
一次調整力の上限価格は、19.51円/ΔkW・30分から2026年3月14日に15.00円、9月1日に10.00円へ引き下げられ、7.21円までの段階的な引き下げ方針も示されています。上限は最高値であり、その価格で約定するわけではありません。
低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所・低圧蓄電池、出力50kW未満・49.9kW級)の収入の中心は一次調整力です。本記事では上限価格の推移と、収支を考えるときの読み方を2026年10月時点で整理します。全体像は低圧の系統用蓄電池 総合ガイドをご覧ください。
一次調整力の上限価格はどう推移してきましたか
上限価格は2026年に2回引き下げられ、さらに下げる方針が示されています。
EPRX「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月)ほか。7.21円は方針で、時期は本記事では扱いません。
2026年3月14日には需給調整市場が前日取引に移行し、同時に上限が15円になりました。詳しい背景は上限10円時代の需給調整市場で解説しています。
上限価格と約定価格はどう違いますか
上限価格は入札できる価格の天井であり、実際の約定価格はそれ以下で決まります。
2025年度の一次調整力の月別平均落札単価は、蓄電池が8.82〜13.52円/ΔkW・30分、火力が2.05〜3.39円でした(EPRX 2025年度取引実績)。上限は「最高でも」の価格であり、上限で売れ続けることを前提にした試算は楽観的です。この点はよくある誤解2 「上限10円で売れる」でも取り上げています。
上限の引き下げは低圧蓄電所の収支にどう効きますか
平均の約定単価が下がれば売上はほぼ比例して下がるため、収支は上限より低い単価で組むのが基本です。
| 平均の約定単価 | 年間の売上(約定率90%) | 約定率70% |
|---|---|---|
| 10円 | 約787万円 | 約612万円 |
| 7円 | 約551万円 | 約428万円 |
| 5円 | 約393万円 | 約306万円 |
| 3円 | 約236万円 | 約184万円 |
計算の例です(49.9kW×17,520コマ×単価×約定率)。見積りや収益の見込みではありません。ここから手数料、充電の電力費、保守、保険、固定資産税などを差し引きます。単価を変えた試算は低圧蓄電所の売上試算ツールで確かめられます。
試算を見るときは何を確かめればよいですか
試算に使われている単価が、上限の10円が続く前提か、年を追って下がる前提かを確かめてください。
- 複数の単価で試算されているか
- 約定率の前提が90%を超えていないか
- 7.21円までの引き下げ方針を織り込んでいるか
上限価格はなぜ引き下げられているのですか
上限価格の見直しは、調整力の調達費用と市場の状況を踏まえて段階的に行われています。
2025年度、一次調整力は北海道・中国・四国を除くエリアで募集量に対して4〜9割以上の調達不足でした。2026年度は募集量の見直しなどで不足は縮小していますが、蓄電池が中心的な担い手であることは変わりません(EPRX 2025年度取引実績)。上限の引き下げは単価の天井が下がることを意味するため、運転開始が早い区画ほど、高い単価の期間を長く取れる可能性があります。
まとめ
- 一次調整力の上限は19.51円から15円、10円へ下がり、7.21円までの引き下げ方針もあります。
- 上限は最高値で、2025年度の蓄電池の月別平均落札単価は8.82〜13.52円でした。
- 収支は上限より低い単価と複数の約定率で確かめるのが基本です。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)「2025年度の取引実績について」(2026年6月)
- タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月版)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。