
需給調整市場と容量市場の違いとは、前日に30分単位で調達される調整力(ΔkW)に対価が払われるか、4年後の供給力(kW)を年1回のオークションで約束して1年分の契約金を受け取るかという、時間軸と対価の違いです。系統用蓄電池では需給調整市場が収入の中心で、容量市場は高圧以上の補助的な収入源です。
需給調整市場と容量市場は何に払われるのか
需給調整市場は今の周波数を保つ待機に、容量市場は将来の供給力の約束に払われます。需給調整市場では一般送配電事業者が調整力を前日に調達し、約定した時間に待機していれば放電しなくても対価が出ます。容量市場では電力広域的運営推進機関が年1回メインオークションを行い、4年後の実需給年度の供給力を確保します。容量市場の仕組みは容量市場とは何かで詳しく説明しています。
| 項目 | 需給調整市場 | 容量市場 |
|---|---|---|
| 売るもの | 調整力(ΔkW) | 供給力(kW) |
| 運営・買い手 | 一般送配電事業者が調達 | 電力広域的運営推進機関がオークションを実施 |
| 時間軸 | 実需給の前日に30分ごとに約定 | 4年後の実需給年度の分を年1回 |
| 対価 | 出力×単価×約定したコマ数 | 落札で1年分の容量確保契約金 |
| 蓄電池の評価 | 応動の速さ。一次調整力で強み | 継続して放電できる時間 |
| 低圧49.9kW | 束ねて参加。一次調整力が中心 | 最低1,000kWの要件で単独では対象外 |
需給調整市場
- 前日に約定
- 30分単位で日々の収入
- 単価の上限は制度で改定
- 収入の中心
容量市場
- 4年先を年1回入札
- 落札で1年分の契約金
- 運転開始の確からしさが前提
- 高圧以上の補助的な収入
時間軸の違いは投資判断にどう効くのか
需給調整市場は日々の単価と約定率が、容量市場は運転開始時期の確かさが問われます。容量市場では、4年後の実需給年度に設備が動いている前提で約束をするため、接続の手続きや工事の遅れで間に合わなければ約束した供給力を出せません。需給調整市場は、応動の速さで5つの商品に分かれ、蓄電池は10秒以内に応じる一次調整力で強みを発揮します。商品の違いは需給調整市場の5つの商品で整理しています。
案件資料ではどう確かめるのか
2つの市場の収入を分けて示しているかを最初に確かめます。
- 需給調整市場の単価と約定率の前提、上限価格の改定を反映しているか
- 容量市場の収入が特定の年の約定価格がずっと続く前提になっていないか
- 出力と容量の組み合わせが、容量市場の評価の前提と合っているか
- 低圧の案件で容量市場の収入が計上されていないか
蓄電池の設計は2つの市場でどう効くのか
需給調整市場では出力が、容量市場では出力に加えて継続して放電できる時間が効きます。需給調整市場の売上は出力(kW)×単価×約定したコマ数で決まり、1日は48コマ、1年では17,520コマに分かれます。容量市場では、蓄電池は貯めた電気を出し切ると放電が止まるため、出力が同じでも容量(kWh)が大きく長く放電できる設備ほど供給力として高く評価されます。出力に対して容量をどの程度持たせるかという設計は、両方の市場での見え方に関わります。
よくある誤解は何か
よくある誤解は、容量市場も毎日の収入になるという見方です。容量市場は年1回の結果で単価が決まり、日々の値動きとは別の収入として計画に入ります。容量市場の収入を除いても計画が成り立つかを確かめておくと、結果の変動に左右されにくい判断ができます。
まとめ
- 需給調整市場は前日の調整力(ΔkW)、容量市場は4年後の供給力(kW)に対価が払われます。
- 需給調整市場は応動の速さ、容量市場は継続して放電できる時間で蓄電池を評価します。
- 容量市場は低圧単独では対象外で、高圧でも補助的な収入として扱います。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 系統用蓄電池 解説ブック2026(高圧編)
- 系統用蓄電池 解説ブック2026(低圧編)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。