
農家が自分の土地で低圧蓄電所を考える場合、最初に確かめるのは地目と現況、そして農振農用地(青地)に当たるかどうかです。農地のままでは置けないため、転用の見込みと連系の見込みを確かめてから設備の検討に進みます。
自分の農地にそのまま低圧蓄電所を置けるのでしょうか?
農地のままでは置けず、農地転用の許可が必要です。低圧蓄電所は約40〜150㎡の小さな土地で足りますが、土地が小さいからといって農地の扱いが変わるわけではありません。農振農用地(青地)は原則として転用できないため、青地に当たる土地は候補から外して考えます。
地目は登記簿で、現況は実際の利用状況で判断されます。登記上は山林や雑種地でも、現に耕作していれば農地として扱われることがあり、逆の場合もあります。両方を確かめることが出発点です。詳しくは低圧蓄電所は農地に置ける?で解説しています。
どの順番で確かめればよいのでしょうか?
土地の区分、電柱と配電線、周辺の住宅、転用の手続きの順に確かめると、手戻りが少なくなります。
- 地目と現況登記簿と実際の利用を両方見る
- 青地かどうか農振農用地なら原則転用不可
- 都市計画の区分市街化調整区域は不可と考える
- 電柱と周辺近くの電柱、50m以内の住宅
- 転用と連系の申込み農業委員会と電力会社の手続き
都市計画の区分も早い段階で確かめます。国土交通省の通知(2025年4月)で、蓄電池は危険物を含む工作物として開発許可の対象になり得るとされ、容量による下限はありません。市街化調整区域では造成をしなくても開発許可が要る場合があり、許可基準を定めていない自治体も多いため、不可と考えるのが基本です。非線引き区域や都市計画区域外は、この制限がかかりません。
次に、近くに電柱があるか、2tトラックとクレーン付き車両が横付けできる道があるかを確かめます。PCSは音が出るため、50m以内に住宅や宿泊施設がない土地が望ましいといえます。農村部では住宅との距離を取りやすい一方、搬入路が狭い場合があります。
営農と両立させるには何に気をつければよいのでしょうか?
農作業の動線と、機器の周囲に必要な離隔が重ならないように配置を考えます。蓄電池ユニットやPCSの周囲には点検のための空間とフェンスが必要で、農業機械の出入りや水路の管理と干渉しないかを確かめます。
- 農道や水路に面した土地では、搬入路と農作業の通路を分けられるか
- 散水や薬剤散布が機器にかからないか
- ハザードマップで浸水想定がないか、水田の近くで水がたまりやすくないか
- 積雪のある地域では、機器の防水高さを上回る雪が積もらないか
三角地や細長い土地など、耕作しにくい端の土地が候補になることもあります。機器と離隔が取れれば、形が整っていなくても配置できる場合があります。
自分の土地を使う場合と、区画を購入する場合は何が違うのでしょうか?
自分の土地を使う場合は、用地の確認と転用・連系の申込みを自ら進める必要がある一方、区画を購入する場合は、接続契約まで済んだ状態で判断できることがあります。
| 項目 | 自分の土地を使う | 接続契約済みの区画を購入 |
|---|---|---|
| 土地の費用 | 新たな取得は不要 | 価格に含むか別かを確認 |
| 転用の手続き | 自ら進める | 済んでいるかを確認 |
| 連系の見込み | 申込み後の技術協議まで分からない | 接続契約の書面で確かめられる |
| 工事費負担金 | 技術協議で決まる | 金額が示されているかを確認 |
土地を貸す・売るという選択肢もあります。設備を持たずに地代を受け取る形で、自分で設備投資をしない分、市場価格の変動による影響を受けにくくなります。
相談の前に何を手元にそろえればよいのでしょうか?
土地の所在地と地番、面積、登記簿の地目、近くの電柱の番号をそろえておくと、相談が早く進みます。電柱には番号の札が付いており、この番号があれば配電線の位置を特定しやすくなります。あわせて、農業委員会で転用の見込みを、市町村の都市計画の担当課で区域の区分を確かめておけば、蓄電所を置けるかどうかの判断材料がそろいます。航空写真や現地の写真があると、搬入路や周辺の住宅との距離も伝えやすくなります。
なお、農地転用の許可と電力会社への申込みは、それぞれ審査の期間がかかります。どちらか一方だけが先に進んでも設備は置けないため、両方の見込みが立ってから発注に進むのが安全です。
まとめ
- 農地のままでは置けないため、地目と現況、青地かどうかを最初に確かめます。
- 都市計画の区分、電柱と周辺の住宅、転用と連系の申込みの順に確かめると手戻りが減ります。
- 自分の土地を使う場合は手続きを自ら進め、区画を購入する場合は接続契約の書面で判断します。
出典
- 農林水産省「農地転用許可制度」
- 国土交通省「蓄電池に係る開発許可制度の運用について」(2025年4月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「取引実績」「市場ルール」
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。