
東京エリアの低圧蓄電所が注目されるのは、2025年度の一次調整力で東京エリアの調達不足が全エリアで最も大きく、平均単価も通年で全国平均を上回ったためです。
低圧の系統用蓄電池(出力49.9kW)の収入の中心は、需給調整市場の一次調整力です。どのエリアに置くかで、市場の需給と単価の前提が変わります。本記事では、電力需給調整力取引所(EPRX)の2025年度取引実績をもとに、東京エリアの位置づけを整理します。全体像は低圧の系統用蓄電池 総合ガイドをご覧ください。
一次調整力の不足とは何を指しますか
送配電事業者が募集した量に対して、市場で調達できた量が足りなかった状態を指します。
一次調整力は、周波数の変化を設備が自ら検知し、10秒以内に自動で出力を変える最も速い調整力です。買い手は各エリアの一般送配電事業者です。2025年度は、北海道・中国・四国を除くエリアで、募集量に対して4〜9割以上の調達不足でした。
全国
- 北海道・中国・四国を除くエリアで4〜9割以上の不足
- 蓄電池が中心的な担い手
東京エリア
- 不足が全エリアで最も大きい
- 平均単価が通年で全国平均を上回る
EPRX「2025年度の取引実績について」(2026年6月)。2026年度は募集量の見直しなどで不足は縮小している。
不足が大きいことは低圧蓄電所に何を意味しますか
調整力の担い手が求められている状態であり、蓄電池が入札できる余地が大きいことを意味します。
蓄電池は応答が速く正確なため、一次調整力の担い手として評価されています。2025年度の一次調整力の月別平均落札単価は、蓄電池が8.82〜13.52円/ΔkW・30分、火力が2.05〜3.39円でした(EPRX)。ただし、これは過去の実績であり、将来の単価を示すものではありません。
2026年度以降も同じ状況が続きますか
2026年度は募集量の見直しなどで不足が縮小しており、同じ状況が続く前提は置けません。
あわせて、一次調整力の上限価格は19.51円/ΔkW・30分から、2026年3月14日に15.00円、9月1日に10.00円へ引き下げられ、7.21円までの段階的な引き下げ方針も示されています。上限は「最高でも」の価格です。収支は上限より低い単価で、複数の前提を置いて組むのが基本です。上限の推移は一次調整力の上限価格の推移で解説しています。
東京エリアで計画するときに確かめることは何ですか
連系の見込み、手続きの流れ、束ねの成立の3点を確かめます。
- 連系の見込み:低圧でも配電線や柱上変圧器に余裕がなければ連系できない。申込みが増えるにつれ空いている場所は減っている
- 手続き:東京電力パワーグリッド管内では、2026年5月15日に技術協議の依頼票へ「系統からの充電の有無」「系統への放電の有無」の欄が追加された。手順は東京電力管内の申込みで整理している
- 束ね:最低入札量は1MW。そのエリアで1MWの束ねが成立しているか、成立の見込みがあるかをアグリゲーターに確認する
市場の実績が良いエリアほど申込みも集まりやすく、場所が限られます。単価の見通しだけでなく、つながる場所かを先に確かめることが案件選びの第一歩です。
まとめ
- 2025年度の一次調整力は、東京エリアの調達不足が全エリアで最も大きく、平均単価も全国平均を上回った
- 2026年度は不足が縮小し、上限価格も引き下げられているため、収支は上限より低い単価で組む
- 東京エリアでは連系の見込みと1MWの束ねの成立を先に確認する
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「2025年度の取引実績について」(2026年6月)
- EPRX「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月)
- 東京電力パワーグリッド 低圧の系統連系技術協議依頼票の改定(2026年5月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。