
スポット市場とは、日本卸電力取引所(JEPX)で翌日の30分ごとの電気(kWh)を売買する市場です。蓄電所にとっては、価格の安い時間に充電し高い時間に放電する値差が、電力量(kWh)による収入の源になります。
スポット市場では何がどのように決まるのか
スポット市場では、翌日の30分ごとの電気の量と価格が取引で決まります。取引の対象は電力量(kWh)で、需給調整市場で取引される調整力(ΔkW)とは別のものです。価格は時間帯によって大きく変わり、太陽光の多い春や秋の昼に下がり、夕方に上がる傾向があります。
- 夜〜朝価格は日により様々
- 昼太陽光が多く価格が下がりやすい。充電の候補
- 夕方太陽光が減り価格が上がりやすい。放電の候補
- 精算値差から損失と費用を差し引いた分が残る
傾向であり、値差が小さい日は運用しない判断もある。
なぜ蓄電所でスポット市場が重要なのか
スポット市場は、需給調整市場で約定しなかった時間を補う収入源になるためです。蓄電所の収入源は、調整力(ΔkW)、電力量(kWh)、供給力(kW)の3つで、スポット市場は電力量を担います。高圧でも低圧でも、収入の中心は需給調整市場で、スポット市場の値差は副次的な位置づけです。収入源の全体像は蓄電所の3つの収入源にまとめています。
スポット市場の収入はどう確かめればよいのか
スポット市場の収入は、値差から充放電の損失と費用を差し引いて確かめます。蓄電池は往復で85〜90%程度しか電気が戻らず、充電の電気には託送料金や再エネ賦課金がかかる場合があります。アグリゲーター手数料も差し引かれます。
- 卸電力市場の収入を、需給調整市場とは分けて示しているか
- 値差の前提を、どの時期の価格をもとに置いているか
- 充放電の損失と充電にかかる費用を差し引いているか
値差運用の詳しい仕組みは卸電力市場(JEPX)で収入を得る仕組みで説明しています。
スポット市場についてよくある誤解は何か
一つ目は、値差がそのまま利益になると考えることです。昼と夕方の価格差が小さい日は、損失や費用を差し引くと利益が残らないことがあります。値差運用は、十分な値差がある日に限って行う運用です。
二つ目は、需給調整市場と同時に最大限使えると考えることです。蓄電池の容量には限りがあるため、待機するコマと値差を取るコマの配分を、アグリゲーターが前日の見通しに合わせて決めます。海外の先行市場では、調整力の単価が下がった後に収益の中心が値差へ移ったとされ、配分の重みは時期によって変わり得ます。
まとめ
- スポット市場は、JEPXで翌日の30分ごとの電気(kWh)を売買する市場です。
- 昼に充電し夕方に放電する値差が電力量の収入源ですが、需給調整市場の補いという位置づけです。
- 損失や託送料金、手数料を差し引くため、値差の前提と費用の扱いを分けて確かめます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。