タンソーマンGX 蓄電所の案件と用地

高圧・低圧 共通

「約定率」のよくある誤解、落札率と稼働率の違い

約定率は「入札したコマのうち落札されたコマの割合」で、設備が動いた割合や電気の損失とは別の数字です。収支の試算を読むときは、どの言葉が何を分母にしているかを先に確かめることが大切です。

約定率とは何の割合か

約定率は、入札したコマのうち実際に落札されたコマの割合です。需給調整市場は1日を30分×48コマに分け、1年では17,520コマになります。入札と約定は実需給の前日に決まり、どのコマに入札するかはアグリゲーターが市場の動きを見て判断します。

注意したいのは分母です。「入札したコマ」を分母にする場合と、「1年の全コマ」を分母にする場合とでは、同じ90%でも意味が変わります。解説ブックの計算例は、全コマに入札して9割が約定した場合を置いており、出力×単価×17,520コマ×約定率で年間の売上を求めています。売り手の資料が別の分母を使っていれば、数字をそのまま比べることはできません。

落札率と約定率は同じものか

一般的な説明では、落札率と約定率はほぼ同じ意味で使われます。どちらも入札のうち市場で採用された割合を指し、用語集でも約定率は「入札したコマのうち、実際に落札されたコマの割合」と定義されています。

ただし、資料によっては「落札した量(kW)の割合」を指すこともあります。コマの数の割合か、出力の量の割合かで計算が変わるため、言葉が同じでも定義の一文を確認しておくことが必要です。

収支の説明で使われる4つの言葉
  • 約定率入札したコマのうち落札されたコマの割合
  • 落札率多くは約定率と同義。量の割合を指す資料もある
  • 稼働率資料ごとに定義が違う。分母を確認する
  • 充放電効率充電した電気のうち放電できる割合。往復で85〜90%程度

売上に直接かかるのは約定率、費用にかかるのは充放電効率です。

稼働率は約定率とどう違うか

稼働率は定義が一つに決まっていない言葉で、約定率の代わりに使うことは避けるべきです。設備が故障なく動ける時間の割合を指す場合もあれば、実際に放電した時間の割合を指す場合もあります。

需給調整市場では、約定したコマで放電しなくても待機の対価が支払われます。そのため「実際に放電した時間」が少なくても、約定率が高ければ売上は立ちます。反対に、設備が動ける状態でも約定しなければ売上は生じません。稼働率という言葉が出てきたら、何を分母にした割合かを売り手に確認します。

充放電効率は売上の数字か

充放電効率は売上ではなく、費用の側に効く数字です。往復で85〜90%程度とされ、失った分の電気を買い足す必要があります。高圧では充電の電力費・損失、低圧では待機と応動で失う電力量を買い足す費用として、差し引く費用の一つに挙げられています。

約定率の前提はどのように確かめるか

約定率の前提は、単価と組み合わせて複数の水準で確認します。解説ブックは約定率90%と70%の両方で計算例を示し、90%を超える約定率は楽観的な前提であることが多いとしています。

確認すること 見方
分母 入札したコマか、1年の全コマか
単位 コマの数の割合か、出力の量の割合か
水準 90%を超えていないか。70%程度でも試算があるか
単価との組み合わせ 上限価格近くの単価と高い約定率を同時に置いていないか
費用の側 充放電の損失を買い足す費用が入っているか

単価と約定率を変えたときの売上の幅は低圧蓄電所の収益の計算で、市場の商品の違いは需給調整市場の5つの商品で整理しています。

説明の場面でどのような取り違えが起きやすいか

取り違えが起きやすいのは、売上の試算と費用の試算を別々の資料で受け取る場面です。

  • 約定率と充放電効率を掛け合わせてしまう:約定率は売上の側、充放電効率は充電の電力費の側にかかる数字で、同じ式に入れるものではありません。
  • 上限価格と高い約定率を同時に置く:2026年9月から一次調整力などの上限価格は10円/ΔkW・30分です。上限は「最高でも」の価格で、その価格で約定するわけではありません。上限近くの単価と90%を超える約定率が同時に置かれていれば、二重に楽観的な前提になります。
  • 約定したのに収入が減る理由を見落とす:約定した時間に正しく待機・応動できたかは評価(アセスメント)され、満たさないと落札価格の1.5倍のペナルティがかかります。約定率が高くても、ペナルティの負担区分によって手元の金額は変わります。

試算の表を受け取ったら、約定率の定義、単価の前提、ペナルティの扱いを一続きで確認すると、取り違えを防げます。

まとめ

  • 約定率は「入札したコマのうち落札されたコマの割合」で、分母が全コマか入札コマかで意味が変わります。
  • 稼働率は定義が一つに決まっていないため、何の割合かを売り手に確認します。
  • 充放電効率は売上ではなく費用に効く数字で、往復85〜90%程度の損失を買い足す前提が必要です。

高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。

出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。

出典

  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
  • 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)

※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。

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