
この記事では、太陽光発電が増えると電力網で何が起きるのか、そして蓄電池がなぜその受け皿になるのかが分かります。昼に余る電気の価格の変化と、天候による揺れを打ち消す調整力の必要性という2つの面から、再エネと蓄電池の関係を整理します。
電力網は常に需要と供給を一致させている
電力網では、使う量と発電する量を常に一致させないと周波数が乱れます。これまでこの調整の中心を担ってきたのは火力発電でした。燃料を増やしたり減らしたりして、需要の変化に合わせて出力を調整してきたのです。
一方、太陽光は天気で、風力は風で出力が変わります。発電する側が自分で出力を合わせられないため、再エネが増えるほど、その揺れを打ち消す調整力が多く必要になります。しかも脱炭素の流れの中で、調整を担ってきた火力発電は減っていきます。
起きること1:昼の電気が余り、価格が下がる
太陽光は昼に発電が集中します。晴れた日の昼は、太陽光の発電が需要を上回りやすくなり、卸電力市場(JEPX)の価格が下がります。反対に、日が傾く夕方は太陽光の発電が減る一方で需要は残るため、価格が高くなりやすくなります。
この「昼は安く、夕方は高い」という価格の差は、電気をためておける設備にとって機会になります。安い時間に充電し、高い時間に放電すれば、その値差が収入になるからです。
値差は収入の一つだが副次的。蓄電所の収益の中心は調整力の待機の対価。
起きること2:調整力がもっと必要になる
再エネが増えると、天候の変化によって発電量が急に増えたり減ったりします。このとき電力網の周波数を保つには、短い時間で出力を上げ下げできる設備を、あらかじめ待機させておく必要があります。これが調整力です。
一般送配電事業者は、この調整力を需給調整市場で調達します。蓄電池は指令から1秒以内に出力を変えられ、充電と放電を素早く切り替えられるため、調整力の担い手として適しています。調整力の担い手が、火力から蓄電池へと移り始めています。
蓄電池は2つの面で再エネを支える
蓄電所は、自分で発電する設備ではありません。電気を余るときに預かり、足りないときに返す「電気の預かり所」です。その働きは、再エネが増えることで生じる2つの課題にそのまま対応しています。
| 再エネが増えると | 蓄電池の役割 | 対価の得方 |
|---|---|---|
| 昼に電気が余り、夕方に足りない | 昼に充電し夕方に放電して時間をずらす | 卸電力市場の値差 |
| 天候で発電が揺れる | 出力を出せる状態で待機し、揺れを打ち消す | 需給調整市場の待機の対価 |
このうち、蓄電所の収益の中心は需給調整市場の調整力、つまり待機の対価です。卸電力市場の値差は副次的な収入として位置づけられます。
投資家が押さえておきたい見方
再エネが増えるほど蓄電池の役割が大きくなるという流れは、蓄電所の事業の土台です。ただし、蓄電池の設備量が増えれば、調整力の単価が下がる局面も考えられます。高圧編の解説では、海外の先行市場で、蓄電池の設備量が調整力の必要量を超えたところで単価が下がり、収益の中心が値差へ移った例が紹介されています。
そのため、収支を見るときは、調整力の単価が高い状態がずっと続く前提ではなく、単価が下がっても成り立つかを確かめることが大切です。値差の収入は、その局面で収益を支える役割を持ちます。
地主にとっての意味
再エネの導入が進む地域では、配電線の空きがある場所で、蓄電所の用地が求められることがあります。蓄電所は燃料を使わず、発電もしないため、比較的小さな土地でも設置できます。出力49.9kW級の低圧蓄電所であれば、必要な用地は約40㎡です。
使い道の決まっていない土地をお持ちの方にとって、再エネを支える設備の用地として貸すという選択肢があることは知っておく価値があります。ただし、住宅との距離や浸水の想定、搬入路など、用地として満たすべき条件もあります。当社は50m以内に民家や宿泊施設がある土地は扱っていません。
蓄電所の役割を理解しておくことは、案件の収支の説明を受けるときにも役立ちます。収入のうちどれだけが調整力の待機の対価で、どれだけが値差なのかを確かめると、その案件が市場の変化にどの程度耐えられるかが見えてきます。
まとめ
- 太陽光が増えると昼の電気が余って価格が下がり、夕方は高くなりやすい
- 天候による揺れを打ち消す調整力が多く必要になり、担い手が火力から蓄電池へ移り始めている
- 蓄電所は時間をずらす値差と、待機による調整力の両面で再エネを支える。収益の中心は調整力
- 設備量が増えれば単価が下がる局面も想定し、単価が下がっても成り立つかで収支を見る
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 解説ブック 2026」高圧編・低圧編
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。