
この記事では、出力49.9kWの低圧蓄電所が、どのようにして需給調整市場で収入を得るのかを説明します。鍵になるのは、アグリゲーターによる「束ね」と、そのエリアで1MWの束ねが成立する見込みです。
2026年4月に開かれた低圧の参加
需給調整市場は2021年に始まりましたが、低圧の受電点で計測する設備の参加は、2026年度から全商品で認められました。2026年4月から、低圧の設備をアグリゲーターが束ねて応札できるようになっています。一次調整力には、低圧の蓄電池などを束ねて参加するオフライン枠があり、ここが低圧蓄電所の主な活躍の場です。
最低入札量1MWと束ねの考え方
需給調整市場の最低入札量は1MW(1,000kW)です。49.9kWの蓄電池は1基では入札できず、同じエリアで21基以上、または他の設備と合わせて束ねて初めて入札できます。この束ねと入札、計量、精算を担うのがアグリゲーター(特定卸供給事業者)です。
収入の中心は一次調整力の待機の対価で、JEPXスポットの値差は副次的です。
オーナーがすること、アグリゲーターがすること
オーナーは設備を持ち、運用はアグリゲーターに委託します。オーナーが市場の画面を見る必要はありません。アグリゲーターは複数の蓄電池の出力を合わせ、前日取引で入札し、約定したコマで蓄電池を制御し、実績を計量して精算します。収入はアグリゲーターの手数料などを差し引いて、オーナーに配分されます。
アグリゲーター契約は、設備の所有者が自分の名義で結ぶのが一般的です。販売会社が代わりに結ぶわけではないので、条件は購入前に書面で確認します。
エリアで束ねが成立するかが鍵
需給調整市場はエリアごとに調達されるため、束ねも同じエリアの設備で行います。そのエリアに低圧蓄電池が少なければ、1MWに届かず入札できない期間が生じ得ます。アグリゲーターを選ぶときは、次の点を確かめます。
- アグリゲーターの社名が示されているか
- そのエリアで1MWの束ねがすでに成立しているか、成立の見込みがあるか
- 束ねに組み入れて入札を始めるまでの段取りと時期
- 手数料、収入の配分方法、契約期間と解約の条件
- 所有者が変わった場合に契約を引き継げるか
単価の動きも視野に入れる
ΔkWの上限は、2026年9月1日の実需給から一次調整力などで10円、二次調整力②と三次調整力①で7.21円になりました。約定単価は上限以下で決まり、蓄電池の参入が増えれば下がる可能性もあります。束ねの成立見込みとあわせて、単価を下げた場合の収支も確かめておくと安心です。
束ねに組み入れるまでの流れ
低圧蓄電所は、連系して設備が動くようになっても、すぐに収入が入るわけではありません。アグリゲーターが束ねに組み入れ、入札を始めて初めて市場運用が始まります。設置工事、連系、試運転を経て、アグリゲーターとの契約に基づいて束ねに加わるという順序です。購入を検討する際は、連系の時期だけでなく、束ねに組み入れて入札を始める時期の見込みも確認しておくと、収入が始まるまでの期間を見誤りにくくなります。
容量市場との関係
需給調整市場とは別に、発電や蓄電の能力そのものに対価が払われる容量市場があります。ただし、容量市場には最低1,000kWの要件があり、49.9kW単独では参加できません。低圧蓄電所の収入は、一次調整力を中心とした需給調整市場の待機の対価と、副次的なJEPXスポットの値差で考えるのが基本です。
収支の前提を開示してもらう
アグリゲーターや販売会社から収支の試算を受け取ったら、単価、1日の約定コマ数、約定率、充電の電力費、劣化率、機器の更新費がすべて開示されているかを確かめます。90%を超える約定率は楽観的な前提であることが多いとされています。束ねが成立する見込みとあわせて、前提の置き方を確認することが大切です。
あわせて、束ねに加わった後の運用状況をオーナーが確認できる報告の仕組みがあるかも見ておきます。
まとめ
- 2026年4月から、低圧設備をアグリゲーターが束ねて需給調整市場に応札できるようになりました。
- 最低入札量は1MWで、49.9kWなら同じエリアで21基以上の束ねが必要です。
- オーナーは設備を持ち、入札・制御・精算はアグリゲーターが担います。
- そのエリアで1MWの束ねが成立する見込みを、購入前に確かめます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 系統用蓄電池 解説ブック2026(高圧編・低圧編)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。