
IRR(内部収益率)とは、最初の投資額と、その後に毎年入る手取りの金額と時期から求める利回りです。蓄電所では、計算期間と投資額の範囲をそろえたうえで、累計の収益や投資回収年数と並べて判断する指標です。
IRRは何を表しているのか
IRRは、お金が「いつ」「いくら」入るかを含めた投資の効率を表します。同じ総額の手取りでも、早い年に多く入る案件ほどIRRは高く出ます。初期に大きく投資し、その後15年、20年と収入を積み上げる蓄電所では、案件同士を比べるのに向いた指標です。
投資家最初に投資額を払う
投資額毎年の手取り
蓄電所売上から費用を払う
調整力約定代金
需給調整市場アグリゲーター経由
IRRは、払った投資額と受け取る手取りの時期と金額から求めます。
なぜ蓄電所でIRRが重要なのか
IRRが重要なのは、調整力の単価が将来どう動くか分からない蓄電所では、初期にどれだけ回収できるかが投資の強さを左右するためです。需給調整市場では2026年9月1日の実需給から一次調整力などのΔkWの上限が10円になり、単価は制度と参入する蓄電池の量で変わり得ます。初期の手取りが厚い案件ほどIRRは高く、後半の下振れにも耐えやすくなります。
IRRはどう確かめて使えばよいか
IRRは、計算期間と投資額の範囲をそろえてから比べます。この二つがそろっていないと、数字を並べても比較になりません。
- 計算期間:15年で計算するか、20年で計算するかを確かめます。
- 投資額の範囲:土地代や工事費負担金を分母に入れているかを確かめます。設備と工事だけを分母にすると高く見えます。
- 手取りの前提:単価、約定率、劣化率、手数料、充電の電力費、撤去費用が入っているかを見ます。
- 下振れ:単価を2割、3割下げた場合のIRRも並べます。
累計の収益や回収年数との使い分けはIRRと累計収益、蓄電所の収支試算はどの指標でどう判断すればよいかで詳しく解説しています。
よくある誤解は何か
よくある誤解は、「IRRが高い案件ほど多く稼げる」というものです。IRRは効率を表す指標で、稼ぐ総量は累計の収益で見ます。
- IRRは表面利回りと同じ:売上÷投資額の表面利回りとは異なり、費用を差し引いた手取りと時期から求めます。広告の数字の検算は蓄電所の利回り表示を検算する 売上の計算式と差し引く費用の確かめ方をご覧ください。
- 期間が違っても比べられる:15年と20年では数字が変わるため、そろえ直してから比べます。
- 一つの試算で十分:単価の前提が一本だけでは、下振れの姿が見えません。
まとめ
- IRRは、投資額と毎年の手取りの金額と時期から求める利回りです。
- 比べる前に、計算期間と投資額に土地や工事費負担金を含めるかをそろえます。
- 累計の収益、回収年数、単価を下げた試算と並べて判断します。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。