IT導入補助金は、ほぼすべての業種が利用できる・原則返済が不要、など中小企業や小規模事業者にメリットが多い補助金です。補助金額は最大450万円(補助率1/2~3/4)です。費用負担を抑えながら効果的なITツールを導入して、事業の成長に役立てられます。

IT導入補助金活用法!事業を劇的に成長させる方法

ITツールの導入費用の一部を国が負担してくれるIT導入補助金。昨年度は5,932件が採択され、多くの企業がITツールによって業務の改善に成功しています。今回の記事ではIT導入補助金で得られるメリット・申請要件・補助金額・申請方法について詳しく解説します。

IT導入補助金の魅力

IT導入補助金はITツールの導入を促すことで、事業所の経営課題を解決する制度です。ここでは、どのようなメリットが得られるのかを紹介します。

  • 中小企業・小規模事業者へのメリット
  • 生産性向上や経営改善の実績事例

上記の2つについて見てみましょう。

中小企業・小規模事業者へのメリット

IT導入補助金の対象者は中小企業と小規模事業者です。(一部の類型をのぞく)以下の6つのメリットが得られます。

ほぼすべての業種が対象

IT導入補助金はほぼすべての業種が対象です。中小企業の場合、製造業やサービス業、医療法人、財団法人など20種類以上の業種を支援してくれます。小規模事業者の場合は、5人以下のサービス業や20人以下の製造業などが補助対象です。

自社の課題に合ったITツールが選べる

IT導入補助金は、自社の課題に合ったITツールを選択しやすいです。ITツールはIT導入補助金事務局に登録済みであることが条件で、その種類は多岐にわたります。2023年10月時点では約9万点のITツールが登録されています。

例えば、電話対応が主流の運転代行業の場合、顧客管理と配車管理を連携できるツールが導入可能です。運転手に専用スマホを持たせることで依頼された場所に到着した際、運転手が直接顧客に対して到着の連絡ができます。オペレーターの負担を減らせるため業務に関するミスが防げます。

IT導入補助金はほぼすべての業種が補助対象なので、業種や自社に合ったツールを見つけられるでしょう。

採択があるまで何度でも申請可能

IT導入補助金は、採択されるまで何度でも申請できます。1次、2次と締切回が複数設けられており、仮に1次で不採択となった場合は、2次以降に再申請が可能です。IT導入補助金は、何度でも挑戦できるというメリットがあります。

同時申請できる枠がある

通常枠(A類型・B類型)とデジタル化基盤導入枠、セキュリティ対策推進枠は同時に申請※ができます。例えば、通常枠(A類型・B類型)で総務・人事のシステムを導入し、デジタル化基盤導入枠でEC機能があるITツールを導入するなど、使い分けが可能です。

通常枠(A類型・B類型)とデジタル化基盤導入枠を同時申請すると、審査において減点されますが不正ではありません。加点要素を追加することで減点分を補うことができます。

※デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)は同時申請不可

購入は採択が決まった後だからリスクがない

ITツールの購入できるのは採択通知を受け取った後です。不採択の場合は購入する必要がないため、費用面でのリスクを回避できます。

採択通知を受け取ってITツールの購入し、購入したことがわかる書類の提出「事業実績報告」すると1~2ヵ月後に補助金が交付されます。

原則返済しなくていい

IT導入補助金は、返済の義務がない補助金です。IT導入後に不正行為がなく、事務局が求める報告をきちんと実行すると返済する必要はありません。

生産性向上や経営改善の実績事例

IT導入補助金の活用によって生産性の向上や経営の改善ができた事例を2つ紹介します。

有限会社天女山

有限会社天女山は山梨県北杜市を中心に活動する林業事業体です。森林調査は調査員が直接歩いて1本ずつ調べます。また、調査結果をエクセルに手動入力するため、時間もコストも多く必要としていました。産業の構造上、利益確保が難しいのが現状です。

