
2MW級の蓄電所のEPC契約では、工期、性能保証、遅延の補償、瑕疵の保証期間の4項目を最初に確認します。いずれも運転開始の時期と、運転後の収入の安定に直接関わる条項です。
EPC契約とはどのような契約ですか
設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を一括で工事会社に請け負わせる契約です。
開発権を取得して自分で建てる場合や、補助金を使って発注する場合に、買い手が直接結ぶことになります。用語の意味はEPCとはで解説しています。完成品を買う場合でも、売り手と工事会社の間のEPC契約の条件は、引渡し後の保証に影響するため確認の対象になります。
時期に関わる条項
- 工期:発注から据付・試験までの日程
- 遅延の補償:完工が遅れた場合の扱い
性能に関わる条項
- 性能保証:出力・容量・効率の約束
- 瑕疵の保証期間:不具合の無償対応の範囲
工期はどう確認すればよいですか
機器の発注から据付、試験までの6〜12か月を目安に、各工程の日付と前提条件を確認します。
この期間には、消防への届出、保安規程の届出、電気主任技術者の選任を並行して進めます。また、運転開始の前にはアグリゲーターによる実働試験(約3か月)と市場への登録があります。EPCの完工日だけでなく、系統側の工事の完了時期と、市場参加の準備までを一つの工程表で見られるかが要点です。
性能保証では何を確認しますか
完工時の出力・容量・充放電の効率が、契約で約束された値を満たすことを確認する試験と、その基準です。
充放電の効率は往復で85〜90%程度とされ、効率が下がると充電の電力費が増えます。機器メーカーの容量保証(何年で何%)やPCSの保証と、EPC会社の性能保証がどのように分担されているかも確認します。保証の窓口が分かれていると、不具合の際に責任の所在が曖昧になりやすいためです。
遅延の補償はなぜ重要ですか
完工が遅れると、需給調整市場などでの収入が得られない期間が生じるためです。
遅延の補償の条項では、どの原因の遅れが対象になるか、補償の上限、系統側の工事の遅れなど工事会社の責任でない遅れの扱いを確認します。系統側の工事は3か月から数年まで幅があるため、どこまでをEPC会社の責任範囲とするかを明確にしておきます。
瑕疵の保証期間はどう読みますか
引渡し後に見つかった不具合を、工事会社が無償で直す期間と範囲です。
保証期間の長さに加え、対象が工事部分だけか機器も含むか、遠隔監視で検知した不具合への対応時間が定められているかを確認します。運転後の保守との境目は、O&M契約とあわせて整理します(蓄電所のO&Mに含まれるもの)。
契約の当事者は誰にすればよいですか
蓄電所を所有する会社が、EPC会社と直接契約するのが基本です。
SPCで持つ場合はSPCが発注者になります。補助金を使う場合は、交付決定の後に契約・発注した設計、設備、工事が対象となり、発注ごとに相見積りが要るため、EPC契約の締結の時期と相手方の選び方にも制約がかかります。開発事業者がEPC会社と結んだ契約を引き継ぐ場合は、保証の権利が新しい所有者に移るかどうかを、契約の条項で確認しておきます。
まとめ
- EPC契約は、工期・性能保証・遅延の補償・瑕疵の保証期間の4項目を最初に確認します
- 工期は発注から試験まで6〜12か月を目安に、系統工事と市場参加の準備まで一つの工程で確認します
- 性能と不具合の保証は、機器メーカー・EPC会社・O&M会社の分担を契約で明確にします
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出典
- 電気事業法(保安規程・電気主任技術者)
- 消防庁 火災予防条例(蓄電池設備の届出)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。