補助金・助成金

事業再構築補助金グリーン成長枠(GX)とは|終了後の後継制度と使える支援

川田 幸寛・

この記事は2026年10月時点の情報です。事業再構築補助金の「グリーン成長枠」は第11回公募まで実施され、第12回・第13回公募では「成長分野進出枠(GX進出類型)」に引き継がれました。事業再構築補助金は第13回公募(2025年3月26日締切)で新規の公募を終了しており、2026年10月時点でグリーン成長枠・GX進出類型に申請することはできません。現在公募中の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」には、GXに特化した枠は設けられていません。

本記事では、脱炭素分野での事業転換を検討する中小企業の方に向けて、グリーン成長枠・GX進出類型がどのような制度だったか、採択済み事業者が注意すべき点、そして2026年に検討できる国の支援制度を、公募要領などの公表資料に基づいて整理します。

グリーン成長枠とは

グリーン成長枠は、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の「実行計画」に掲げられた14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援する枠でした。第13回公募要領では、令和3年6月18日策定の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で実行計画が策定されている14分野について、分野ごとに「現状と課題」として記載されている課題の解決に資する取組であることが必要とされています。

グリーン成長戦略で成長が期待される産業として示された14分野は次のとおりです。

  • エネルギー関連産業:洋上風力・太陽光・地熱産業、水素・燃料アンモニア産業、次世代熱エネルギー産業、原子力産業
  • 輸送・製造関連産業:自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、船舶産業、物流・人流・土木インフラ産業、食料・農林水産業、航空機産業、カーボンリサイクル・マテリアル産業
  • 家庭・オフィス関連産業:住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業

補助金額と補助率の変遷

グリーン成長枠は公募回によって名称と金額が変わっています。第11回と第13回(最終回)の内容は次のとおりです。

公募回・枠 補助金額 補助率
第11回 グリーン成長枠(エントリー) 中小企業者等:従業員20人以下100万円〜4,000万円、21〜50人100万円〜6,000万円、51人以上100万円〜8,000万円。中堅企業等:100万円〜1億円 中小企業者等1/2、中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合はそれぞれ2/3、1/2)
第11回 グリーン成長枠(スタンダード) 中小企業者等:100万円〜1億円。中堅企業等:100万円〜1.5億円 同上
第13回 成長分野進出枠(GX進出類型) 中小企業者等:従業員20人以下100万円〜3,000万円(4,000万円)、21〜50人100万円〜5,000万円(6,000万円)、51〜100人100万円〜7,000万円(8,000万円)、101人以上100万円〜8,000万円(1億円)。中堅企業等:100万円〜1億円(1.5億円) 中小企業者等1/2(2/3)、中堅企業等1/3(1/2)

第13回のかっこ内は、短期に大規模な賃上げを行う場合の金額・補助率です。第11回の公募期間は2023年8月10日〜10月6日、第13回は2025年1月10日〜3月26日でした。

GX進出類型の主な要件(第13回)

  • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当すること(事業再構築要件)
  • 事業計画について金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受けていること(金融機関要件)
  • 補助事業終了後3〜5年で、付加価値額または従業員一人当たり付加価値額を年平均成長率4.0%以上増加させる見込みの事業計画を策定すること(付加価値額要件)
  • 事業終了後3〜5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること(給与総額増加要件)
  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であること(GX進出要件)

第1回〜第12回で採択されていた事業者も、既存の補助事業とは異なる事業であること(別事業要件)と、新たな事業再構築を行う体制や資金力があること(能力評価要件)を満たせば申請できました。ただし、過去にグリーン成長枠またはGX進出類型で採択された事業者は対象外で、支援を受けられる回数は2回が上限でした。

審査と補助対象経費

第13回公募の審査項目には、補助対象事業としての適格性、新規事業の有望度、事業の実現可能性、公的補助の必要性、政策点に加えて、GX進出類型に限り「GX進出点」が設けられ、事業再構築の内容がグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組となっているかが評価されました。申請時には、14分野のうちどの分野の課題の解決に資するかを明記した「GX進出計画書」の提出が求められていました。

補助対象経費は、建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費です。一方、太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど、再生可能エネルギーの発電設備と一体不可分の附属設備は、GX進出類型でも補助対象外とされていました。FIT・FIPに関連して売電を行う場合は、関連費用は一切補助対象外です。

採択済みの事業者が注意すべきこと

新規の公募は終了していますが、採択・交付決定を受けた事業者の手続きは続いています。事業再構築補助金事務局は、事業化状況報告を提出しなかったことによる交付決定取消の事例を告知しているほか、補助金で取得した財産の処分についての注意喚起や、事業化状況報告のマニュアルを公開しています。GX進出類型では給与総額増加要件などが定められており、補助金額・補助率の引上げを受けた場合に要件を達成できないと、引上げ分の返還が必要になる場合があります。報告期限と達成状況を定期的に確認してください。

なお、事業再構築補助金と併用できた厚生労働省の「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」は、2023年11月28日に廃止されています。

2026年に検討できる国の支援制度

グリーン成長枠の終了後、脱炭素に関わる設備投資や事業転換に使える可能性がある国の制度には、次のようなものがあります。いずれも制度ごとに目的と要件が異なるため、公募要領で確認が必要です。

制度 概要 2026年10月時点の状況
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業基盤整備機構) 革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3枠。新事業進出枠は補助上限2,500万円(3,000万円)〜7,000万円(9,000万円)、補助率1/2(2/3)。GXに特化した枠はなく、再生可能エネルギーの発電設備は補助対象外 第1回公募の応募締切は2026年10月30日18時。採択結果発表は2027年1月予定
省エネ・非化石転換補助金(一般社団法人環境共創イニシアチブ) 令和7年度補正予算で、工場・事業場の省エネ設備への更新や電化・燃料転換などを支援 設備単位型の4次公募が2026年10月5日に開始
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(環境省) 自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池の同時導入を支援 2026年は3回公募が行われ、いずれも終了

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠は、新市場・高付加価値事業への進出を支援するもので、事業再構築補助金に近い性格を持ちます。脱炭素関連の新製品・新事業であっても、GX分野であることが要件や加点になるわけではないため、新市場性や付加価値の向上など、各枠の要件を満たす事業計画として組み立てる必要があります。

よくある質問

グリーン成長枠には今から申請できますか

できません。グリーン成長枠は第11回まで、後継のGX進出類型は第13回までで、事業再構築補助金の新規公募は2025年3月26日で終了しています。

グリーン成長枠の補助金額はいくらでしたか

第11回公募では、エントリーが中小企業者等で最大8,000万円(従業員51人以上)、スタンダードが中小企業者等で最大1億円、中堅企業等で最大1.5億円でした。第13回のGX進出類型は、中小企業者等が最大8,000万円(大規模な賃上げを行う場合1億円)、中堅企業等が最大1億円(同1.5億円)でした。

太陽光発電設備はグリーン成長枠の対象でしたか

対象外でした。再生可能エネルギーの発電を行うための発電設備と一体不可分の附属設備(ソーラーパネルなど)は、GX進出類型に申請する場合も補助対象外とされていました。

参考資料

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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