補助金・助成金

省エネ設備でコスト削減|導入事例と効果、2026年度に使える国の補助金

福元惇二・ ・更新

この記事は2026年10月31日時点の情報です。元記事で紹介していた「省エネルギー投資促進支援事業」(令和4年度補正予算)は終了しています。2026年度に省エネ設備の更新で使える国の補助金は、令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」で、4次公募(2026年10月5日〜10月30日17時必着)は締め切られました。次回公募の有無はSIIのホームページで確認してください。

  • 設備単位型の(Ⅲ)設備単位型[従来枠]は、指定設備への更新が対象で、補助率1/3以内、上限額1億円・下限額30万円(1事業あたり)です。
  • 令和7年度補正から、上限額を3億円とする「GX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)」が新設されました。
  • 導入事例の数値は、SIIが公表している活用事例(過去年度の補助事業)に基づいて記載しています。

本記事では、省エネ設備を導入するメリット、中小企業で導入が多い設備、2026年度の補助金の要件と手続き、SIIが公表している導入事例を紹介します。

省エネ設備導入のメリット

省エネ設備導入のメリット

電気代や燃料費の負担が続くなか、省エネ設備への更新は、エネルギー使用量を減らしてランニングコストを下げる有効な手段です。国も2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、補助金で事業者の省エネ設備投資を後押ししています。省エネ設備を導入する主なメリットは次の3つです。

  • エネルギーコストの削減と環境負荷の軽減
  • 補助金の活用による導入負担の軽減
  • 企業イメージの向上と業務効率化

エネルギーコストの削減と環境負荷の軽減

省エネ設備は、従来の設備よりも少ないエネルギーで同じ働きをするため、電気代やガス代、燃料費を抑えられます。化石燃料を使って発電・燃焼する際には二酸化炭素が排出されるため、エネルギー使用量を減らすことは、CO2排出量の削減にもつながります。

補助金の活用による導入負担の軽減

省エネ設備の更新には、国の補助金を活用できます。2026年度は、令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」により、指定設備への更新費用(設備費)の1/3以内などが補助されます。初期費用を抑えられれば、投資回収期間の短縮にもつながります。

企業イメージの向上と業務効率化

CO2排出量の削減は、取引先や消費者に対して環境への取り組みを示す材料になります。また、新しい設備は制御機能や運転性能が向上しているものが多く、管理の手間の軽減や生産性の向上が期待できます。

中小企業で導入しやすい省エネ設備の例

中小企業向け省エネ設備の例

省エネ設備の導入は大企業だけのものではありません。設備単位型の補助金は、中小企業者等も大企業と同じく利用でき、指定設備から選んで申請できるため、比較的取り組みやすい制度です。ここでは、事業所で導入されることが多い設備を3つ紹介します。

照明設備のLED化

白熱電球や蛍光灯からLED照明に切り替えると、照明の消費電力を減らせます。LED照明は長寿命のため、交換の手間を減らせる点もメリットです。設備単位型の補助金では、「制御機能付きLED照明器具」が指定設備の区分に含まれています。

空調設備の高効率機器への更新

事務所や店舗、工場の空調は、電力使用量に占める割合が大きい設備です。古い空調を高効率な機器に更新すると、消費電力の削減が期待できます。令和7年度補正予算の設備単位型では、「高効率空調」の区分として次の5種別が定められています。

  • 電気式パッケージエアコン(業務用エアコン)
  • ガスヒートポンプエアコン
  • チリングユニット
  • 吸収式冷凍機
  • ターボ冷凍機

電気式パッケージエアコンでは、形態や能力ごとにAPF(通年エネルギー消費効率)の基準値が定められており、基準を満たしてSIIに登録された製品が補助対象です。なお、水冷式はトップランナー基準がないため補助対象外とされています。

給湯器やボイラの高効率化

古い給湯器やボイラは、新しい機器に比べて熱の損失が大きくなりがちです。高効率な業務用給湯器や高性能ボイラに更新すると、燃料費や電気代を抑えられます。設備単位型では「業務用給湯器」「高性能ボイラ」がそれぞれ指定設備の区分になっています。

2026年度に使える国の補助金:省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)

令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」(正式名称:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金/省エネルギー投資促進支援事業費補助金)は、SIIが執行する国の補助金です。資源エネルギー庁は、令和5年度補正から3年間で7,000億円規模の予算により省エネ・非化石転換設備の更新を支援するとしており、令和7年度補正はその最終年度と位置づけられています。

公募スケジュール

公募 公募期間(いずれも17時必着) 交付決定の予定
1次公募 2026年3月30日〜4月27日 6月
2次公募 2026年6月1日〜7月9日 9月上旬
3次公募 2026年8月20日〜9月28日 11月下旬
4次公募 2026年10月5日〜10月30日 12月下旬

