
出力制御とは、電気の供給が需要を上回るときや、送電線などの系統が混み合うときに、発電設備の出力を一時的に抑える措置のことです。蓄電所にとっては、再エネの余剰を吸収する役割の背景であると同時に、放電側がノンファーム型で接続した場合に自らが受ける制約でもあります。
出力制御はなぜ必要になるのか
出力制御が必要になるのは、電力網では使う量と発電する量を常に一致させる必要があるためです。両者がずれると周波数が乱れ、最悪の場合は停電につながります。太陽光は昼に発電が集中するため、晴れた日の昼は発電が需要を上回りやすくなり、余った分の出力を抑える必要が生じます。
- 太陽光が増える晴れた日の昼に発電が集中
- 電気が余る発電が需要を上回り価格も下がる
- 出力を抑える需給を合わせるため発電を止める
- 蓄電池が吸収余る時間に充電し夕方に放電
出力制御は蓄電池の役割とどう関係するのか
余った電気を捨てずに時間をずらして使えるため、出力制御が起きやすい状況ほど蓄電池の役割は大きくなります。蓄電所は電気が余る昼に充電し、需要が残る夕方に放電できます。また、天候による発電の揺れを打ち消す調整力の担い手としても期待されています。再エネと蓄電池の関係は再エネと蓄電池の関係、調整力の考え方は調整力とは何かで解説しています。
蓄電所自身はどんな出力制御を受けるのか
蓄電所は、放電側をノンファーム型接続でつないだ場合に、系統が混み合う時間帯の出力制御を受けます。ノンファーム型接続は、系統に空きがない時間は出力の制御を受けることを条件に、増強を待たずに接続する方式です。
再エネ全体の出力制御
- 電気が余るときに発電を抑える
- 余剰を吸う蓄電池の役割が増す
蓄電所が受ける出力制御
- ノンファーム型で接続した放電側が対象
- 混雑する時間帯に放電を絞る
出力制御の可能性はどう確かめればよいのか
候補地の出力制御の可能性は、東京電力パワーグリッドの場合「系統の予想潮流等に関する情報」の「平常時出力制御の可能性」の列で目安が分かります。2026年9月2日更新版では、配電用変電所1421か所のうち1085か所が「有り」でした。ただし将来の想定に基づくもので、個別の検討結果で変わる場合があります。
- 接続検討の回答書で、放電側の出力制御がどの程度見込まれるか
- 充電時間の制限など、運用に影響する条件があるか
- 出力制御を前提とした運用が収支の試算に反映されているか
出力制御についてよくある誤解は何か
よくある誤解は、出力制御は太陽光発電だけの話で蓄電所には関係がないという考え方です。蓄電所も放電する設備である以上、ノンファーム型で接続すれば制御の対象になります。逆に、出力制御があるから接続できないと考えるのも誤りで、制御に同意すれば放電側は接続できる場合があります。どの程度の制御が見込まれるかは、運用を担うアグリゲーターと事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
- 出力制御とは、電気が余るときや系統が混むときに発電の出力を抑える措置です。
- 余剰が増えるほど、電気を時間をずらして使える蓄電池の役割は大きくなります。
- ノンファーム型で接続した蓄電所は、放電側が出力制御の対象になります。
出典
- 東京電力パワーグリッド「系統の予想潮流等に関する情報」(2026年9月2日更新)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。