タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

高圧・低圧 共通

系統用蓄電池は夜に充電して昼に売るだけなのか

答え:いいえ。系統用蓄電池の収入は、安い時間に充電して高い時間に売る値差だけではありません。需給調整市場での待機の対価、卸電力市場での値差、容量市場での供給力の対価という三つの収入源を組み合わせており、2026年時点では待機の対価が収入の中心です。

蓄電池と聞くと、電気を貯めて後で売る「時間をずらす」設備を思い浮かべる方が多いと思います。実際の系統用蓄電池は、それに加えて電力網の安定に役立つ働きで対価を得ています。ここでは三つの収入源の役割を一問ずつ整理します。

「夜に充電して昼に売る」は正しい理解なのか

値差を取る運用は収入の一部ですが、時間帯の向きは「夜に充電」ではなく、むしろ昼に充電して夕方に放電する日が多くなっています。

日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格は、太陽光が多い春や秋の昼に下がり、夕方に上がります。そのため値差を取るなら、太陽光で電気が余る昼に充電し、需要が残る夕方に放電する形が基本になります。ただし、これは需給調整市場で約定しなかった時間を補う位置づけです。

三つの収入源はそれぞれ何を売っているのか

需給調整市場は調整力(ΔkW)、卸電力市場は電力量(kWh)、容量市場は供給力(kW)を売っています。

3つの収入源と売るもの

需給調整市場

  • 売るもの:調整力(ΔkW)
  • 出力を出せる状態で待機する対価
  • 買い手は一般送配電事業者
  • 2026年時点の収入の中心

卸電力市場

  • 売るもの:電力量(kWh)
  • 昼に充電し夕方に放電する値差
  • 約定しなかった時間の補い

容量市場

  • 売るもの:供給力(kW)
  • 4年後の供給力を年1回のオークションで確保
  • 落札すると1年分の契約金

低圧の49.9kWは容量市場に単独では参加できません。

需給調整市場ではなぜ放電しなくても収入になるのか

取引されるのが電力量ではなく「いざというとき出力を出せる状態」であり、約定した時間帯は待機そのものに対価が支払われるためです。

周波数を保つための調整力を、一般送配電事業者が前日に調達します。売上は出力×単価×約定したコマ数で決まり、1日は30分×48コマです。蓄電池は指令から1秒以内に出力を変えられるため、最も速い一次調整力で強みを発揮します。2025年度の一次調整力では、蓄電池の月別平均落札単価が8.82〜13.52円/ΔkW・30分、火力が2.05〜3.39円でした(EPRX)。

一方で、上限価格は2026年3月に15.00円、9月に10.00円へ引き下げられています。上限は「最高でも」の価格であり、収支は何円まで下がっても成り立つかで見ることが大切です。

容量市場はどのような役割を持つのか

4年先に電気を出せる能力を確保する市場で、落札すると1年分の容量確保契約金が支払われます。

蓄電池は継続して放電できる時間に応じて評価されるため、2MW・8MWhのように4時間分の容量を持つ設計が意味を持ちます。低圧の49.9kWは最低1,000kWの要件を満たせず、単独では参加できません。詳しくは容量市場とは何かで解説しています。

三つの市場の組み合わせは誰が決めるのか

入札、充放電の計画、計量と精算は、アグリゲーターに委託して日々最適化するのが一般的です。

オーナーが市場の画面を見て判断する必要はありませんが、どの市場をどの順で優先するかという運用方針は、アグリゲーターによって違います。方針と開示の内容は収入源の組み合わせはアグリゲーターが日々決めるで整理しています。

これから収入の中心は変わるのか

海外の先行市場では、蓄電池が増えて調整力の単価が下がり、収益の中心が卸電力市場の値差へ移りました。

英国、米国、豪州で起きたこの流れは、日本でも起こると見込まれています。いまは待機の対価が中心でも、将来は値差の比重が上がる可能性があります。そのため、一つの市場の単価だけで判断せず、三つの収入源の組み合わせが変わっても成り立つかを確かめることが大切です。

低圧の49.9kWでも三つの収入源を使えるのか

低圧は一次調整力のオフライン枠が収入の中心で、卸電力市場の値差は一部、容量市場には単独で参加できません。

需給調整市場の最低入札量は1MW(1,000kW)のため、49.9kWの蓄電池はアグリゲーターが同じエリアで束ねて初めて入札できます。高圧の2MW級は三つの市場すべてを組み合わせやすい一方、低圧は需給調整市場への依存が大きくなります。規模によって収入源の構成が違う点も、比べるときの前提になります。

まとめ

  • 系統用蓄電池の収入は値差だけでなく、需給調整市場・卸電力市場・容量市場の三つで成り立ちます。
  • 2026年時点の中心は需給調整市場の待機の対価で、値差は昼に充電し夕方に放電する形が基本です。
  • 将来は値差の比重が上がる可能性があり、組み合わせが変わっても成り立つかを確かめます。

高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • 電力需給調整力取引所(EPRX)2025年度取引実績
  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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