自社負担だけではデジタル化が難しいため、同事業体はIT導入補助金の活用を検討。ドローンを使った森林解析を導入しました。その結果ドローンで空撮した結果を点群データ化し、ITツールを用いて解析・設計が行えるように。

また、ITツールによる作業道設計や土量の推測値計算もできるようになります。それにより、森林調査人員を約8割減らすことができ、調査コストの削減が実現しました。今後は、コスト削減だけでなく、森林所有者への魅力的な施業プランの提案や森林経営受託面積の拡大をはかる計画も立てています。

参照:有限会社天女山(山梨県北杜市)

株式会社キュリカ

株式会社キュリカは、給与前払いサービスを提供する企業です。自社が発行する「キュリカカード」を使って、給料日を待つことなく全国のATMから直接給料を引き出せる、給与前払いサービスを開発しています。

株式上場を目指すにあたり、勤怠管理や経理などバックオフィス業務などを親会社から独立するように求められました。そこで同社は安全性のあるクラウド会計ソフトの導入に踏み切ります。

自社サービスと連携して売上管理ができる・リモートワークに対応できる・上場基準を満たしている点を重視して、IT導入補助金に登録されているクラウド会計ソフトを導入します。

クラウド会計ソフトの導入を含めた取り組みにより、リモートワーク率は0%から50%へ。また、リモートワークのおかげで会計伝票の起票・経費精算・稟議申請の回覧が出社しなくても可能になり、管理部門業務の効率が2倍以上アップしました。

フレックスの活用や営業部門の経費精算のスマホ申請など、あらゆる面で業務の効率的化に成功しています。

参照:株式会社キュリカ(東京都渋谷区)

補助金申請の要件と対象者

ここでは、IT導入補助金の要件や対象者について解説します。

  • 申請の条件と業種・事業規模
  • IT導入支援事業者登録の確認方法

上記の2つに分けて見てみましょう。

申請の条件と業種・事業規模

申請の条件と業種・事業規模は次の通りです。

申請の条件

通常枠(A類型・B類型)の公募要領に記載している条件を見てみましょう。

  • 交付申請時点において日本国内で法人登記と事業を営む法人・個人
  • 申請者が営む事業場が交付申請の直近月において、法律に基づいた地域別最低賃金以上である
  • 「gBizID プライムアカウント」を取得している
  • 「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星、どちらかの宣言を行うこと。また、申請内容を情報処理推進機構(IPA)と共有することに同意している
  • 交付申請に必要な情報を入力し、実在証明書や本人確認書類など必要書類を必ず提出する
  • 交付申請の際、申請者本人が管理・所有する携帯電話番号を1つ登録する
  • 国・中小機構・その他の独立行政法人の補助金と重複する事業のなかで、補助事業の対象として含んでいない
  • 補助事業を実施することに関する労働生産性の伸び率向上について、以下の実現可能で合理的な目標計画を作成する

    →1年後の伸び率が3%以上

    →3年後の伸び率が9%以上

  • IT導入支援事業者と確認をした後、生産性向上にかかる情報(営業利益など)を事務局に報告する
  • 事務局に提出した情報は、事務局・国・中小機構が利用することに同意すること
  • 事例の調査協力には、特別な事情がない限り協力する
  • 事務局から付与される申請マイページのログインID・パスワードを適切に管理する。また、IT導入支援事業者を含む第三者に渡さない
  • 法令遵守上や訴訟において、補助事業の進行に支障が出るような問題を抱えていない
  • 中小機構が実施する補助事業で虚偽の申請・不当な利益配賦など、不正な行為を行っていない。また、今後も不正な行為を行わない
  • 交付申請や実績報告時のなかで、中小機構による立入調査の協力を要請された場合は協力する。協力しない時は、交付決定の取り消しのほか、補助金返還が求められる場合があることに同意する
  • 申請の対象外となる事業者でない
  • 補助金・中小企業庁の設置する各種相談窓口で、申請時・利用時・事業報告提出時等に提供された情報は、経営支援や効果的な政策立案のために、行政機関やその業務委託先などが利用することに同意する。さらに、データ開示依頼があった時は申請者の承認をもらった後、支援機関に情報提供されることに同意する
  • 交付申請前に「みらデジ経営チェック」を行っている
  • 本事業のB類型の場合、その他要件を全て満たす3年の事業計画を策定・実行すること

