
回収年数とは、毎年の手取りを積み上げた累計が、最初にかかった投資額を上回るまでの年数です。蓄電所では単価の変化や電池の劣化で手取りが年ごとに変わるため、1年目の数字で割るのではなく、年ごとの累計で確かめます。
回収年数は何で決まるのか
回収年数は、「投資額」と「毎年の手取り」の二つで決まります。投資額には設備と工事の代金だけでなく、土地の代金、工事費負担金、手続きの費用まで含めます。手取りは売上そのものではなく、アグリゲーター手数料、充電の電力費、保守・監視、保険、地代、固定資産税などを差し引いた金額です。
- 投資額設備・工事・土地・工事費負担金・手続き
- 毎年の売上出力×単価×約定したコマ数
- 差し引く費用手数料・充電費・保守・保険・地代・税
- 手取りの累計年ごとに足し上げる
- 回収年累計が投資額を超えた年
なぜ蓄電所で回収年数が重要なのか
回収年数が重要なのは、蓄電所の単価が将来下がる可能性があり、単価が高い初期にどれだけ回収できるかが下振れへの強さを左右するためです。早く回収できる案件ほど、後半の単価の見通しが不確かでも元本を取り戻しやすくなります。
回収年数はどう確かめればよいか
回収年数は、年ごとの手取りと累計の表を作って確かめます。手取りが年ごとに変わる主な理由は次のとおりです。
- 単価の変化:需給調整市場の上限価格は段階的に引き下げられてきました。
- 電池の劣化:容量が減ると、約定できる量に影響します。
- 機器の更新:PCSの交換などの費用が途中の年に発生します。
- 固定資産税:設備の評価額に対してかかり、年数とともに小さくなります。
考え方の詳細は蓄電所は何年で投資を回収できるか、回収年数を自分で確かめる考え方で解説しています。あわせて、単価を2割、3割下げた場合にも回収できるかを確かめます。作り方は単価が何円まで下がっても成り立つか、蓄電所の収支の下振れ試算の作り方をご覧ください。
よくある誤解は何か
よくある誤解は、「投資額÷1年目の手取り」で回収年数が分かるというものです。この計算は手取りが毎年同じという前提に立っており、多くの場合は短く出すぎます。
- 売上で割ってよい:費用を差し引いた手取りで計算しないと、年数は短く見えます。
- 土地や負担金は除いてよい:分母から外すと実際より早く回収できるように見えます。
- 回収年数だけで十分:回収後に稼ぐ総量は累計の収益で、効率はIRRで見ます。
まとめ
- 回収年数は、毎年の手取りの累計が投資額を上回るまでの年数です。
- 投資額には土地と工事費負担金まで含め、手取りは費用を差し引いて考えます。
- 単価・劣化・更新で手取りは変わるため、累計の表と下振れ試算で確かめます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。