地球温暖化問題への対策として、多くの日本企業がCO2削減に取り組んでいます。
2050年のカーボンニュートラル実現を達成のために、これからCO2削減への取り組みを考えている方も多いのではないでしょうか?
- CO2削減の方法を知りたい!
- 日本や海外のCO2削減の先進的な事例が知りたい!
そこで、本記事ではCO2の削減方法から日本や海外の事例まで解説します。
効果的にCO2の削減に取り組み、カーボンニュートラルへの実現の参考にしてください。
CO2削減に企業が取り組む理由
昨今では、CO2削減に取り組む企業が増えてきていますが、どういった理由で取り組んでいるのでしょうか。
ここでは、以下の3点の理由について解説します。
- パリ協定とSDGs
- 企業価値アップや資金獲得のしやすさ
- エネルギーコスト削減
パリ協定とSDGs
CO2削減の取り組みは、地球温暖化の問題解決に有効とされていましたが、「パリ協定」と「SDGs」の策定によりさらに加速化しています。
2015年に合意されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力」ことが各国が取り組むべき長期的な目標に掲げられました。
また、同年に開催された国連サミットでは、SDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。
内容は、2030年までに17の指標や169のターゲットを達成し、持続可能な社会への実現です。
SDGsには、環境問題への目標も含まれていることから、世界各国で環境に対する意識も向上しています。
さらに、菅政権時の2050年までの「カーボンニュートラル宣言」の発表により、企業の温暖化への取り組みも増加傾向にあります。
企業価値アップや資金獲得のしやすさ
CO2削減などの環境問題は、今や政府・企業・個人全体に共通した課題です。
企業は利益追求することは前提にはありますが、環境負荷を考慮しない取り組みは周囲への評価がされにくくなっています。
CO2削減へ取り組むことで、社会貢献ができ企業価値アップに繋がります。
そのため、大企業だけでなく、中小企業でも環境問題解決への取り組みが増えています。
また、企業価値がアップしたことで、企業の資金調達がしやすくなることが期待されます。
近年では、環境・社会・ガバナンスの評価基準で投資するESG投資が拡大しています。
環境問題へ取り組むことで、投資家たちからの評価が高まり投資が見込めます。
これまでは、投資への評価基準は財務情報が中心でしたが、ESG分野への取り組みなどのひ財務情報も評価の対象になっています。
企業価値アップや資金調達のしやすさに繋がるCO2削減へと取り組んでみてください。
エネルギーコスト削減
CO2削減に取り組むことで、省エネ設備や再生可能エネルギーの活用により、エネルギーコストの削減に繋がります。
例えば、再生可能エネルギーの1つである、太陽光の発電設備を導入することで、自社で使用す電力エネルギーを賄えるため、経費削減に貢献が可能です。
企業におすすめのCO2削減方法
本章では、おすすめのCO2削減方法についてご紹介します。
おすすめのCO2削減方法に関しては、下記3点になります。
- 再生可能エネルギーの導入
- 省エネ対策
- 契約している電力会社の変更
それぞれ順番に解説していきます。
再生可能エネルギーの導入
CO2削減では、再生可能エネルギーの導入が必要になります。
これまで化石燃料を燃やしエネルギーとして使っていた場合には、これによりCO2削減が可能です。
具体的には、社内に太陽光発電設備の導入することで、自家発電を行う方法です。
自家発電したものを自社で消費することで、クリーンエネルギーとしての役割だけでなく、災害時に非常用の電力としても有効活用できるため、自家消費型の太陽光発電を導入する企業が増えてきています。
最近では、電気代が高騰化していくなかで、消費電力のコスト削減が期待できます。
初期費用がかかるのではと心配の方もいるかと思いますが、自治体などの補助金制度を活用することで導入のハードルは下がります。
さらに、自社の敷地を提供し、事業者が管理する発電設備を設置するPPAを導入することで、初期費用なしで、太陽光発電の利用が可能になります。
省エネ対策
太陽光発電のようなハード対策だけでなく、省エネ対策でもCO2削減が可能です。
例えば、冷暖房の適温に設定、まめな消灯など会社全体で小さいアクションを取り組むことが必要です。
業務の中で日常的に気をつけることで、長期的にみるとエネルギーを節約することに繋がります。
また、普段使用している機器を省エネ機器に取り替えるなどの対策は、これまでと同じ機能で、意識せずともCO2削減が可能になります。
省エネ対策では、ハード・ソフトの両面での対策ができるので少しずつでも取り組んでみましょう。
契約している電力会社の変更
より環境負荷がかからない再生エネルギーによる電力供給している企業を選ぶことで、間接的なCO2削減が可能です。
日本では、電力会社の火力発電による電力供給が多いのが現状です。
しかし、風力発電や地熱発電などの持続可能なエネルギーを用いた発電している電力会社も増えています。
何気なく、電気を使っていると気づきにくいですが、一度自社で使用している電力がどういったエネルギーから供給されているか調べてみることをおすすめします。
企業におけるCO2削減事例
CO2削減方法がわかったところで、次は企業による日本や海外のCO2削減事例をご紹介します。
