
EPRX(電力需給調整力取引所)とは、需給調整市場の取引を運営し、約定の結果を公表している組織です。蓄電所の資料に出てくる調整力の単価や調達不足の実績は、多くがEPRXの取引実績を元にした数字です。
EPRXは需給調整市場でどのような役割を担うのか
EPRXは、調整力を売る側と買う側の間に立ち、取引の場を運営する役割を担います。調整力を買うのは各エリアの一般送配電事業者で、売るのは蓄電池などの設備を束ねて入札するアグリゲーターです。蓄電所のオーナーはアグリゲーターに運用を委託し、自分で市場の画面を見る必要はありません。
お金の精算の細部は本記事では扱わない。オーナーの手取りはアグリゲーター契約の条件で変わる。
なぜ蓄電所の検討でEPRXの数字が重要なのか
需給調整市場の単価や調達の状況を知る基礎資料が、EPRXの取引実績だからです。たとえば2025年度の取引実績では、一次調整力で蓄電池の月別の平均落札単価が8.82〜13.52円/ΔkW・30分、火力が2.05〜3.39円でした。また、一次調整力は北海道・中国・四国を除くエリアで募集量に対して4〜9割以上の調達不足で、東京エリアの平均単価は通年で全国平均を上回りました。
EPRXの結果はどう見ればよいのか
EPRXの数字を見るときは、「いつの」「どの商品の」「どのエリアの」数字かを最初に確かめます。2026年3月14日の前日取引への移行や、9月1日の上限価格の引き下げの前後で、単価の水準は大きく違います。
- 年度・月:制度変更の前の数字か、後の数字か
- 商品:一次調整力か、二次・三次か
- エリア:東京など、どのエリアの数字か
- 平均か個別か:月別の平均は時間帯ごとの差をならした値です
試算のどの欄に市場の単価が使われているかの確かめ方は試算の単価を確かめる欄と順番で、5つの商品の違いは需給調整市場の5つの商品で説明しています。
EPRXについてよくある誤解は何か
一つ目は、EPRXの過去の単価をそのまま将来の単価として使えると考えることです。過去の実績は将来の単価を約束するものではなく、2026年度は単価が全エリアで下がっています。
二つ目は、公表されている数字は自由に転載や加工ができると考えることです。公表資料の数字やグラフを資料に使う場合は、利用条件を確かめる必要があります。
まとめ
- EPRXは、需給調整市場の取引を運営し、約定の結果を公表している組織です。
- 蓄電所の資料にある単価や調達不足の数字の多くは、EPRXの取引実績が元になっています。
- 数字は時期・商品・エリアを確かめて読み、資料に使うときは利用条件を確認します。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
- 電力需給調整力取引所(EPRX)2025年度取引実績(解説ブックでの引用による)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。