タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

低圧(49.9kW)

不動産オーナーが低圧蓄電所を持つとき、賃貸物件との違い

低圧蓄電所は入居者対応がない代わりに、収入が需給調整市場の価格と約定に左右されます。賃貸物件の「空室」に当たるのは「約定しない時間」と「単価の低下」であり、リスクの性質が違うことを理解して比べる必要があります。

賃貸物件と低圧蓄電所では、収入の出どころがどう違うのでしょうか?

賃貸物件の収入は入居者が払う家賃で、低圧蓄電所の収入は送配電事業者が調整力の対価として払う約定代金です。蓄電所の買い手は各エリアの一般送配電事業者で、アグリゲーターが複数の蓄電池を束ねて入札し、約定した分の代金から手数料を差し引いてオーナーに支払います。

賃貸と蓄電所、お金の流れ
送配電事業者調整力を調達
約定代金調整力
アグリゲーター束ねて入札
手数料を引き支払待機と応動
オーナー設備と土地を持つ

賃貸は入居者から家賃を受け取る。蓄電所は市場を通じて対価を受け取る。

家賃は契約で金額が決まり、更新まで大きくは動きません。一方、蓄電所の単価は入札のたびに決まり、一次調整力の上限価格も19.51円から15円、2026年9月に10円へと引き下げられてきました。上限は「最高でも」の価格であり、その価格で約定するわけではありません。

空室リスクと比べると、どんなリスクがあるのでしょうか?

蓄電所には空室はありませんが、約定率の低下、単価の下落、機器の不具合という三つの下振れ要因があります。

賃貸物件 低圧蓄電所
空室で家賃が入らない 入札したコマが約定しないと対価が入らない
周辺相場で家賃が下がる 上限価格の引き下げや競争で単価が下がる
設備故障で修繕費がかかる 機器や通信の不具合で応動できず、ペナルティがかかることがある
建物の老朽化 電池容量の劣化と機器の更新

賃貸経営では、立地と管理で空室を減らす工夫ができます。蓄電所では、どのコマに入札するかをアグリゲーターが決めるため、オーナーが直接工夫できる範囲は小さくなります。その分、委託先の選び方と契約条件が収入を左右します。

管理を委託できる範囲はどこまででしょうか?

市場への入札と制御、設備の保守・監視、電気主任技術者の業務は、それぞれ外部に委託できます。系統用の蓄電所は事業用電気工作物として扱われ、保安規程の届出と電気主任技術者の選任(外部委託可)が必要です。

  • 入札・制御・精算:アグリゲーター
  • 定期点検・遠隔監視・通信:保守会社
  • 保安の監督:電気主任技術者(外部委託)
  • 保険の手配、固定資産税の申告、契約の管理:オーナー本人

賃貸管理会社のように一社がすべてをまとめるとは限らず、委託先が複数に分かれる場合があります。誰が何を担うか、異常時の連絡がどこに来るかを一覧にしておくと、管理の抜けを防げます。

賃貸経営の経験はどこで生きるのでしょうか?

土地の見方、契約書の読み方、長期の修繕計画の立て方は、蓄電所でもそのまま生きます。借地の場合の地代と期間、更新の条件、運用終了時の撤去・原状回復の負担は、賃貸借契約と同じ観点で確かめられます。

一方で、収支の前提となる単価・約定率・充電の電力費は、不動産にはない要素です。試算を見るときは、単価が上限の10円のまま続く前提になっていないか、約定率を9割を超える値で置いていないかを確かめます。運営費の項目は低圧蓄電所の運営費一覧、出口の考え方は低圧蓄電所の途中売却と撤去で整理しています。

保有中の賃貸物件の敷地を使うことはできるのでしょうか?

敷地の空きに置ける場合もありますが、入居者がいる建物の近くでは騒音と安全の面で慎重な検討が必要です。PCSは音が出るため、住宅から距離を取れる土地が望ましく、賃貸住宅の敷地内では入居者への影響が問題になり得ます。駐車場の一部や、建物から離れた端の土地であれば候補になることがあります。この場合も、都市計画の区分、近くの電柱、搬入路を確かめ、消防への届出や保安の体制を整える必要があります。

また、同じ所有者が隣り合う土地に複数の区画を設けると分割設置と判断されやすいため、複数基を考える場合は離れた場所に置くのが確実です。

賃貸経営で使っている収支表の形式を流用し、蓄電所の売上・手数料・保守費・保険料・固定資産税を同じ表に並べると、物件ごとの手残りを横並びで比べやすくなります。

まとめ

  • 蓄電所の収入は家賃ではなく、市場で約定した調整力の対価で、単価と約定率で変わります。
  • 空室の代わりに、約定率の低下・単価の下落・機器の不具合という下振れ要因があります。
  • 委託先は複数に分かれることがあり、役割と連絡先を一覧にして管理します。

出典

  • 電力需給調整力取引所(EPRX)「取引実績」「市場ルール」
  • 経済産業省「電気事業法施行規則(保安規程・電気主任技術者)」

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

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