
需給調整市場は、2021年4月に三次調整力②から始まり、2024年4月に一次調整力を含む全商品がそろいました。2026年には前日・30分単位の取引への移行と、低圧の設備の束ねによる参加が加わり、蓄電池の関わり方が広がっています。
需給調整市場はどのような市場ですか?
一般送配電事業者が、周波数を保つための調整力(ΔkW)をあらかじめ確保する市場です。
取引されるのは電力量ではなく、いざというとき出力を出せる状態です。約定した時間帯は、実際に放電しなくても待機の対価が支払われます。応動の速さで一次から三次②までの商品に分かれています。お金の流れは需給調整市場で蓄電所オーナーに届くお金の流れで解説しています。
商品はどの順番で始まりましたか?
応動が遅い三次調整力から始まり、最も速い一次調整力は2024年4月に始まりました。
- 2021年4月市場開設。三次調整力②から
- 2022年4月三次調整力①の取引開始
- 2024年4月一次・二次①・二次②を含む全商品
- 2026年3月14日一次〜三次①が前日・30分単位に
- 2026年4月低圧を束ねて応札できるように
- 2026年9月1日一次などの上限価格を10円に
高圧編・低圧編の解説ブックの年表に基づきます。
三次調整力②は、前日の再エネの予測誤差に備える商品です。一次調整力は、周波数の変化を設備自身が検知して自動で出力を変える最も速い商品で、蓄電池が強みを発揮する分野です。
一次調整力の開始は蓄電池にとって何を意味しましたか?
応答の速さが評価される商品が市場に加わり、蓄電池の単価の優位がはっきりしました。
2025年度の一次調整力では、蓄電池の月別の平均落札単価が8.82〜13.52円/ΔkW・30分、火力が2.05〜3.39円でした(EPRX 2025年度取引実績)。同じ年度、一次調整力は北海道・中国・四国を除くエリアで募集量に対して調達が大きく不足していました。
2026年には何が変わりましたか?
取引が前日・30分単位に移り、上限価格が段階的に下がり、低圧の参加が始まりました。
3月14日に一次から三次①の取引が前日・30分単位に移行し、一次などの上限価格が19.51円から15.00円に下がりました。9月1日には一次・二次①・複合商品の上限価格が10.00円、二次②・三次①が7.21円となりました。2026年度は、前日取引への移行、募集量の見直し、揚水発電の随意契約、上限価格の引き下げが重なり、単価は全エリアで下がっています。
低圧の蓄電池はどのように参加できるようになりましたか?
低圧の受電点で計測する設備の参加が2026年度から全商品で認められ、アグリゲーターが束ねて応札できるようになりました。
需給調整市場の最低入札量は1MWです。49.9kWの蓄電池は1基では入札できず、同じエリアで21基以上、または他の設備と合わせて束ねて参加します。一次調整力には低圧の蓄電池などを束ねて参加する枠(オフライン枠)があります。
| 時期 | 高圧の蓄電所 | 低圧の蓄電所 |
|---|---|---|
| 2024年4月〜 | 一次調整力を含む全商品に参加 | 本格的な参加は前 |
| 2026年3月〜 | 前日・30分単位の取引 | 同左の方式が前提 |
| 2026年度〜 | 上限価格の引き下げ | 束ねによる参加が全商品で可能 |
年表から何を読み取ればよいですか?
市場は数年おきに仕組みが変わってきたこと、そして参加者が増えるほど単価が落ち着く方向にあることです。
海外の先行市場では、蓄電池の設備量が調整力の必要量を超えたところで単価が下がり、収益の中心が卸電力市場の値差へ移りました。収支を考えるときは、現在の制度が続く前提ではなく、何円まで単価が下がっても成り立つかを確認することが大切です。
売り手の資料の単価はどう確かめればよいですか?
その単価が、いつの、どの商品の、どのエリアの数字であるかを確認します。
2025年度の単価は、一次調整力の調達が大きく不足していた時期のもので、東京エリアの平均単価は通年で全国平均を上回っていました。2026年3月の前日取引への移行や、9月の上限価格の引き下げの前後では、単価の水準が異なります。年表の上でその数字がどの時期に当たるかを確かめ、上限価格の改定後の水準で組み直されているかを確認します。商品が違えば応動の要件も単価も違うため、一次調整力の単価を他の商品にそのまま当てはめていないかも確かめます。
まとめ
- 需給調整市場は2021年の三次調整力②から始まり、2024年に全商品がそろった
- 2026年は前日取引への移行、上限価格の引き下げ、低圧の参加が重なった
- 制度は変わり続ける前提で、単価が下がった場合の収支を確認する
出典
- 系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編・低圧編(株式会社タンソーマンGX、2026年10月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX) 2025年度取引実績
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。