参照:IT導入補助金2023 公募要領 通常枠 (A・B 類型)

業種・事業規模

業種・事業規模は以下の定義に当てはまる中小企業と小規模事業者です。

【中小企業の定義】

項目内容
①製造業・建設業・運輸業資本金額・出資総額:3億円以下の会社常時使用する従業員:300人以下の会社・個人事業主
②卸売業資本金額・出資総額:1億円以下の会社常時使用する従業員:100人以下の会社・個人事業主
③サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)資本金額・出資総額:5千万円以下の会社常時使用する従業員:100人以下の会社・個人事業主
④小売業資本金額・出資総額:5千万円以下の会社常時使用する従業員:50人以下の会社・個人事業主
⑤ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く)資本金額・出資総額:3億円以下の会社常時使用する従業員の数:900人以下の会社・個人事業主
⑥ソフトウェア業・情報処理サービス業資本金額・出資総額:3億円以下の会社常時使用する従業員の数:300人以下の会社・個人事業主
⑦旅館業資本金額・出資総額:5千万円以下の会社常時使用する従業員の数:200人以下の会社・個人事業主
⑧その他業種(上記以外)資本金の額または出資の総額:3億円以下の会社常時使用する従業員の数:300人以下の会社・個人事業主
⑨医療法人・社会福祉法人 常時使用する従業員の数:300人以下の者
⑩学校法人
⑪商工会・都道府県連合会・商工会議所常時使用する従業員の数:100人以下の者
⑫中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
⑬特別の法律によって設立された組合またはその連合会
⑭財団法人(一般・公益)・社団法人(一般・公益)
⑮特定非営利活動法人

【小規模事業者の定義】

項目内容
①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)常時使用する従業員の数が5人以下の会社・個人事業主
②サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数が20人以下の会社・個人事業主
③製造業その他常時使用する従業員の数が20人以下の会社・個人事業主

参照:IT導入補助金2023 公募要領 通常枠 (A・B 類型)

IT導入支援事業者登録の確認方法

IT導入補助金を活用するためには、事務局に登録されているIT導入支援事業者を選ぶ必要があります。IT導入支援事業者は事務局の公式サイトから検索可能です。2023年度のIT導入補助金の場合、事務局が前期と後期で分かれています。現在は後期事務局が対応※しているので間違えないようにしてください。

※2023年8月1日以降

参照:IT導入支援事業者・ITツール検索 (コンソーシアム含む)

補助金の種類と対象ITツール

ここでは、補助金の種類と対象ITツールについて解説します。

  • 類型別の補助金額と目的
  • 業務効率化やデジタル化の対応ツール

上記の2つに分けて見てみましょう。

類型別の補助金額と目的

IT導入補助金は複数の申請枠(類型)が設定されています。申請枠に応じた目的とともに補助金額を確認してください。

【通常枠】

目的自社の課題に適しているITツールを導入。業務の効率化や売上アップをはかる
対象ソフトウェア購入費用・クラウドサービス利用料・導入サポート設定費用
上限額A類型(補助率1/2以内)B類型(補助率1/2以内)
5万円~150万円未満150万円~450万円以下

【セキュリティ対策推進枠】

目的サイバー攻撃などセキュリティ上の脅威に関するリスクを軽減
対象セキュリティサービス利用料
上限額5万円~100万円(補助率1/2以内)

【デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)】

目的会計・受発注・決済・ECソフトなどを導入し、労働生産性向上をはかる
対象ソフトウェア購入費用・クラウドサービス利用料・導入サポート設定費用
上限額ソフトウェア等(補助率3/4以内)ソフトウェア等(補助率2/3以内)パソコンやタブレット等(補助率1/2以内)レジや券売機(補助率1/2以内)
下限なし~50万円以下50万円超~350万円以下10万円以下20万円以下

【デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)】

目的インボイス制度に対応した受発注システムを導入し業務を改善
対象受発注ソフト
上限額中小企業・小規模事業者等が申請(補助率2/3以内)その他の事業者等が申請(補助率1/2以内)
下限なし~350万円以下

【デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)】

目的複数の事業所※が連携してITツールを導入し、生産性の向上をはかる取り組みを支援
対象基盤導入経費・消費動向等分析経費・その他経費
補助額基盤導入経費(補助率3/4以内)基盤導入経費(補助率2/3以内)事務費、専門家費(補助率2/3以内)
下限なし~50万円以下50万円超~350万円200万円以下
上限額3,000万円以下

※業務上つながりのあるサプライチェーンや商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者のこと

参照:

IT導入補助金2023(事業概要)

IT導入補助金2023(補助対象について)

業務効率化やデジタル化の対応ツール

業務効率化やデジタル化に対応するツールの一例を紹介します。全業種に共通するITツールを以下の通りです。

【OCR】

  • 文字認識機能によって、手書きや印刷された発注書の文字を自動でデータ化

【RPA】

  • OCRシステムと連携が可能
  • データ化した発注書などの内容を自社が管理しているフォーマットに自動入力
  • 社員が交通費精算フォームに記入した金額と、乗り換え案内サイトの情報の照合を自動化
  • 社員の給与計算・経費精算をルール化し、金額の算出を自動化
  • 給与のオンライン振込の設定。振込情報を経理担当者と社員本人にメールで送付

【分析】

  • 売上などさまざまなデータを収集。ツールで自動的に集計して分析

【スタッフ管理】

  • ICカードやタッチパネルを使った勤怠管理でタイムカードの破損・紛失・打刻ミスを軽減
  • 出退勤のチェックを電子化。毎日の情報をリアルタイムで管理部門へ送信
  • スタッフの出勤時間が即座に把握できるため、業務中の人員配置をスムーズにできる
  • クラウドサービスでスタッフの勤怠管理を行い、シフトを作成する

【財務会計】

  • 仕訳のルールを学習し入力業務を自動化
  • レジや売上データなど、外部システムから入力される数値と連携。仕訳伝票を自動作成
  • 会計情報をクラウド管理し、リアルタイムに税理士と共有

【人事・労務】

  • 社員の個人情報や給与情報と連動し、社会保険や雇用保険を管理
  • ハローワークに書類を電子申請
  • 人事評価の基準を可視化し、社員同士がお互いに人事評価を行う

【顧客管理・売上管理】

  • 担当者が管理する顧客情報と販売情報を連携して社内で共有。引継ぎをスムーズにする
  • 商圏分析や今後の販売展開の戦略検討に使用
  • 名刺交換で得た情報をデータ化。会社の共有資産として活用

【マーケティング・コミュニケーション】

  • 収集した顧客データを基に、ニュースレターやメールマガジンを配信

【文書証憑管理】

  • 社内マニュアルなど、関連文書の書き換えを自動化
  • 文書ファイルの更新履歴や変更担当者を明確に表示
  • 契約書を電子化して必要な書類をすぐに検索・ピックアップ
  • 複数の契約書を紐づけて管理し、一括書き換え
  • 契約書ごとに閲覧制限をかけ、不正な閲覧や書き換えを予防

【問い合わせ管理・コミュニケーション】

  • サイトにチャットボットを導入し、頻繁に質問されるQ&Aを登録・返答する

【ワークフロー・グループウェア】

  • 経営方針や業務ノウハウをクラウドにアップし、新旧社員にオープン化
  • 社外からセキュリティ性の高い書類を確認・作成・編集できる
  • ビジネスチャットツールで現在地に囚われることなくオフィスメンバーと相談

