
容量市場の約定価格とは、4年後の実需給年度に電気を出せる能力(供給力)1kWあたりについて、年1回のメインオークションで決まる価格です。結果はエリアごとに公表され、蓄電所が受け取る容量確保契約金の前提になります。
容量市場の約定価格は何の値段なのか
約定価格は、電力量(kWh)ではなく供給力(kW)の値段です。容量市場は、電力広域的運営推進機関(広域機関)が4年後の供給力を確保するために年1回オークションを行う仕組みで、落札するとその実需給年度の1年分の容量確保契約金が支払われます。制度の全体像は容量市場とは何かで解説しています。
- 応札4年後の供給力を約束して札を入れる
- 約定必要量と応札の関係でエリアごとに価格が決まる
- 公表エリア別の結果が示される
- 実需給年度供給力を提供し、1年分の契約金を受け取る
なぜエリアによって約定価格に差が出るのか
差が出る主な理由は、エリアごとの必要量、応札の集まり方、連系線の制約の3つです。エリア間は連系線でつながっていますが、送れる電気の量には限りがあります。融通に限界があるとエリアの中で供給力を確保する必要が高まり、価格が分かれやすくなります。制約がかからなければ、複数のエリアが同じ価格でまとまります。
| 要因 | 価格への影響 |
|---|---|
| エリアごとの必要量 | 4年後の需要と予備の見込みが大きいほど確保が難しくなる |
| 応札の集まり方 | 電源の量と応札価格はエリアで違う |
| 連系線の制約 | 他エリアから融通できる量に限りがあると価格が分かれやすい |
蓄電所にとって約定価格はどう効くのか
約定価格は、蓄電所が受け取るkW収入の単価として効きます。ただし蓄電池は継続して放電できる時間に応じて評価されるため、同じ出力でも容量の持たせ方で評価が変わります。
高圧2MW級の蓄電所では、収入の中心は需給調整市場で、容量市場はそれを補う位置づけです。容量市場には最低1,000kWの要件があり、出力49.9kWの低圧蓄電所は単独では参加できません。
約定価格はどう確かめ、どう使えばよいのか
約定価格は広域機関が公表するメインオークションの約定結果で確かめます。2029年度を実需給年度とする結果は2026年1月に公表されました。2030年度分は2026年10月に応札を受け付け、結果は12月頃に公表される予定です。
- 案件資料がどの実需給年度、どのエリアの結果を使っているか
- 蓄電池の評価(継続して放電できる時間)をどう置いているか
- 新しい結果が出たときに前提を見直しているか
約定価格についてよくある誤解は何か
よくある誤解は、ある年度の約定価格がその後も続くという考え方です。約定価格は毎年のオークションで決まり、エリアの差もその年の需給や電源の入れ替わり、連系線の状況によって生まれます。ある年に高かったエリアが翌年も高いとは限らないため、立地の理由を容量市場のエリア差だけに置くのは避けたほうがよいでしょう。結果の読み方は容量市場の約定価格はなぜエリアで違うのかでも整理しています。
まとめ
- 容量市場の約定価格は、4年後の供給力1kWあたりの価格で、エリアごとに公表されます。
- エリア差は必要量、応札の集まり方、連系線の制約から生まれます。
- 1回の結果を将来に引き延ばさず、補いの収入として前提を毎年見直します。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 電力広域的運営推進機関 容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度2029年度)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。