
低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所)には、上限価格で売れる、補助金が出る、隣の区画もまとめて買えるといった誤解があります。2026年10月時点では、上限は最高値で約定価格ではなく、49.9kWに使える国・東京都の補助制度は公表資料で確認できず、隣り合う区画は分割設置の規制の対象になり得ます。
本記事では、低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所・低圧蓄電池、出力50kW未満・49.9kW級)についてよく見かける誤解を、事実と対比して整理します。全体像は低圧の系統用蓄電池 総合ガイドをご覧ください。
誤解と事実を並べるとどうなりますか
よくある誤解は、収入、補助金、区画、市場の4つに分けられます。
誤解
- 上限10円で売れ続ける
- 補助金が出る
- 隣の区画もまとめて買える
- 容量市場にも出られる
事実(2026年10月時点)
- 上限は最高値で、約定はそれ以下
- 国・東京都の補助は1,000kW以上が対象
- 名義次第で分割設置と判断され得る
- 容量市場は最低1,000kWで単独参加不可
上限価格で稼げるのではないですか
上限は「最高でも」の価格で、その価格で約定するわけではありません。
一次調整力の上限は2026年9月1日に10.00円になり、7.21円までの段階的な引き下げ方針も示されています。2025年度の蓄電池の月別平均落札単価は8.82〜13.52円/ΔkW・30分でした(EPRX)。収支は上限より低い単価で組むのが基本です。詳しくはよくある誤解2 「上限10円で売れる」をご覧ください。
補助金は出ないのですか
2026年10月時点で、49.9kWの系統直結の蓄電池に使える国・東京都の補助制度は公表資料で確認できません。
国の系統用蓄電システム等導入支援事業は最大受電電力1,000kW以上、東京都の系統用大規模蓄電池の助成も定格出力1,000kW以上が対象です。補助金がないぶん、交付決定を待たずに発注でき、将来の売却も自由に決められます。詳しくは低圧蓄電所は補助金を前提にしないで解説しています。
隣り合う区画をまとめて買えないのですか
隣り合う区画で設置者や土地の所有者が同じ場合は、分割設置と判断されやすくなります。
2023年4月から系統用蓄電池も分割設置の規制の対象です。申込みの年度から遡って1年以内の名義が見られ、2026年10月の国の審議会では5年に延ばす案が議論されています(10月時点では未決定)。複数基を持ちたい場合は、離れた場所に1基ずつ置くのが確実です。詳しくは低圧蓄電所を何基か並べて持つときの注意点をご覧ください。
誤解を避けるには何を確かめればよいですか
試算の単価と約定率、補助金の有無、区画の名義を書面で確かめることです。
単価を変えた売上の目安は低圧蓄電所の売上試算ツールで確かめられます。
まとめ
- 上限価格は最高値で、収支は上限より低い単価で組みます。
- 49.9kWに使える国・東京都の補助制度は、2026年10月時点で公表資料で確認できません。
- 隣り合う区画は名義次第で分割設置と判断され、容量市場には単独で参加できません。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月版)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「2025年度の取引実績について」(2026年6月)
- 環境共創イニシアチブ 系統用蓄電システム等導入支援事業 公募要領(2026年)
- 東京都 系統用大規模蓄電池導入促進事業
- 資源エネルギー庁「発電等設備の分割対策に関するQ&A」(2026年6月)
- 資源エネルギー庁 次世代電力系統ワーキンググループ 資料(2026年8月・10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。