契約か、更新の条件はどうか、物価に応じた改定の条項があるかも確認しておきます。保険の範囲は{“蓄電所の保険の考え方“}で整理しています。
外部委託の電気主任技術者とO&M会社が別の会社になる場合は、点検の記録をどちらが保管し、所有者にどの頻度で報告するかも契約に定めておくと、保安規程の運用が明確になります。
まとめ
- 2MW級は保安規程の届出と電気主任技術者の選任が必要で、主任技術者は外部委託が可能です
- O&M契約は点検・遠隔監視・通信・修理手配を担い、保安規程の内容と整合させます
- EPCの瑕疵保証・機器保証・O&Mの責任の境目と、対応時間・費用の範囲を契約で明確にします
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出典
- 電気事業法(保安規程・電気主任技術者)
- 経済産業省 電気保安に関する資料
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。