参照:業種別 お悩み解決ITツール機能|全業種共通

申請の流れとスケジュール

ここでは、IT導入補助金の申請の流れとスケジュールを紹介します。

  • 必要書類や手続きの詳細
  • 申請期間と審査期間のスケジュール

上記の2つについて見てみましょう。

必要書類や手続きの詳細

必要書類は法人と個人事業主によって異なります。

【法人】

実在証明書履歴事項全部証明書(発行から3ヵ月以内)
事業実態確認書類税務署で発行された法人税の納税証明(直近のもの)

【個人事業主】

本人確認書類運転免許証(有効期限内のもの)運転経歴証明書もしくは住民票(発行から3ヵ月以内)
事業実態確認書類①税務署で発行された所得税の納税証明書(直近のもの)
事業実態確認書類②税務署が受領した確定申告書の控え(直近のもの)

参照:IT導入補助金2023 公募要領 通常枠 (A・B 類型)

申請や手続きは以下の流れに沿って進みます。

1:交付規程・公募要領の確認

導入枠ごとに用意されている交付規程・公募要領を確認しましょう。交付規程・公募要領はIT導入補助金事務局の公式サイトにPDFで準備されています。以下のリンクから確認可能です。

参照:IT導入補助金2023(資料ダウンロード)

2:gBizIDプライムアカウントの取得

IT導入補助金の申請には「gBizIDプライムアカウント」が必須です。補助金申請に必要な個人事業主または法人代表者のアカウントのことで、さまざまな補助金申請時に求められます。gBizIDのホームページから作成できるので、未取得の人は作成に進んでください。

gBizIDプライムアカウント取得には、印鑑証明書と登録印鑑を押した書類を運用センターへ郵送※する必要があります。その後、1週間程度でアカウントが発行されます。gBizIDプライムアカウントを郵送手続きする場合、即日発行ではないので、早めに手続きを行いましょう。

また、「gBizID」にはプライム・メンバー・エントリーと、アカウントが3種類あります。IT導入補助金に必要なのは「プライム」アカウントなので間違えないように注意してください。また「プライム」と「エントリー」は同時に保有できないので気をつけましょう。

※個人事業主はオンライン申請が可能。即日発行に対応

参照:

gBizID

マンガでわかる「GビズID」

3:SECURITY ACTIONの実施

SECURITY ACTIONとは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している制度です。中小企業・小規模事業者等が「セキュリティ対策に取り組みます」と、一つ星または二つ星、いずれかの自己宣言を行います。SECURITY ACTIONの公式サイトからオンラインで申し込み可能です

参照:SECURITY ACTION

4:みらデジ経営チェックの実施

みらデジ経営チェックとは、ITツールを選定する前に中小企業の経営者に経営課題を把握してもらう制度です。ITに精通した専門家への相談を支援してくれます。みらデジ経営チェックにはgBizIDプライムアカウントが必要です。アカウントのIDとパスワードを用意して、みらデジ公式サイトに新規登録へ進んでください。

※IT導入補助金2023デジタル化基盤導入枠(複数社基盤導入類型)は対象外

参照:みらデジとは

5:「IT導入支援事業者」や「ITツール」の選択

IT導入支援事業者とITツールを選びます。みらデジ経営チェックのアドバイスも参考にし、自社の業種・規模・経営課題に適したものを選択しましょう。IT導入補助金に採択されるためには、事務局に登録されているIT導入支援事業者・ITツールを選ぶ必要があります。

そのため、IT導入支援事業者およびITツールは必ず以下の公式サイトから検索してください。

参照:IT導入支援事業者・ITツール検索 (コンソーシアム含む)

6:IT導入支援事業者へ相談

IT導入補助金の申請はIT導入支援事業者と共同で行う作業です。IT導入支援事業者によっては複数のITツールを取り扱っているので、業種・規模・経営課題を伝えて納得できるものを選んでください。

