タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

高圧・低圧 共通

太陽光のFIT・FIPと蓄電所の市場収入、価格の決まり方の違い

太陽光のFITは制度があらかじめ決めた価格で電気を買い取る仕組みで、蓄電所の収入は市場の入札と約定で毎日決まります。同じ「電気の事業」でも、価格を決める主体と変動を受け止める人が異なります。

FITとFIPでは、価格は誰が決めているのですか?

FITでは制度が買取価格を定め、FIPでは市場価格に制度が定めた上乗せ(プレミアム)を加える形で収入が決まります。

固定価格買取制度(FIT)の低圧太陽光は、20年の買取期間で安定した収入を生む投資として広がりました。発電した電力量(kWh)に、認定時に決まった単価を掛けたものが売電収入です。発電量は天候で変わりますが、単価そのものは期間中動きません。

FIPは、発電事業者が電気を市場で売り、その市場価格に制度上の上乗せを受け取る仕組みです。市場価格の影響を一部受けるものの、上乗せの部分は制度によって定められます。どちらも、売るものは「電力量」であり、価格の土台に制度があるという点で共通しています。

蓄電所の収入は、どこで価格が決まるのですか?

蓄電所の収入は、需給調整市場・卸電力市場・容量市場の3つの市場で、入札と約定によって価格が決まります。

系統用蓄電池には、太陽光のFITのように、出力や容量に応じて決まった価格で買い取る制度はありません。収入源は次の3つで、売るものもそれぞれ異なります。

市場 売るもの 価格の決まり方
需給調整市場 調整力(ΔkW) 前日の入札で約定。商品ごとに上限価格がある
卸電力市場(JEPX) 電力量(kWh) 30分ごとのスポット価格。昼に下がり夕方に上がりやすい
容量市場 供給力(kW) 年1回のオークションで、4年先の供給力の価格が決まる

このうち収入の中心は需給調整市場での待機の対価です。仕組みは蓄電所の3つの収入源で詳しく扱っています。

価格の決まり方の違い

太陽光(FIT・FIP)

  • 売るのは電力量(kWh)
  • 単価や上乗せの土台は制度が決める
  • 収入の変動は主に発電量の変動

蓄電所(市場収入)

  • 売るのは調整力・電力量・供給力
  • 単価は入札と約定で決まる
  • 収入の変動は単価と約定率の変動

低圧編・高圧編の解説に基づく整理です。

上限価格は、FITの買取価格と同じ意味を持ちますか?

持ちません。上限価格は「最高でもこの価格まで」という天井で、その価格で約定することを約束するものではありません。

需給調整市場の一次調整力では、上限価格が19.51円/ΔkW・30分から、2026年3月14日に15.00円、9月1日に10.00円へ引き下げられ、7.21円までの段階的な引き下げ方針も示されています。FITの買取価格は「この価格で買い取る」という約束ですが、上限価格は入札の天井であり、実際の約定単価はそれより低いことがあります。

太陽光の経験がある方ほど、資料にある単価を「決まった価格」と読み替えてしまいがちです。蓄電所の資料で単価の数字を見たときは、それが上限か、過去の平均か、試算の前提かを区別することが出発点になります。

価格が動くことで、収支の組み立て方はどう変わりますか?

単価と約定率を複数通りに置き、どの水準まで下がっても成り立つかを確かめる組み立て方になります。

FITの収支は、発電量の見込みと買取価格でおおむね組み立てられました。蓄電所の需給調整市場の売上は「出力×単価×約定したコマ数」で決まり、1年は30分×48コマ×365日で17,520コマです。単価も約定率も年ごとに変わり得るため、1つの数字で収支を示した資料は、前提の置き方を確かめる必要があります。

  1. 単価の前提が上限価格のままか、年を追って下がる前提か
  2. 約定率をいくつで置いているか。高すぎる前提になっていないか
  3. 卸電力市場の値差や容量市場の収入を、どの程度見込んでいるか
  4. アグリゲーター手数料や充電の電力費を差し引いているか

収入を長く固定する方法は、蓄電所にはないのですか?

大型案件向けにはありますが、高圧2MW級や低圧の蓄電所は市場運用が基本です。

30MW以上の大型案件には、20年固定料金のトーリング契約や、長期脱炭素電源オークション(参加は3万kW以上)があります。どちらも規模の要件があり、2MW級や49.9kWの設備は対象になりません。制度の範囲はトーリング契約と長期脱炭素電源オークションの解説で整理しています。

そのため、太陽光のFITと同じ感覚で「何年間、いくらの収入」と考えるのではなく、市場の価格が動くことを前提に、価格が下がった場合の耐え方を確かめておくことが判断の土台になります。

太陽光の経験は、蓄電所の検討でどう生かせますか?

規模感や土地、法人での保有と減価償却の管理といった点は生かせますが、収入の読み方は切り替える必要があります。

1基2,000万円台からという低圧蓄電所の規模は、低圧太陽光を持つ方にはなじみのある水準です。一方で、太陽光では発電量の予測が収支の中心でしたが、蓄電所では単価と約定率の前提が中心になります。アグリゲーター手数料の計算の基礎、充電の電力費、入金までの期間など、太陽光にはなかった費用と時間の流れも加わります。

まとめ

  • FITとFIPは制度が価格や上乗せの土台を決め、蓄電所の収入は3つの市場の入札と約定で決まります。
  • 需給調整市場の上限価格は天井であり、FITの買取価格のような約束ではありません。
  • 蓄電所の収支は、単価と約定率を複数通り置いて、下がった場合に耐えられるかで確かめます。

高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 高圧編」
  • タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 低圧編」
  • 電力需給調整力取引所(EPRX)取引実績

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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