
EPC会社は見積額だけで比べず、施工実績、保証、工期、系統側工事との調整力、見積の内訳の出し方を並べて比べます。同じ金額でも、含まれる範囲と保証の厚さで実際の負担が変わるためです。
EPC会社は何を請け負うのですか?
EPCは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を一括で請け負う工事会社です。蓄電所では、蓄電池コンテナ、PCS、変圧器、受変電設備、EMS、遠隔監視の通信設備などの調達と据付、試験までを担います。高圧では機器の発注から据付、試験まで6〜12か月程度とされています。
完成品を買う場合でもEPC会社は存在するため、誰が施工するかは確かめておく項目です。開発権を買って自分で発注する場合や、自分の土地で開発する場合は、EPC会社を自分で選ぶことになります。
何を比べればよいのですか?
比べる観点は五つに分けると整理しやすくなります。
- 見積の内訳機器、工事、諸手続きを分けて出すか。負担金や土地の扱い
- 保証性能保証、遅延の補償、瑕疵の保証期間、容量の保証
- 工期機器の納期と現地工事の期間、遅れたときの扱い
- 系統側との調整電力会社の工事・立ち会いとの段取り
- 施工実績同じ規模・同じ電圧での実績の数と内容
見積の内訳では、どこを見るのですか?
まず、何が含まれた金額かを揃えます。機器(蓄電池、PCS、EMS)、工事(基礎、配線、フェンス、連系盤)、諸手続き(消防の届出、保安規程の届出、電気主任技術者の手配)が分かれて示されているかを確かめます。工事費負担金や土地が含まれるか、税込か税抜かも揃えます。一式の金額だけの見積は、他社と比べることができません。
機器はメーカーと型番が書かれているかも重要です。2027年4月以降に受け付ける高圧・特別高圧の契約申込みからは、PCSなどにJC-STAR★1の認証が求められる予定で、対応品かどうかで将来の扱いが変わります。
保証では、どこを見るのですか?
EPC契約で確かめたいのは、工期、性能保証、遅延の補償、瑕疵の保証期間です(蓄電所のEPC契約で確かめる4項目)。蓄電池は充放電で容量が減るため、メーカーの容量保証(何年で何%)とPCSの保証も合わせて確認します。EPC会社の保証とメーカーの保証のどちらが先に対応するのかも聞いておくと、故障時の窓口が明確になります。
系統側工事との調整力は、なぜ大事なのですか?
運転開始の時期は、敷地内の工事だけでなく、電力会社側の工事と立ち会いに左右されるためです。系統側工事の工期は3か月から数年まで幅があります。電力会社との段取りに慣れたEPC会社は、試運転や通信の確認まで含めて工程を組めます。運転開始後はアグリゲーターによる実働試験(約3か月)もあるため、EPC会社がアグリゲーターと連携した経験があるかも確かめます。
比べるときの進め方は?
| 聞くこと | 確かめる書面 |
|---|---|
| 同じ規模・電圧の実績 | 施工実績の一覧 |
| 金額の範囲 | 内訳付きの見積書 |
| 工期と遅延の扱い | 工程表、契約書案 |
| 保証の内容 | 保証書の案、メーカー保証の写し |
| 機器の対応 | 型番とJC-STARへの対応状況 |
同じ前提で複数社に見積を依頼し、表に並べてから比べると、金額以外の差が見えます。
完成品を買う場合も、EPC会社を確かめるのですか?
確かめます。完成品の取得でも、実際に設計と施工を担うのはEPC会社です。故障や性能の不足が起きたときに対応するのは、EPC会社とメーカーです。売買契約で、EPC会社の保証を買い手が引き継げるか、保証の窓口が誰になるかを確かめます。
高圧と低圧で、比べ方は違いますか?
規模と手続きが違うため、重視する点も変わります。高圧は受変電設備や変圧器を含む工事で、消防への届出、保安規程の届出、電気主任技術者の選任(外部委託)を並行して進めます。工程が長いため、工期と遅延の補償の重みが大きくなります。低圧は設備が小さく工期も短い一方、2tトラックとクレーン付き車両の搬入路、積雪地での防水高さとかさ上げなど、現地の条件への対応力が差になります。低圧で新たに連系する設備には、2027年10月からJC-STAR★1が求められる予定です。
見積を依頼するときに揃える前提は?
出力と容量、連系する電圧、設置場所の条件(搬入路、積雪、浸水想定)、含める範囲(機器、工事、諸手続き)、希望する工期を同じ内容で伝えます。前提が揃っていない見積同士は、金額の差が範囲の差なのか価格の差なのか分かりません。依頼の文面を1つにまとめ、各社に同じものを渡すと比べやすくなります。
高圧の案件は蓄電所の案件と用地で、手続きの進み具合とあわせてご紹介しています。低圧の区画は低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
まとめ
- EPC会社は見積額だけでなく、内訳、保証、工期、系統側との調整、実績で比べます
- 一式の金額だけの見積は比べられないため、機器・工事・諸手続きを分けて出してもらいます
- 電力会社側の工事やアグリゲーターの試験との段取りも、運転開始の時期に効きます
出典
- 東京電力パワーグリッド 発電量調整供給契約申込みの手続き(2026年)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。