近年、2050年のカーボンニュートラル実現を達成のために、カーボンクレジットビジネスが拡大しています。

これからカーボンクレジット制度の活用を考えている方も多いのではないでしょうか?

「カーボンクレジットビジネスとは?」

「カーボンクレジットビジネスの市場性が知りたい!」

そこで、本記事ではカーボンクレジットビジネスに概要から市場性や課題まで解説します。

制度を利用して効率的な温室効果ガス削減に取り組み、カーボンニュートラルへの実現のご参考にしてください。

カーボンクレジットビジネスとは

カーボンクレジットビジネスとは、カーボンクレジットの創出者が購入者に売却することで資金循環が起こることです。

日本では、J-クレジット制度が導入されており、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2削減、森林管理などによるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証しています。

この制度は、カーボンニュートラルを目指し、少しでも温室効果ガスの削減に貢献するための設けられました。

他にも、国際的なカーボンクレジットして、CDM(クリーン開発メカニズム)やJCM(二国間クレジット制度)などがあります。

カーボンクレジットビジネス市場性

カーボンクレジット市場は急拡大しています。2021年の1月から8月までの取引量は、2020年に比べて2、4億トンと3割増加しています。投資家や消費者からの脱炭素への注目が集まっているのも取引増加の要因の1つです。

二酸化炭素に換算した場合、トンあたりの価格が平均で3ドルほどになっています。そのため、温室効果ガス削減になる事業の年代や種類で価格が変わってしまいます。

また、森林管理などの買い手は平均4ドルで取引されているため、非常に人気があるクレジットです。

しかし、クレジットを購入するだけでは、実質的には企業の温室効果ガスの排出量削減にはならないので、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減に結びつきません。

カーボンニュートラルを目指して行くなかで、温室効果ガスの削減が難しいと言われている業界が、航空業界やエネルギー業界、製造業などです。

こういった業界では、積極的にカーボンクレジットビジネスが行われています。

カーボンクレジットビジネスの課題

カーボンクレジット制度は拡大していますが、様々な課題を抱えています。

どのクレジット制度を利用すればいいか不明確

先述のとおり、カーボンクレジット制度は国内のみならず、海外にも制度が多く溢れています。

また、制度により認証方法が異なるため、温室効果ガスの削減に取り組む事業者が、どの制度を利用するべきなのかが、不明確な状態です。

クレジットを利用する際に、迷いが生じてしまい、制度利用を妨げてしまう可能があります。

さらに、クレジット購入者も、活用方法が整備されていないため、購買率が下がる原因にもなります。

吸収量や除去量の認証方法が確立されていない

カーボンクレジット制度を創出する工程は、排出量削減と炭素吸収・除去の2つです。

特に、炭素吸収・除去は、直接的に温室効果ガスの削減に貢献するため、より増やしていく必要があります。

しかし、その炭素吸収・除去が、削減量の測定やモニタリング方法が確立されていないと言われています。

そのため、カーボンクレジット制度が広がりづらくなっているのが現状です。

日本は、森林が多く、山に囲まれた国でもあるにも関わらず、その資源を生かしきれていません。

価格設定が曖昧

国内のクレジットである、J-クレジットはプロジェクトごと取引されています。

これにより、削減量や価格の設定が決まっておらず、制度の拡大に歯止めをかけてしまっています。

また、外部への情報開示が限定されているので、適正価格や価格の推移などがわかりづらいのが課題です。

その他にも、クレジット購入は間接的な温室効果ガスの削減方法のため、炭素排出が減少せず、全体量も減少しないという課題も抱えています。

まとめ

カーボンクレジットビジネスは今後も拡大し続ける分野であるといえます。新しい取り組みでもあるため、様々な課題を抱えていますが今後整備が整ってくることも期待されます。

製造業など温室効果ガスの削減が難しい、企業の方は一度検討してみてください。

著者のプロフィール

福元惇二
福元惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。