
三次調整力②とは、需給調整市場の5つの商品のうち最も遅い調整力で、2021年4月の市場開設時に最初に取引が始まった商品です。数十分から数時間単位の大きなずれに備える位置にあり、2026年3月の前日・30分単位への移行の対象外とされました。
三次調整力②は何に備える商品なのか
三次調整力②は、秒単位の揺れではなく、時間単位で生じる大きな需給のずれに備える商品です。太陽光は天気で、風力は風で出力が変わります。前もって見込んだ発電量と実際の発電量がずれると、そのずれを別の電源で埋める必要があります。再エネが増えるほど、こうしたずれを埋める調整力が多く必要になります。背景は再エネと蓄電池の関係で詳しく説明しています。
- 発電の見込み天気をもとに再エネの出力を見込む
- 実際の発電雲や風で見込みとずれる
- ずれの発生使う量と発電量が一致しなくなる
- 調整力の発動確保しておいた調整力で埋める
速いずれは一次・二次、遅く大きなずれほど三次の商品が受け持つ。
三次調整力②は他の商品と何が違うのか
三次調整力②は、取引の歴史が最も長く、取引方法の変更の扱いも他の商品と異なります。2026年3月14日に前日・30分単位へ移行したのは一次〜三次①で、三次調整力②は対象外でした。2026年9月1日からの上限価格の見直しも、一次・二次①・複合商品の10円、二次②・三次①の7.21円として示されており、三次調整力②は別の扱いです。
蓄電所は三次調整力②をどう見ればよいのか
蓄電所のオーナーは、三次調整力②を収入の中心ではなく、運用の選択肢の一つとして見るのが自然です。蓄電池の強みは最も速い一次調整力にあり、低圧蓄電所は一次調整力のオフライン枠への参加が中心です。高圧の蓄電所で三次調整力②に充てるかどうかは、アグリゲーターが他の商品や卸電力市場との配分を考えて決めます。
- 試算に三次調整力②の収入が含まれているか、含まれる場合の単価の根拠は何か
- 商品別の報告で、三次調整力②の約定を区別して受け取れるか
5つの商品の並びは需給調整市場の5つの商品で整理しています。
三次調整力②についてよくある誤解は何か
よくある誤解は、5つの商品の取引ルールが一斉に変わったと考えることです。前日・30分単位への移行や上限価格の改定は、商品ごとに対象が分かれています。試算や資料にある単価が「いつの」「どの商品の」「どのエリアの」数字かを確かめることが大切です。
もう一つは、単価の水準を過去の一時期の数字で決めてしまうことです。需給調整市場は制度の見直しが続いており、商品ごとの前提を最新の制度で組み直す必要があります。
まとめ
- 三次調整力②は、需給調整市場で最も遅い商品で、2021年4月の開設時から取引されています。
- 時間単位の大きな需給のずれに備える位置にあり、再エネが増えるほど必要性が高まります。
- 2026年3月の前日・30分単位への移行の対象外で、商品ごとに前提を分けて確かめます。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 高圧編」(2026年10月)
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月)
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。