
2MW級で約定率が90%から70%に下がると、同じ単価でも年間売上は約22%減ります。単価の下振れと同時に起きた場合の水準を把握しておくことが、収支を読む前提になります。
年間売上はどのような式で決まるのですか
出力(kW)×単価(円/ΔkW・30分)×約定したコマ数で決まります。
1日は30分×48コマ、1年で17,520コマです。全コマに入札し、そのうち約定した割合が約定率です。約定率そのものの考え方は既存の解説に譲り、本記事では2MW級の金額の幅に絞って確認します。
2,000kW×17,520コマ×単価×約定率による計算例。見積りや収益の見込みではない。
約定率70%と90%ではどの程度の差になりますか
どの単価でも、70%の売上は90%の約7割8分の水準です。
| 平均の約定単価 | 約定率90% | 約定率70% |
|---|---|---|
| 10円(2026年9月からの上限) | 約3.15億円 | 約2.45億円 |
| 7円 | 約2.21億円 | 約1.72億円 |
| 5円 | 約1.58億円 | 約1.23億円 |
| 3円 | 約0.95億円 | 約0.74億円 |
単価10円では差が約0.70億円、5円では約0.35億円です。単価が低いほど差の金額は小さくなりますが、売上全体に占める割合は変わりません。
単価と約定率が同時に下がるとどうなりますか
単価10円・約定率90%の約3.15億円に対し、単価5円・約定率70%では約1.23億円と、4割弱の水準になります。
2026年度は前日取引への移行、募集量の見直し、上限価格の引き下げが重なり、単価は全エリアで下がっています。蓄電池の参加が増えれば、応札の競争で約定率も下がり得ます。二つの下振れは同じ原因から同時に起こる可能性があるため、片方だけを動かす感応度分析では不十分です。
売り手の試算はどう読めばよいですか
単価と約定率の組み合わせを表で求め、最も厳しい組み合わせでも費用と返済を賄えるかを確認します。
- 単価がいつ・どの商品・どのエリアの数字か、上限価格の改定後の水準か
- 約定率が何%で置かれているか、その根拠は実績か想定か
- 売上からアグリゲーター手数料(収益の10%前後が多い)と充電の損失が差し引かれているか
- 卸電力市場と容量市場の収入を、需給調整市場と二重に数えていないか
手数料の計算基礎はアグリゲーター手数料の見方で解説しています。
約定率を上げるためにできることはありますか
応札価格の付け方と商品の組み合わせは、アグリゲーターの運用方針で変わります。
2026年3月から一次〜三次①の取引は前日・30分単位に移り、応札の巧拙で差がつく市場になりました。高い価格で応札すれば約定率は下がり、低い価格で応札すれば単価が下がります。どちらを優先するかはアグリゲーターの方針によるため、契約前に過去の応札の考え方と、約定率の実績の開示方法を確認しておきます。
まとめ
- 約定率が90%から70%に下がると、同じ単価で年間売上は約22%減る
- 単価と約定率は同時に下がり得るため、組み合わせで最も厳しい水準を確認する
- 単価の時点・商品・エリアと約定率の根拠を、売り手の試算で確かめる
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出典
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「2025年度の取引実績について」(2026年6月)
- 本記事の売上表は 2,000kW×17,520コマ×単価×約定率 による計算例
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。