申請書類は、配送状況が確認できる手段で郵送します(持参は不可)。採択は事業区分ごとの評価項目に従った審査と外部審査委員会の評価を踏まえ、上位者から予算の範囲内で行われます。単年度事業は、原則2027年1月31日までに事業を完了させる必要があります。

事業区分と補助率・補助金限度額

事業区分 対象 補助率 上限額(1事業あたり)
(Ⅲ)設備単位型[従来枠] 指定設備への更新 1/3以内 1億円
(Ⅲ)GX設備単位型[メーカー強化枠] GX要件を満たしたメーカーの指定設備への更新 1/3以内 3億円
(Ⅲ)GX設備単位型[トップ性能枠] トップ性能設備への更新/新設 更新1/2以内、新設1/5以内 3億円
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う指定設備への更新・改造/新設 更新・改造1/2以内、新設1/5以内 3億円(電化の場合は5億円)

下限額は、いずれも30万円(事業全体)です。補助率は中小企業者等・大企業等で共通です。ただし大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」「Aクラス」に該当する事業者や、中長期計画書のベンチマーク指標の2030年度見込みが目標値を達成する事業者などに限られます。

指定設備(15区分)

分類 設備区分
ユーティリティ設備 高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具
生産設備 工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシン

これらに該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定された設備も対象になります。設備区分ごとにエネルギー消費効率等の基準が定められており、基準を満たしてSIIが公表した製品が補助対象です。対象製品はSIIの「指定設備」補助対象設備一覧で確認できます。

省エネルギー効果の要件

(Ⅲ)設備単位型[従来枠]では、原油換算量ベースで次のいずれかを満たす必要があります。

  • 計画省エネルギー率:10%以上
  • 計画省エネルギー量:1kl以上
  • 経費当たりの計画省エネルギー量:1kl/千万円以上

省エネルギー量は、補助事業ポータルに導入予定設備の稼働時間等を入力すると自動的に計算される「指定計算」のほか、申請者が独自に計算する「独自計算」でも申請できます。

補助対象経費

(Ⅲ)設備単位型[従来枠]の補助対象経費は「設備費」のみです。設計費、運搬費、撤去・廃棄費、据付費・工事費、配線・配管などの材料費、消費税などは対象外です。補助対象経費は、原則3者以上による価格競争等の結果による最低価格が上限になります。

補助対象事業者の主な要件

  1. 国内において事業活動を営んでいる法人および個人事業主であること
  2. 事業を実施するために必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められること(設備の所有者が直近の決算で債務超過の場合は対象外)
  3. 国内に設置する補助対象設備の所有者であり、処分制限期間、継続的に使用すること
  4. 取得した設備を取得財産等管理台帳に記載し、適切に管理・運用すること
  5. 経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けていないこと
  6. 公的資金の交付先として社会通念上適切と認められない者でないこと
  7. 性風俗関連特殊営業を営む事業所でないこと
  8. 成果報告時に、導入設備の最低1週間以上のエネルギー使用量の実測データ等を用いて省エネルギー効果を報告できること
  9. 会計検査院による現地検査等に、会社単位で誠実に対応できること

年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の特定事業者等は、省エネ法に基づく中長期計画書と定期報告書の提出が必要です。定期報告義務がない事業者は、SIIが指定するフォーマットでエネルギーの合理化に関する中長期計画を策定して提出します。

申請の流れと注意点

  1. 販売事業者3者以上に見積依頼を行い、証憑書類を準備する
  2. 補助事業ポータル(Web)に入力し、交付申請書類を郵送で提出する
  3. 審査・採択を経て交付決定を受ける
  4. 交付決定後に契約・発注し、設備を設置する
  5. 事業完了後に実績報告を行い、確定検査を経て補助金が支払われる
  6. 導入後、省エネルギー効果の成果報告を行う
  • 契約・発注は必ず交付決定日以降に行います。3者見積は、1次公募の公募要領の公開日(2026年3月25日)以降の発行日であれば、交付決定前の実施も有効です。
  • 本補助金と他の補助金等で補助対象経費が重複する場合は併用できません。ただし、地方公共団体の一般財源による補助金等との併用は認められています。
  • 中小企業経営強化税制との併用は可能とされています。
  • 提出書類の一覧や申請様式は、公募回ごとにSIIの公募情報ページで公開されています。

工場全体で取り組む場合は「工場・事業場型」

個別の設備更新ではなく、工場・事業場全体で大幅な省エネを図る場合は、同じく令和7年度補正予算の「省エネ・非化石転換補助金(工場・事業場型)」が対象になります。資源エネルギー庁の資料では、補助率1/2(中小)・1/3(大)等、補助上限額15億円等と説明されています。4次公募の期間は設備単位型と同じ2026年10月5日〜10月30日でした。

