タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

高圧・低圧 共通

卸電力市場と需給調整市場、単位・買い手・締切の用語を対にして覚える

卸電力市場(JEPX)は電力量(kWh)を、需給調整市場は出力を増減できる能力(ΔkW)を売る市場です。単位・買い手・締切などの用語を対にして覚えると、蓄電所の資料を読み違えにくくなります。

2つの市場で売っているものは、何が違うのですか?

卸電力市場は電気そのもの(kWh)、需給調整市場は指令に応じて出力を増減できる状態(ΔkW)を売ります。

卸電力市場では、30分ごとの電気が売買されます。蓄電所は安い時間に買って充電し、高い時間に放電して売ることで値差を得ます。需給調整市場で取引されるのは、周波数が乱れたときにすぐ応じられる状態で待機していることです。約定した時間帯は、実際に放電しなくても待機の対価が支払われます。この違いはΔkWとは何かでも解説しています。

用語を対にすると、どう並びますか?

次の表のように、同じ「入札」「価格」「約定」でも中身が異なります。

用語の対比表

卸電力市場(JEPX)

  • 単位:kWh(電力量)
  • 価格:円/kWh。昼に下がり夕方に上がりやすい
  • 相手:市場の売り手と買い手
  • 収入:買値と売値の差

需給調整市場

  • 単位:ΔkW(30分あたりの調整力)
  • 価格:円/ΔkW・30分。商品ごとに上限価格
  • 買い手:各エリアの一般送配電事業者
  • 収入:待機の対価(約定した時間)

低圧編・高圧編の記述に基づく整理です。

締切と約定のタイミングは同じですか?

どちらも前日に取引が決まる点は共通しますが、決まる中身が異なります。

需給調整市場は、2026年3月14日から一次〜三次①の取引が前日・30分単位に移行しました。入札は実需給の前日に締め切られ、その日のうちに約定が決まります。卸電力市場のスポット市場も、翌日の30分ごとの電気を取引します。

蓄電所では、同じ時間帯を両方の市場に重ねて売ることはできないため、どのコマを需給調整市場に出し、どのコマで充電と値差運用をするかを、アグリゲーターが日々決めます。1日は30分×48コマ、1年で17,520コマあり、コマの割り振りが収入を左右します。

「上限価格」と「スポット価格」は、同じように読んでよいですか?

読み方は異なります。上限価格は入札の天井で、スポット価格は実際に成立した取引価格です。

一次調整力の上限価格は、2026年9月1日に10.00円/ΔkW・30分になりました。これは「最高でもこの価格」という天井であり、その価格で約定するわけではありません。一方、卸電力市場のスポット価格は、実際に成立した価格です。資料に「10円」とあれば需給調整市場の天井である可能性が高く、「円/kWh」で示された数字は電力量の価格です。単位を確かめるだけで、多くの読み違いは防げます。

「約定率」と「値差」は、どちらの市場の言葉ですか?

約定率は主に需給調整市場、値差は卸電力市場で使われる言葉です。

  • 約定率:入札したコマのうち、実際に落札されたコマの割合。需給調整市場の売上は「出力×単価×約定したコマ数」で決まるため、約定率の前提が収支を大きく左右します
  • 値差:充電した時間と放電した時間の価格の差。往復の損失や充電の電力費を差し引いた残りが手元の収入になります
  • アセスメント:需給調整市場で、約定した時間に正しく待機・応動できたかの評価。満たさないとペナルティがかかります

蓄電所の資料を読むときは、まず数字の単位が「kWh」か「ΔkW」かを確かめ、次に、その数字が上限か実績か前提かを確かめる順で読むと整理しやすくなります。商品の種類については需給調整市場の5つの商品で解説しています。

資料の具体的な場面では、どう読み分けますか?

収入の表に並ぶ数字ごとに、どちらの市場の数字かを書き添えて読みます。

たとえば、収支の資料に「単価10円」と「値差8円」が並んでいる場合、前者は需給調整市場の円/ΔkW・30分、後者は卸電力市場の円/kWhである可能性があります。単位が違う数字を足し合わせたり、同じ時間に両方を見込んだりしていないかを確かめます。また、需給調整市場の売上に約定率を掛けているか、卸電力市場の値差から往復の損失や充電の電力費を引いているかも確かめる観点です。どちらの数字も、アグリゲーター手数料の計算の基礎が「売上」か「運用益」かによって、手元に残る金額が変わります。

まとめ

  • 卸電力市場は電力量(kWh)、需給調整市場は調整力(ΔkW)を売る市場で、買い手も収入の形も異なります。
  • 上限価格は入札の天井で、スポット価格は成立した価格です。単位を見れば多くの読み違いを防げます。
  • 同じコマを両方に売ることはできず、コマの割り振りはアグリゲーターが日々決めます。

高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 高圧編」
  • タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック2026 低圧編」
  • 電力需給調整力取引所(EPRX)

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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