家計消費支出
(定義・範囲)① 家計の財及びサービスに対する消費支出額から、同種の販売額(中古品と屑)を控除し、海外から受取った現物贈与の純増を加算し、さらに居住者の海外消費を加算したものである。ここでいう消費支出は、土地、建物・構築物以外のものに対する全ての支出をさし、使用せずに残ったものを含めた財の購入額のすべてを消費支出として計上する。② 国民経済計算における家計消費支出には、「国内市場における居住者家計並びに非居住者家計の消費」(国内概念)と「国内市場及び海外における居住者家計の消費」(国民概念)という 2 つの概念がある。産業連関表においては、本部門を「国民概念」で表章した上で、居住者家計の海外市場における消費を列部門「9412-00(控除)輸入(直接購入)」として、非居住者家計の国内市場における消費を列部門「9212-00 輸出(直接購入)」としてそれぞれ別掲している。この表章形式により以下の利点がある。1) 国民経済計算における両方の家計消費概念が利用できる。2) 産業連関表全体としての「国内概念」への転換が可能となる。なお、「国内概念」への転換については、「9412-00(控除)輸入(直接購入)」、「9212-00 輸出(直接購入)」を参照のこと。③ 海外現物贈与(個人が外国から受ける贈与)と海外消費支出(居住者の外国における財及びサービスの消費)については、輸入欄にいったん計上し、その需要先である家計消費支出欄に計上する。④ 中古品取引については、それが家計部門内相互間の取引である場合と、資本形成や政府サービス生産者などの他部門との間の取引である場合とに分けられる。前者の場合には中古品の販売額は相殺され、その取引に伴う商業マージンと運賃のみが計上されるが、後者の場合には、家計からの販売額はマイナスの家計消費支出となり、逆に家計が他部門から購入した中古品は、購入額が家計消費支出となり、販売した部門では、販売額をマイナスの支出として計上することとしている。⑤ 医療及び介護については、家計の負担分のみ計上する。⑥ 現物給付(通勤手当等)については、家計消費支出に含める。したがって、企業(企業負担部分、社員自己負担部分とも)、自衛隊における給食についても、直接家計消費されるものとする。なお、刑務所における給食は、飲食材料の政府消費とし、家計消費には含めない。⑦ 飲食店、旅館、娯楽業、病院等で飲食物が提供される場合、このための飲食材料費は直接には家計消費せず、すべて産業の経費に計上し、産業の産出を通じた家計消費支出にするものとする。⑧ 家計における住宅にかかる補修や維持費は、すべて住宅賃貸料を迂回して家計が購入するものとする。ただし、介護保険の適用を受けた住宅改修については、家計の負担分のみ計上する。