タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

高圧・低圧 共通

約定率とは何か 入札したコマが全部は売れない理由と売上への効き方

この記事では、需給調整市場で使われる「約定率」という言葉の意味と、それが蓄電所の売上にどう効くかを説明します。単価だけを見て収支を判断すると見誤りやすい理由と、試算を受け取ったときに確かめたい点も整理します。

約定率は「入札したコマのうち落札された割合」

需給調整市場では、1日を30分ごとの48コマに分けて取引します。蓄電所の運用を任されたアグリゲーターは、どのコマに、いくらで入札するかを決めて市場に出します。ところが、入札したコマがすべて落札されるとは限りません。買い手である一般送配電事業者が必要とする量には限りがあり、より安い価格の入札から順に選ばれていくためです。

入札したコマのうち、実際に落札されたコマの割合を約定率と呼びます。100コマに入札して90コマが落札されれば約定率は90%、70コマなら70%です。落札されたコマでは、実際に放電しなくても「いつでも出力を出せる状態で待機していること」に対価が支払われます。落札されなかったコマには、需給調整市場からの対価はありません。

入札から待機の対価が生まれるまで
  1. 48コマに入札アグリゲーターが前日に価格と量を決める
  2. 落札の判定安い入札から必要量まで選ばれる
  3. 約定率が決まる落札コマ÷入札コマ
  4. 待機して対価落札コマで待機すれば支払われる

落札されなかったコマは、卸電力市場での運用などで補う。

売上は単価と約定率の掛け算で決まる

需給調整市場の売上は、出力(kW)×単価(円/ΔkW・30分)×約定したコマ数で決まります。約定したコマ数は、入札したコマ数に約定率を掛けたものです。つまり、単価が同じでも約定率が下がれば、売上はそのまま比例して下がります。

高圧編の解説ブックには、出力2,000kWの蓄電所が全コマに入札した場合の計算例が載っています。平均の約定単価が同じでも、約定率90%と70%では年間売上に大きな差が出ます。約定率が2割下がることは、単価が2割下がることとほぼ同じ重さを持つということです。

見る数字 売上への効き方
出力 設備で決まる。運転後はほぼ動かない
単価 市場の需給と上限価格で動く
約定率 入札価格の付け方と競争の度合いで動く

約定率を左右するもの

約定率は、市場の状況とアグリゲーターの入札の仕方の両方で変わります。主な要因は次のとおりです。

  • 入札価格:高い価格で入札すると、落札されたときの単価は高くなりますが、落札されにくくなります。単価と約定率は引っ張り合う関係にあります。
  • 競争の度合い:同じ商品に入札する蓄電池が増えれば、落札される枠の取り合いになります。
  • 充電のための時間:蓄電池は充電が必要です。すべてのコマで待機し続けることはできないため、入札しないコマも出てきます。
  • エリアの調達量:一般送配電事業者が募集する量はエリアや時期で異なり、見直しもあります。

試算を受け取ったときに確かめたいこと

案件の収支試算では、単価に目が行きがちですが、約定率の前提も同じくらい重要です。次の点を確認すると、試算の確からしさが見えてきます。

  1. 約定率を何%と置いているか、その根拠は何か
  2. 入札するコマ数を全コマとしているか、充電の時間を差し引いているか
  3. 約定率を変えた場合の試算(複数のケース)が示されているか
  4. 落札されなかったコマを卸電力市場でどう補う想定か

解説ブックでも、収支試算の確認項目として「単価、約定率、劣化率、費用の前提がすべて開示されているか」を挙げています。前提が一つでも伏せられている試算は、比べようがありません。

アグリゲーターの腕が出る数字

約定率は、オーナーが日々操作する数字ではありません。どのコマに、いくらで入札するかはアグリゲーターが市場の動きを見て決めます。そのため、約定率はアグリゲーターの運用の巧拙が表れやすい数字でもあります。契約の際は、手数料だけでなく、過去の運用でどの程度の約定を得ているか、報告をどのような形で受け取れるかも確かめておくと安心です。

高圧と低圧で約定率の見え方は変わるか

約定率の考え方は、高圧の蓄電所でも低圧の蓄電所でも同じです。ただし、出力49.9kWの低圧蓄電所は1基では最低入札量に届かないため、アグリゲーターが同じエリアの複数の設備を束ねて入札します。この場合、約定は束ねた単位で決まり、その結果が各設備に配分されます。配分の方法や、束ねる設備の数によって、個々の蓄電所から見た約定の結果は変わりえます。

低圧の案件を検討するときは、束ねる単位で約定した収入をどのように各オーナーに配分するのか、その計算方法が契約や報告書に明記されているかを確かめておくと、後から収入の内訳を確認しやすくなります。

まとめ

  • 約定率は、入札したコマのうち実際に落札されたコマの割合です。
  • 需給調整市場の売上は出力×単価×約定コマ数で決まり、約定率は単価と同じ重さで効きます。
  • 入札価格を上げると約定しにくくなるなど、単価と約定率は引っ張り合う関係にあります。
  • 試算では約定率の前提と根拠、複数ケースの有無を確かめます。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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