
低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所)の運営費は、アグリゲーター手数料、充電の電力費、保守・監視、保険、固定資産税(償却資産)、地代、劣化と撤去の7項目に分けて考えます。売上からこれらを差し引いた額が、オーナーの手取りになります。
本記事は、低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所・低圧蓄電池、出力50kW未満・49.9kW級)を運営するときにかかる費用を一つずつ説明します。全体像は低圧の系統用蓄電池 総合ガイドをご覧ください。
低圧蓄電所の運営費にはどんな項目がありますか?
主な項目は次の7つです(解説ブック低圧編 第6章、2026年10月時点)。
- アグリゲーター手数料収益の10%前後。計算の基礎を確認
- 充電の電力費年100万円台になることがある
- 保守・監視と保険点検、遠隔監視、通信、主任技術者。火災・故障・中断・賠償
- 固定資産税と地代標準税率1.4%。借地なら地代
- 劣化と撤去容量の劣化、機器の更新、終了時の撤去・処分
アグリゲーター手数料と充電費はいくらですか?
手数料は収益の10%前後、充電の電力費は年100万円台になることがあります。
手数料は「売上」に掛けるか「運用益」に掛けるかで手取りが変わります。充電費は待機と応動で失う電力量を買い足す費用で、負担区分はアグリゲーター契約で決まります。
保守・監視には何が含まれますか?
定期点検、遠隔監視、通信費、電気主任技術者の外部委託が含まれます。
系統用の蓄電所は事業用電気工作物として扱われ、保安規程の届出と電気主任技術者の選任(外部委託可)が必要です。通信が止まると市場での応動ができず、収入も止まるため、監視の範囲と通信の責任分担を確かめます。保守の範囲は蓄電所のO&Mに含まれるもので詳しく扱っています。
保険はどこまで掛けますか?
火災、機器故障、事業中断、賠償の4つを考え、誰が掛けて誰が受け取るかを決めます。
事業中断の補償がないと、故障で止まった期間の収入は戻りません。案件によって販売会社や保守会社が掛ける場合もあるため、契約書で確認します。
固定資産税と地代はどう考えますか?
設備には毎年、固定資産税(償却資産)がかかり、標準税率は1.4%です。借地なら地代がかかります。
土地を購入する場合は土地の固定資産税も別にかかります。借地の場合は地代のほか、期間と更新の条件を確かめます。
見落としやすい費用は何ですか?
容量の劣化、機器の更新、運用終了時の撤去・処分の費用です。
電池は使うほど容量が減り、PCSなどは運用期間中に交換が必要になる場合があります。撤去・処分の費用を誰が負担するかを先に決めておかないと、最後に想定外の支出が出ます。撤去の考え方は蓄電所の撤去費用は誰が払うかをご覧ください。
費用を入れた収支はどう確かめますか?
売上を複数の単価で試算し、7項目を差し引いて残るかを見ます。
出力49.9kW・約定率90%の計算例で、単価5円なら年間売上は約393万円、3円なら約236万円です。売上の試算は低圧蓄電所の売上試算ツールで行い、各費用を差し引いてください。
まとめ
- 運営費は手数料、充電費、保守・監視、保険、固定資産税、地代、劣化と撤去の7項目です。
- 充電費は年100万円台になることがあり、固定資産税(償却資産)の標準税率は1.4%です。
- 劣化・機器更新・撤去の費用は見落としやすいため、負担者を契約で先に決めておきます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月) 第4章・第6章・第8章・第11章
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。