どこから初めていいかわからない! という方もいるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本企業のCO2削減事例
日本企業ではCO2削減の取り組みとして、物流業界の事例をご紹介します。
例えば、ディーゼル車やガソリンを使用していたトラックから、電気自動車などのクリーンエネルギー車への転換などを推進しています。
また、物流ネットワークの見直しや、配達エリアに合わせた自転車や台車の使用などに取り組み、CO2削減に貢献しています。
- 市街地での配達に電動自転車や台車の使用
- 低炭素車両の積極的活用
- 倉庫や事業所のLED導入
- 太陽光発電にでの電力供給
これらに取り組むことでかなりのCO2削減が可能です。
社会全体でCO2を削減するために、取り組みやすいものから実施していきましょう。
海外企業のCO2削減事例
海外企業ではどのようにCO2削減に取り組んでいるのでしょうか。
ここでは、2つの事例をご紹介します。
1つ目は、再生エネルギーの導入です。
海外企業では、環境不可の低減や電力コストの削減などを目的としたクリーンエネルギーの導入が増えています。
たとえば、Microsoftでは、風力発電によって電力供給されている電力を購入し、社内の設備に利用しています。
海外の国では、再生可能エネルギーのよる発電の方がコストが低い地域もあり、電力選定が会社のコスト削減に繋がる場合もあります。
CO2の排出量で最も多いとされているのが発電ですが、自動車による排出量は発電に次いで多いとされています。
ヨーロッパの自動車大手メーカーの「メルセデス・ベンツ」は、2030年までにこれまで製造していたガゾリン車やハイブリッド車を電気自動車(EV)へと完全移行することを宣言しています。
電気自動車が増えていますが、まだまだガゾリン車が多いのが現状です。
電気自動車が増えていけば、CO2の削減が大幅に見込めます。
こういった、電気自動車への完全移行はブランド価値をあげることにも繋がるため、より消費者への自社イメージ向上が期待できます。
各企業では、営業車を電気自動車に変更するなどの取り組みが可能です。
工場やオフィスの省エネルギー化
製造業で多くの企業が、自社工場を保有していますが、オフィスや工場などの施設での省エネ化もCO2削減へと貢献します。
例えば、水道やガスの節約、ペーパーレス化による資源の節約などが挙げられます。
先述した、CO2削減の方法の1つでもある、太陽光発電設備の導入も効果的です。
具体的には、「竹中工務店」の東関東支店のオフィスでの省エネ対策が非常に参考になります。
- 白熱蛍光灯からLED照明への変更
- プリンタの複数部署の管理による台数半減。
- 自動換気口の設置により、そよ風発生による快適性アップ
- 外壁の高断熱化や太陽熱の利用による空調負荷の低減
以上のような、大きな取り組みから小さな取り組みまで、どれもCO2削減に貢献しています。
まずは、できることから始めましょう。
企業がCO2削減に取り組むうえでの注意点
CO2削減へ取り組む際に、いくつか注意点があります。以下の点に気をつけて取り組んでみてください。
- 短期的には効果が見えにくい
- 初期投資が必要になる
- 原価コストが上昇しやすい
それぞれ解説していきます。
短期的には効果が見えにくい
企業のCO2削減への取り組みは、短期的な費用対効果が見えにくいのがデメリットでもあります。
そのため、評価が難しいのも特徴です。
しかし、長期的に取り組んでいると徐々に効果が見え始め、CO2削減に取り組む企業と認識されることで企業価値が上がることが期待されます。
CO2削減の取り組みを始める際には、中長期的な視点での目標を策定しておくと良いです。
初期投資が必要になる
CO2削減に取り組む場合、再生エネルギー設備や省エネ機器の導入などにより初期費用が少なからず必要になります。
また、CO2を排出しない材料への変更による取引先の見直しなどの調整も必要です。
特に、製造業では、製品開発の各工程におけるCO2排出量の数値化が必須です。
そのため、CO2削減に取り組む部署を設置したり、経営陣との会議を増やすなど社内全体での取り組むなど人件費コストがかさみます。
初期コストは、最終的に回収できるくらいまでにするなどバランスを取りましょう。
上記のように、CO2削減は決して容易ではありません。
しかし、中長期的な視点で見ると取り組むべきものなので、具体的な事例をみていきましょう。
原価コストが上昇しやすい
CO2削減の際に、材料を変更した場合は、原価が高くなる可能性があります。
また、工程によっては新しい機器の導入などさらにコストがかさむかもしれません。
環境への配慮はこれから求められますが、原価が高くなりすぎると価格の製品もあげざるを得ないので、原価と環境配慮のバランスを保つ必要があります。
環境に配慮した商品かつ、自社でできる限りのCO2削減により消費者にとっての商品イメージも向上することが期待されます。
まとめ
CO2削減には、再生可能エネルギー設備の導入などハード面での取り組みが注目されがちです。
しかし、こまめな消灯や空調の適温設定など日頃気を付けるだけで取り組みやすいソフトの面でも取り組むことができます。
また、CO2削減に取り組むことで、投資家たちからの企業価値が上がる可能性もあるので、一度取り組んでみることをおすすめします。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。