省エネ設備の導入事例とその効果

省エネ設備の導入事例

SIIは、省エネ補助金を活用した事業者の事例を公表しています。ここでは、設備単位の補助金を活用した事例を紹介します。いずれも過去年度の補助事業であり、補助率や要件は現在の制度とは異なります。

株式会社六花亭(本社工場):高効率照明・高性能ボイラ

北海道帯広市で和洋菓子の製造販売を行う株式会社六花亭は、平成29年度事業として、本社工場の照明をLED照明器具(1,108台)に、ボイラを高性能な蒸気ボイラ(4台)に更新しました。補助対象設備のエネルギー使用量1,004kl/年に対し、省エネルギー量は124kl/年、省エネルギー率は12.4%です。補助対象経費は6,180万円、補助金は2,060万円でした。

事例資料では、ボイラ更新にあわせてA重油から都市ガスへ燃料転換したことで、降雪による燃料供給確保の不安が解消されたことや、重油の残量管理・発注・受入時の立会いなどの労力が削減されたことが紹介されています。

ツルカメO&E株式会社(源気温泉 八尾おゆば):高効率空調・高効率コージェネレーション

大阪府八尾市の温浴施設では、平成30年度事業として、ガスヒートポンプエアコン(6台)と高効率コージェネレーション(2台)に更新しました。エネルギー使用量86.1kl/年に対し、省エネルギー量は31.2kl/年、省エネルギー率は36.3%です。補助対象経費は2,190万円、補助金は730万円でした。

事業者のメッセージでは、設備導入後、前年同月と比べて最大でガス代約25%、電気代約40%の削減となったこと、削減したコストを施設のリニューアルに再投資したことが紹介されています。

その他の事例

事業者名(事業所) 事業年度 主な導入設備 エネルギー使用量 省エネルギー量 省エネルギー率
城山観光株式会社(SHIROYAMA HOTEL kagoshima) 平成29年度 業務用ヒートポンプ給湯器、高性能ボイラ 675kl/年 192kl/年 28.4%
トーホウリゾート株式会社(登別温泉ホテルまほろば) 平成24年度 水熱源ヒートポンプチラー、蓄熱槽、熱交換器 2,860kl/年 487kl/年 17.1%
株式会社バロー(バロー織田店) 令和3年度 冷凍冷蔵設備(コンデンシングユニット) 125.4kl/年 46.8kl/年 37.3%

株式会社バローの事例では、電力削減量は181,941kWh/年、削減コストは約364万円/年(電力1kWhあたり20円で換算した値)とされています。補助対象経費は2,283万円、補助金は845万円でした。

このほかの事例は、SIIの省エネ補助金 活用事例検索で業種や設備ごとに探すことができます。自社と近い業種・規模の事例を確認すると、導入効果の見通しを立てやすくなります。

よくある質問

省エネルギーの具体例は?

LED照明、高効率空調、高効率な給湯器やボイラ、冷凍冷蔵設備などへの更新が代表的な例です。既存の設備よりもエネルギー消費効率の高い設備に更新することで、ランニングコストの削減が期待できます。

2026年度に省エネ設備の更新で使える国の補助金は?

令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金」があります。指定設備から選んで更新する場合は「設備単位型」、工場・事業場全体で取り組む場合は「工場・事業場型」が対象です。4次公募(2026年10月5日〜10月30日17時必着)は締め切られ、次回公募の発表を待つ段階です。

補助金の交付決定前に発注してもよいですか?

できません。契約・発注は必ず交付決定日以降に行う必要があります。交付決定前に契約・発注した経費は補助対象外です。

まとめ

省エネ設備の導入は、エネルギーコストの削減やCO2排出量の削減につながります。2026年度は、令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」により、指定設備への更新費用(設備費)の1/3以内(従来枠)などの補助を受けられます。

補助金は公募期間が限られ、交付決定前の発注は対象外になるため、設備の更新時期と公募スケジュールを早めに照らし合わせておくことが大切です。最新の公募情報はSIIの省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)のページで確認してください。

重要用語

用語 説明
カーボンニュートラル 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、排出を全体として実質ゼロにすること。
指定設備 SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として公表した設備。
原油換算(kl) 電気・ガス・燃料など種類の異なるエネルギーの量を、原油の量に換算して比較できるようにした値。
省エネルギー率 補助対象設備のエネルギー使用量に対する省エネルギー量の割合。

参考資料

著者のプロフィール

福元惇二
福元惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

補助金・脱炭素の相談を、無料で。

使える補助金の洗い出しから申請、省エネ設備の選定まで、補助金のプロがお手伝いします。

無料で相談する