
税制の対象となるのは設備の取得価額で、土地・接続の権利・工事費負担金は含まれません。売買契約で価格を区分しておくことが、税制と補助金の両方の手続きの前提になります。
なぜ一括の価格では不都合なのですか
税制・補助金・固定資産税のいずれも、対象となる範囲を価格の区分ごとに判断するためです。
2MW・8MWh級の完成品(ターンキー)の取引では、用地、接続の権利、工事費負担金、設備、工事が一括で譲渡されます。契約書に総額しか書かれていない場合、どこまでが設備かを後から説明する根拠がなく、税務上の取得価額や償却資産の申告額を確定しにくくなります。
土地・権利など
- 土地(売買・借地権)
- 接続の権利(契約申込みの地位)
- 工事費負担金・保証金
- 即時償却の取得価額に含まれない
設備・工事
- 蓄電池コンテナ、PCS、変圧器
- 高圧受変電設備、EMS、通信設備
- 基礎・据付などの工事
- 税制の取得価額・償却資産の対象
区分の細部は顧問税理士と確認する。
税制の面ではどのような意味がありますか
投資規模の要件と投資利益率の分母が、いずれも設備の取得価額で判定されるためです。
大胆な投資促進税制では、投資計画の取得価額の合計に土地、接続の権利、工事費負担金を含めません。投資利益率も設備の取得価額を分母に計算します。価格を分けておけば、要件の判定と申請書の記載が契約書の数字と一致します。また、未使用の完成品の取得は対象になり得る一方、稼働済みの中古は対象外のため、引渡し時点の状態も契約に明記しておきます。
補助金の面ではどのような意味がありますか
補助の対象は交付決定後に契約・発注した設計、設備、工事に限られ、経費を区分して示す必要があるためです。
国の系統用蓄電システム等導入支援事業では、発注ごとに相見積りが求められます。完成品を一括で買う形とは両立しにくく、補助金を使う場合は、開発権(土地と接続の地位)を取得したうえで、設備と工事を交付決定後に別に発注する形が基本になります。この場合も、権利の対価と設備の対価を分けて契約しておくことが前提です。順序の考え方は蓄電所の補助金は発注の順序に注意で解説しています。
契約書では何を分けて書けばよいですか
少なくとも次の5つを別の金額として記載し、税込・税抜の区分も明記します。
- 土地の代金(または借地権の対価と賃料)
- 接続の権利の対価(契約申込みの地位の承継)
- 工事費負担金と保証金の精算額
- 設備(機器)の代金
- 工事の代金
工事費負担金は数千万円から億単位になることがあり、価格に含まれるか別払いかで比較の前提が変わります。接続の権利の承継手続きは開発権を買うときの確認事項も参照してください。
価格を分けないとどのような問題が残るのですか
取得後の申告と、将来の売却の両方で説明の根拠を欠くことになります。
償却資産の固定資産税は設備の簿価に対して毎年かかり、取得価額の約1.4%から逓減します。設備の金額が契約書で特定されていなければ、申告額の根拠を別に用意する必要があります。また、運用中に売却する場合も、買い手は設備と土地・権利を分けて評価するため、取得時の区分がそのまま交渉の基礎になります。区分の方法は売り手と事前に合意し、見積書の段階から同じ区分で金額を出してもらうことが、後の手戻りを防ぎます。
まとめ
- 税制の取得価額には土地・接続の権利・工事費負担金が含まれないため、契約で価格を区分する
- 補助金は交付決定後に発注した設備と工事が対象で、権利の対価と分けて契約することが前提になる
- 土地・権利・負担金・設備・工事の5区分と税込・税抜を契約書に明記する
高圧・特別高圧の案件は、蓄電所の案件と用地でご紹介しています。
出典
- 経済産業省 特定生産性向上設備等投資促進税制 申請要領(2026年)
- 環境共創イニシアチブ 系統用蓄電システム等導入支援事業 公募要領(2026年)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。