以下の流れで申請が進みます。

  1. ITツールの選定・商談・見積依頼
  2. 申請マイページの招待を受ける
  3. 申請マイページの開設
  4. 交付申請の作成
  5. 交付申請の提出
  6. 交付決定通知を受け取る

7:ITツールを発注・契約・支払い・導入

IT導入補助金事務局から交付決定の案内が届いた後に、IT導入支援事業者へITツールを発注して契約を行いましょう。ITツールに対する支払いが完了したら、ただちに導入して事業を開始します。

交付決定通知を受け取る前に契約・発注・納品・請求・支払いを行ってしまうと、補助金を受け取れないので注意してください。

8:事業実績報告の作成・提出

ITツールの発注・契約・支払い・導入まで進んだら事業実績報告を行います。これはITツールを導入したことが証明できる書類等の提出のことです。手続きは申請マイページから行います。

参照:事業実施・実績報告の手引き

9:補助金額の交付

事業実績を報告すると確定検査が行われます。確定検査終了のメールが届くので申請側は必ず申請マイページ内で「確定検査結果の承認」を行ってください。申請側の承認手続きの後、1ヵ月程度で補助金が交付されます。

10:事業実施効果報告の作成・提出

補助金が交付された中小企業・小規模事業者は、事業実施効果の報告義務が発生します。定められた期間内に申請マイページにて必要情報を入力しましょう。IT導入支援事業者に内容を確認してもらった後、IT導入補助金事務局に提出します。

参照:新規申請・手続きフロー (中小企業・小規模事業者等のみなさまの手続き)

申請期間と審査期間のスケジュール

各申請枠の申請期間は以下の通りです。交付申請は随時審査が行われ、締切回ごとに採否が決定します。

通常枠・セキュリティ対策推進枠

項目締切日交付決定(予定)事業実施期間事業実績報告期限
1~8次受付終了
9次2023年12月25日(月)17:002024年1月29日(月)交付決定~2024年7月31日 (水)17:002024年7月31日 (水)17:00
10次2024年1月29日(月)17:002024年3月8日(金)交付決定~2024年8月30日 (金)17:002024年8月30日 (金)17:00

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

項目締切日交付決定(予定)事業実施期間事業実績報告期限
1~13次受付終了
14次2023年12月11日(月)17:002024年1月22日(月)交付決定~2024年7月31日 (水)17:002024年7月31日 (水)17:00
15次2023年12月25日(月)17:002024年1月29日(月)交付決定~2024年7月31日 (水) 17:002024年7月31日 (水)17:00
16次2024年1月15日(月)17:002024年2月19日(月)交付決定~2024年8月30日 (金) 17:002024年8月30日 (金)17:00
17次2024年1月29日(月)17:002024年3月8日(金)交付決定~2024年8月30日 (金) 17:002024年8月30日 (金)17:00

デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)

項目締切日交付決定(予定)事業実施期間事業実績報告期限
1~5次受付終了
6次2023年12月25日(月)17:002024年1月29日(月)交付決定~2024年7月31日 (水)17:002024年7月31日 (水)17:00
7次2024年1月29日(月)17:002024年3月8日(金)交付決定~2024年8月30日 (金)17:002024年8月30日 (金)17:00

デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

項目締切日交付決定(予定)事業実施期間事業実績報告期限
1~4次受付終了
5次2024年1月29日(月)17:002024年3月8日(金)交付決定~2024年8月30日 (金)17:002024年8月30日 (金)17:00

参照:IT導入補助金2023(事業スケジュール)

補助金活用の注意点と対策

ここでは、補助金を活用する際の注意点と対策を紹介します。

  • 悪質な事業者から身を守る方法
  • 効果的なIT導入と連携のポイント

上記の2つについて見てみましょう。

悪質な事業者から身を守る方法

IT導入補助金に登録されていない事業者が、架空の補助金申請を斡旋する詐欺があります。悪質な事業者から身を守るために、必ず事務局の公式サイトで「IT導入支援事業者登録」が行われているのか確認してください。

