
即時償却とは、設備の取得価額を、取得した年度に一度に費用として計上できる特例です。蓄電所では、令和8年度税制改正で創設された大胆な投資促進税制などの要件をすべて満たし、決められた順番で手続きを進めた場合に限って使えます。
即時償却は通常の償却と何が違うのか
違いは費用にする時期で、通常の減価償却は耐用年数にわたって少しずつ費用にし、即時償却は取得した年度にまとめて費用にします。費用にできる合計額そのものは変わりません。
通常の減価償却
- 耐用年数にわたって毎年少しずつ費用にする
- 毎年の税負担が平準化される
- 特別な手続きは要らない
即時償却
- 取得した年度に一度に費用にする
- 初年度の税負担が軽くなり、翌年度以降は重くなる
- 税制の要件と手続きの順番を満たす必要がある
運転期間の合計で見ると、費用にできる額は同じ。
なぜ蓄電所で即時償却が話題になるのか
話題になるのは、大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)で、系統用蓄電池を含む設備投資について即時償却か税額控除を選べるようになったためです。この制度の要件と落とし穴は「節税になる蓄電所」は本当かで詳しく整理しています。
使えるかどうかはどう確かめるのか
使えるかどうかは、制度の要件と手続きの順番に照らして一つずつ確かめます。主な確認点は次のとおりです。
- 投資計画の規模の要件と、年平均の投資利益率が15%以上となる見込みの要件を満たすか
- 経済産業大臣の確認を受けてから設備を取得する段取りか(確認前に取得した設備は対象外)
- 未使用の設備か(売主が運転を始めた設備は中古扱いで対象外)
- 土地、接続の権利、工事費負担金は取得価額に含まれない前提で金額を見ているか
- 貸付けの形の契約になっていないか
低圧蓄電所1基の投資は、制度の投資規模の要件に届かず対象外です。個別の適用は税理士などの専門家に確かめる必要があります。
即時償却についてよくある誤解は何か
よくある誤解は、即時償却で税金そのものが減るという考え方です。即時償却は税を払う時期を前に倒す効果が中心で、事業が生む収益を増やすものではありません。もう一つは、節税になるなら高く買ってもよいという考え方です。投資利益率の分母は設備の取得価額のため、高く買うほど要件から遠ざかります。この逆説は「節税になるから高く買ってよい」が逆効果になる理由で解説しています。
まとめ
- 即時償却は、設備の取得価額を取得年度に一度に費用にできる特例
- 蓄電所では大胆な投資促進税制などの要件と、大臣確認の後に取得する順番を満たす場合に限られる
- 税を払う時期を前に倒す効果が中心で、価格の妥当性の確認を省く理由にはならない
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。