
「〇〇億円投資」という見出しの金額は、出力1MWあたり・容量1MWhあたりに割り直すと、規模の違う案件や自分の検討と比べられます。割る前に、金額に何が含まれているかと、補助金の前か後かをそろえることが前提です。
なぜ総額のままでは比べられないのですか?
蓄電所は規模の幅が大きく、総額は規模の違いをそのまま映すためです。
低圧の49.9kWから、高圧の2MW級、特別高圧の大型案件まで、蓄電所の規模は数百倍の幅があります。総額が大きいことは規模が大きいことを示すだけで、割高か割安かは分かりません。出力や容量あたりに直すことで、初めて同じ物差しに乗ります。
換算はどのような手順で行いますか?
総額の中身をそろえ、出力と容量の両方で割ります。
- 総額の中身を確かめる土地・工事費負担金・税を含むか
- 補助金をそろえる差し引く前か後か
- 出力で割る1MWあたりの金額
- 容量で割る1MWhあたりの金額
- 自分の検討と比べる同じ前提の数字どうしで
出力と容量の両方で割るのは、何時間分の構成かで金額の意味が変わるためです。
具体的には、どのように計算しますか?
高圧編で示した2MW・8MWh級の完成品の公表事例を使うと、次のようになります。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 総額(公表事例) | ― | 5.6〜7.0億円 |
| 出力1MWあたり | 5.6〜7.0億円÷2MW | 約2.8〜3.5億円 |
| 容量1MWhあたり | 5.6〜7.0億円÷8MWh | 約7,000万〜8,750万円 |
低圧では、販売会社が公開している価格は1基あたりおおむね2,100万〜3,000万円で、49.9kW・200kWh前後の構成です。容量あたりに直すと、1kWhあたりの費用は高圧より割高になります。小さい設備ほど、容量あたりの単価が上がるためです。いずれも計算の例であり、見積りではありません。価格の比べ方は蓄電所の価格をそろえて比べる方法でも扱っています。
割り算の前に、何をそろえればよいですか?
金額に含まれる範囲と、補助金の扱いをそろえます。
- 含まれる範囲:設備と工事だけか、土地、工事費負担金、税、諸手続きまで含むか。低圧でも「土地・設備・接続契約済み」と「設備と工事だけ」では別の商品です
- 補助金:国の系統用蓄電システム等導入支援事業は出力1,000kW以上が対象で、リチウムイオン電池で1万kW未満は補助率1/3・上限10億円とされています。差し引く前か後かで、規模あたりの金額は大きく変わります
- 段階:計画段階の想定額か、運転開始後の実績か。計画段階の金額は変わり得ます
- 複数案件の合計:複数の蓄電所をまとめた投資額か、1か所の金額か
海外のニュースの金額も、同じように比べられますか?
換算の手順は同じですが、そのまま国内の案件と比べるのは慎重であるべきです。
海外の発表では、為替、税、系統の費用、土地の扱い、規模の違いが重なります。容量あたりに直しても、含まれる範囲がそろっていなければ比較になりません。国内と海外の価格の比べ方は海外価格を比べるときの注意で整理しています。
具体的な場面では、どのように比べますか?
自分が検討している案件の金額も同じ手順で割り、ニュースの数字と並べて比べます。
たとえば、低圧の案件を検討している方が大型案件の投資額のニュースを見た場合、容量1MWhあたりの金額は大型案件のほうが低く出るのが一般的です。これは規模の違いによるもので、低圧の案件が割高だという判断にそのまま結びつくわけではありません。規模、接続の状態、補助金の有無が近い事例どうしで比べることが、換算した数字を正しく使う条件です。比べた結果に差がある場合は、価格の中身のどの項目が違うかを確かめる手がかりとして使います。
換算した数字は、収支の判断に直接使うものではなく、価格の水準を大まかにつかむための物差しです。収入の側は、出力×単価×約定したコマ数で別に組み立て、投資額の側と合わせて評価します。投資額だけが低く見えても、接続の状態や土地の権利が確定していなければ、追加の費用やリスクを引き受けることになる点に注意が必要です。
低圧で「同じ2,500万円」と書かれた案件でも、土地と工事費負担金を含むかどうかで中身が違うのと同じく、ニュースの金額も含まれる範囲で意味が変わります。
まとめ
- 投資額のニュースは、出力1MWあたりと容量1MWhあたりの両方に直して比べます。
- 2MW・8MWhの公表事例5.6〜7.0億円は、1MWhあたり約7,000万〜8,750万円になります。
- 割る前に、含まれる範囲・補助金の前後・計画か実績かをそろえます。
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 高圧編」
- タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 低圧編」
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。