
値差とは、卸電力市場(JEPX)で電気の価格が安い時間に充電し、高い時間に放電したときの価格の差のことです。蓄電所では、この値差から充放電の損失や費用を差し引いた残りが収入になります。
値差はなぜ生まれるのか
値差が生まれるのは、太陽光の発電が昼に集中する一方で、夕方も電気が使われ続けるためです。春や秋の晴れた日の昼は電気が余りやすく、スポット価格が下がります。夕方は太陽光の発電が減る一方で需要は大きく減らないため、価格が上がりやすくなります。
- 昼に充電太陽光が多く価格が安い時間
- ためておく夕方まで電池に保つ
- 夕方に放電需要が残り価格が高い時間
- 差額が収入損失と費用を差し引いた残り
値差は蓄電所の収入の中でどんな位置づけなのか
値差は、蓄電所の収入の中では副次的な収入です。系統用蓄電池の収入の中心は需給調整市場での待機の対価で、卸電力市場の値差は、需給調整市場で約定しなかった時間の補いとなります。高圧でも出力49.9kWの低圧でも、この位置づけは同じです。
値差運用の具体的な流れは卸電力市場(JEPX)で収入を得る仕組みで解説しています。
値差のうち、どれだけが手元に残るのか
手元に残るのは、値差から次の損失と費用を差し引いた分だけです。
| 差し引くもの | 内容 |
|---|---|
| 充放電の損失 | 往復で85〜90%程度しか戻らない |
| 託送料金・賦課金 | 充電の電気にかかる場合がある |
| 発電側課金 | 系統に放電する設備にかかる託送料金の一部 |
| アグリゲーター手数料 | 収益の10%前後が多い |
とくに充放電の損失は、値差の大きさに直接効きます。100の電気を充電しても戻るのは85〜90程度のため、放電時の価格が充電時の価格を少し上回るだけでは利益になりません。効率の考え方は充放電効率とはで整理しています。
値差の前提はどう確かめればよいのか
収支の試算では、卸電力市場の収入が需給調整市場と分けて示されているかをまず確かめます。そのうえで、次の点を見ます。
- 値差の前提を、どの時期の価格をもとに置いているか
- 充放電の損失と充電にかかる費用を差し引いているか
- 値差が小さい日を考慮した控えめなケースがあるか
値差についてよくある誤解は何か
よくある誤解は、値差が毎日安定して得られるという考え方です。値差が大きく開くのは太陽光が多く昼の価格が大きく下がる日で、天気や季節によっては値差がほとんど生まれない日もあります。値差運用は十分な値差がある日に限って行う運用であり、その判断はアグリゲーターが日々行っています。
まとめ
- 値差とは、安い時間に充電し高い時間に放電したときの価格の差です。
- 充放電の損失、託送料金、手数料を差し引いた残りが収入になります。
- 値差は副次的な収入で、収入の中心は需給調整市場の待機の対価です。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。