
答え:1人が持てる区画の数に一律の上限はありません。ただし、隣り合う区画を同じ名義で持つと、本来ひとつの設備を低圧に分けた「分割設置」と判断されやすくなります。複数基を持つなら、離れた場所に1基ずつ置くのが確実です。
低圧蓄電所は1基2,000万円台からの規模で、エリアや時期を分けて複数基を持つこともできます。太陽光の低圧案件と同じように、2基目、3基目と増やしたいという相談も増えています。ここでは、区画ごとの扱いの考え方と、分割設置とみなされないための注意点を整理します。
低圧蓄電所は区画ごとにどう扱われるのか
区画ごとに独立した設備として、それぞれ電柱から低圧で受電し、別々に連系の申込みと技術協議を行います。
出力50kW未満なら高圧の受変電設備が要らず、低圧(200V)で受電できます。1区画に49.9kWの蓄電池を置き、その区画のための連系盤と計器を通して電力網につなぐのが基本の形です。連系の可否は、配電線と柱上変圧器の余裕を、放電と充電の両方で確かめたうえで判断されます。
離れた場所に1基ずつ
- 区画ごとに独立した設備と接続
- 土地と設備の名義が区画ごとに完結
- 分割設置と判断されにくい
- エリアを分けて束ねの見込みも分散
隣り合う区画を同じ名義で
- 実質ひとつの高圧規模の設備に見える
- 設置者や土地所有者が同じだと分割と判断されやすい
- 申込み後の審査で連系できないおそれ
判断するのは一般送配電事業者で、申込み後の審査の中で行われます。
分割設置とは何か
本来ひとつの設備を、複数の低圧に分けて連系することで、電気事業法の規則で規制されています。
低圧の区画を並べて実質的に高圧の規模にすると、高圧の手続きや設備を避けることになるため、規制の対象になります。2023年4月から、系統用蓄電池もこの規制の対象になりました。
どのような場合に分割と判断されやすいのか
隣り合う区画で、設置者が同じ場合や、土地の所有者(登記簿上の名義)が同じ場合です。
- 申込みの年度から遡って1年以内の名義も見られる
- 所有者が別でも、土地が実質的に一つの場所と認められれば、分割と判断されることがある
- 道路や河川、自治体が管理する水路などで物理的に隔てられている場合は「特段の理由」になり得る
2026年10月の国の審議会では、遡る期間を1年から5年に延ばす案が議論されています(10月時点では未決定)。今後、判断が厳しくなる可能性がある点も踏まえておく必要があります。考え方は隣り合う土地を別々に貸すときの注意でも解説しています。
複数基を持つときは何に気を付ければよいのか
離れた場所に1基ずつ置き、区画ごとに土地と設備の名義が完結しているかを確かめることです。
隣り合う区画を別々の買い手に売る案件では、土地と設備の名義が区画ごとに分かれているかを確認します。また、需給調整市場の最低入札量は1MW(1,000kW)で、49.9kWの蓄電池は同じエリアで束ねて初めて入札できます。エリアを分けて持つ場合は、それぞれのエリアで束ねが成立しているか、成立の見込みがあるかも確かめます。増やし方の考え方は2基目・3基目と増やすときのエリアと時期の分け方で整理しています。
何基まで持つかを決める材料は何か
規制上の上限ではなく、資金、エリアの分散、束ねの見込み、税制の扱いで決まります。
即時償却が使える大胆な投資促進税制は、1基では対象になりません。中小企業経営強化税制も、電気を全量売る事業は対象外とされています。設備は減価償却で費用にし、毎年固定資産税(償却資産)がかかります。基数を増やすほど管理の手間も増えるため、法人で持ってまとめて管理する方が多い形です。
区画ごとの書類は何を揃えておくべきか
区画ごとに、土地の登記簿や賃貸借契約、設備の発注書、連系の申込みと技術協議の書類を分けて保管しておくことです。
分割設置の審査では名義や土地の関係が確かめられるため、どの区画が誰の名義で、どの電柱から受電しているかを説明できる状態にしておきます。区画ごとに書類が整っていれば、将来の売却や名義変更の手続きも進めやすくなります。
なお、低圧の扱いは国の審議会で見直しの議論が続いており、接続検討や保証金を求めるかどうかも検討の対象になっています。区画を増やす計画を立てるときは、最新の制度の動きを確かめたうえで進めることが大切です。
まとめ
- 低圧蓄電所を持てる区画の数に一律の上限はなく、区画ごとに独立した設備と接続として扱われます。
- 隣り合う区画を同じ設置者や土地名義で持つと、分割設置と判断されやすくなります。
- 複数基を持つなら離れた場所に1基ずつ置き、名義と束ねの見込みを区画ごとに確かめます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
- 資源エネルギー庁 次世代電力系統ワーキンググループ 資料(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。