なかには、取引先の企業からIT導入に関する話を持ちかけられるケースもあるでしょう。「こういう裏技がある」などという話には乗らないように気を付けてください。不明点・不審点を感じた場合は、事務局のコールセンターなど相談窓口に問い合わせるのがおすすめです。

効果的なIT導入と連携のポイント

自社の経営に効果的なITツールを導入するなら「みらデジ経営チェック」で疑問点を解消しましょう。みらデジ経営チェックでは、ITコーディネータや中小企業診断士が課題の対応策・支援施策の紹介・ITツールの導入アドバイスなどを支援してくれます。どのようなITツールが効果的か把握できるようになるでしょう。

効果的なITツールを見つけたら、IT導入支援事業者の選定です。以下のポイントを加味して選んでください。

  • 自社の課題に適したITツールと合致している
  • 採択の実績がある(多い)
  • サポート体制に納得できる

特に、サポート体制がオンライン・電話・対面のどちらを用意しているのか、不明点や不具合が出た時の支援体制もチェックしておきましょう。

脱炭素を進めるITツールは「タンソチェック」

medidas株式会社が取り扱う「タンソチェック」も、IT導入補助金のITツールとして登録されています。タンソチェックとは、CO2の排出量が簡単に見える化できるWebサービスです。

日本で事業を営む企業は政府が掲げている「2030年までにCO2排出量を2013年度よりも46%削減する目標」と「温室効果ガス排出を2050年までに全体としてゼロにする目標」の達成のため、脱炭素化に向けた取り組みを強く促されています。

タンソチェックによって企業の温室効果ガス排出量を把握できると、現状の課題が認識でき、脱炭素経営に向けて何に取り組むべきかを知ることが可能です。タンソチェックは費用0円からはじめられるサービスで、IT導入補助金(通常枠「A類型」)を活用すると最大150万円の補助が受けられます。

ぜひ、IT導入補助金でタンソチェックを導入し、日本政府が推進する脱炭素の取り組みに協力しましょう。

よくある質問

ここでは、IT導入補助金に関するQ&Aを紹介します。

IT補助金2023年はいつから申請できますか?

申請枠によって定められている締切回の期間内に申請できます。どの申請枠でも最終締切回は「2024年1月29日(月)17:00」です。詳しくは公式サイトを確認してください。

参照:IT導入補助金2023|事業スケジュール

IT補助金2023年度の金額は?

補助金額は最大450万円(補助率1/2~3/4)です。申請枠によって補助金額は異なります。

IT補助金の最低金額はいくらですか?

通常枠(A類型)は最低5万円、通常枠(B類型)は最低150万円です。セキュリティ対策推進枠は最低5万円、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・商流一括インボイス対応類型・複数社連携IT導入類型)は下限なしです。

まとめ

IT導入補助金は、ITツールを導入することで事業所の経営課題を解決する制度です。ほぼすべての業種が利用できるほか、原則返済不要なので得られるメリットが多い補助金といえます。

申請枠が複数あるので、どの枠が自社に合うのか、交付規程や公募要領などを確認してください。効果的なITツールを、ぜひ補助金活用で取り入れましょう。

IT事業補助金に関する重要用語

項目説明
ITツールIT導入補助金事務局に登録されているツールのこと。2023年10月時点で、約9万点が登録されている。
gBizIDプライムアカウントIT導入補助金の申請に必要な経営者のアカウント。IT導入補助金以外の補助金申請時にも取得を求められる場合がある。
IT導入支援事業者ITツールの導入や申請支援を行う事業所。自社のツールを持つ「ITベンダー」と、ツールを仕入れて取り扱う「販売代理店」があり、IT導入補助金事務局に認定されていることが条件。

著者のプロフィール

タンソーマン 事務局
株式会社タンソーマンGXのメディア編集長です!日々、脱炭素に関わる情報を発信しています♪