
長期脱炭素電源オークションとは、電力広域的運営推進機関が実施し、落札すると容量の収入を原則20年間受け取れる入札制度です。蓄電池の参加要件は3万kW以上のため、2MW級の蓄電所は通常この制度の対象になりません。
長期脱炭素電源オークションはどんな制度なのか
長期脱炭素電源オークションは、脱炭素につながる電源や蓄電池の投資を促すため、長期の容量収入を約束する制度です。年1回の容量市場が4年後の1年分を扱うのに対し、こちらは原則20年間という長い期間の収入を対象にします。
なぜ「固定収入」と言い切れないのか
他の市場で得た収益の約9割を還付する仕組みがあるため、市場が好調なときの上振れ分はほとんど手元に残りません。収益を伸ばすための制度というより、固定費を回収するための保険に近い性格です。
他市場の収益の約9割は還付するため、上振れはほとんど残りません。
なぜ2MW級の蓄電所は対象外なのか
2MW級の蓄電所が対象外になる理由は、規模要件に届かないことです。蓄電池の参加要件は3万kW以上で、1日1回、6時間以上の連続運転も求められます。2MW(2,000kW)は要件の1割にも届きません。
出力(kW)での比較。要件はこのほか6時間以上の連続運転など。
このため2MW級の蓄電所は、アグリゲーターを通じて需給調整市場、卸電力市場、容量市場で運用するのが基本になります。大型案件向けのもう一つの仕組みであるトーリング契約との関係は、トーリング契約と長期脱炭素電源オークションで比較しています。
この制度の情報はどう確かめればよいのか
制度の結果は、広域機関が公表する長期脱炭素電源オークションの約定結果で確かめられます。直近では2026年5月に約定結果が公表されています。案件の説明で「長期で収入が安定する」と書かれている場合は、根拠がこの制度なのか、規模要件を満たしているのかを確認します。
- 案件の出力が3万kW以上あるか
- 6時間以上の連続運転ができる設備構成か
- 還付の仕組みを踏まえた収支になっているか
長期脱炭素電源オークションについてよくある誤解は何か
よくある誤解は、蓄電池なら規模を問わずこの制度で20年の収入が得られるという考え方です。実際には参加要件が大型案件を前提にしており、小規模な蓄電所には届きません。また、落札しても他市場の収益の約9割を還付するため、収入の上限が抑えられる点も見落とされがちです。固定と変動の考え方は蓄電所に「固定収入」はあるのかでも解説しています。
まとめ
- 長期脱炭素電源オークションは、容量の収入を原則20年間受け取れる入札制度です。
- 他市場の収益の約9割を還付するため、上振れはほとんど残りません。
- 蓄電池は3万kW以上が要件で、2MW級は市場運用が基本です。
出典
- 電力広域的運営推進機関 長期脱炭素電源オークション約定結果(2026年5月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。