タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

低圧(49.9kW)

容量市場とは何か 4年先の供給力に払われるお金と蓄電池の評価のされ方

この記事では、系統用蓄電池の3つの収入源のひとつである容量市場について、何が売り買いされ、誰から誰へお金が流れるのかを解説します。あわせて、蓄電池がどのように評価されるのか、案件の資料で容量市場の収入を見るときの注意点も整理します。

容量市場で売るのは「将来の供給力」

電気の取引というと、使った電力量(kWh)を売り買いする卸電力市場を思い浮かべる方が多いと思います。容量市場で取引されるのは電力量ではなく、将来、必要なときに電気を出せる能力、つまり供給力(kW)です。

電気は需要と供給を常に一致させる必要があります。発電所や蓄電池が足りなくなると、需要の多い時期に停電の危険が高まります。そこで、あらかじめ将来の供給力を確保し、その能力に対して対価を払う仕組みとして容量市場が設けられています。

市場 売るもの お金が出る理由
需給調整市場 調整力(ΔkW) 周波数の乱れにすぐ応えられる状態で待機すること
卸電力市場(JEPX) 電力量(kWh) 安い時間に充電し高い時間に放電する値差
容量市場 供給力(kW) 将来、電気を出せる能力を約束すること

4年先の供給力を年1回のオークションで確保する

容量市場の中心となるのは、電力広域的運営推進機関(広域機関)が年1回実施するメインオークションです。対象となるのは、オークションの時点から4年後の年度(実需給年度)の供給力です。

落札すると、その実需給年度の1年分について、容量確保契約金が支払われます。つまり、オークションに参加する時点では、4年後にその設備が確実に動いていることを前提に約束をすることになります。

容量市場のお金と約束の流れ
蓄電所4年後の供給力を約束
4年後の供給力容量確保契約金
広域機関年1回のオークション

落札すると、実需給年度の1年分の容量確保契約金が支払われます。

4年先という時間軸の意味

4年先の供給力を約束するということは、運転開始の時期の見通しが立っていない案件では参加の判断が難しいということでもあります。接続の手続きや工事の遅れで実需給年度に間に合わなければ、約束した供給力を出せないことになるため、工程の確からしさが前提になります。

蓄電池は継続して放電できる時間で評価される

火力発電所のように燃料がある限り発電を続けられる設備と違い、蓄電池は貯めた電気を出し切ると放電が止まります。そのため容量市場では、蓄電池は継続して放電できる時間に応じて評価されます。

出力が同じでも、容量(kWh)が大きく長い時間放電できる蓄電池ほど、供給力として高く評価されることになります。出力に対して容量をどの程度持たせるかという設備の設計は、容量市場での評価にも関わってきます。

容量市場での蓄電池の見られ方
  • 継続して放電できる時間長く出せるほど供給力として高く評価される
  • 運転開始の確からしさ4年後の実需給年度に動いている必要がある
  • 出力(kW)約束できる供給力の大きさの上限

高圧と低圧での位置づけ

高圧2MW級の蓄電所では、需給調整市場が収入の中心で、卸電力市場と容量市場がそれを補う形が一般的です。容量市場は年1回の結果で単価が決まるため、日々の値動きとは別の収入として計画に入ります。

出力49.9kW級の低圧蓄電所では、収益の中心は需給調整市場の一次調整力、つまり待機の対価で、卸電力市場の値差は副次的です。容量市場は低圧単独では対象外とされており、低圧の収支計画で容量市場の収入を前提にするのは適切ではありません。

案件資料で容量市場の収入を見るときの注意点

  • 容量市場の収入は、オークションの結果で年ごとに変わります。特定の年の約定価格がずっと続く前提になっていないかを確認します。
  • 落札した場合、実需給年度に供給力を出せることが前提です。運転開始の時期と工程の見通しを合わせて確認します。
  • 出力と容量の組み合わせ(継続して放電できる時間)が、評価の前提と合っているかを確認します。
  • 低圧の案件で容量市場の収入が計上されている場合は、その根拠を確認します。

投資や用地提供を検討する方にとっての意味

容量市場の収入は、日々の市場の値動きとは別に年単位で決まるため、収入源を分散させる役割があります。一方で、年1回の結果で変わる収入であり、計画の中心に据える性格のものではありません。

用地を提供する立場から見ると、容量市場への参加は運転開始の時期の確からしさが前提になるため、土地の権利を早めに整えることが事業者の計画を支えることにつながります。投資を検討する立場からは、容量市場の収入を除いても計画が成り立つかを確かめておくと、結果の変動に左右されにくい判断ができます。

まとめ

  • 容量市場で売るのは、4年後に電気を出せる能力(供給力)です。
  • 年1回のオークションで落札すると、1年分の容量確保契約金が支払われます。
  • 蓄電池は継続して放電できる時間に応じて評価されます。
  • 高圧では補助的な収入源で、低圧単独では対象外とされています。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • 電力広域的運営推進機関 容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度2029年度)

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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