脱炭素経営において、最終的な理想形はCO2排出量を100%削減することです。

これは2050年のカーボンニュートラルを実現する為にも、目指すべき目標となります。

ではこの目標を達成するために、脱炭素経営では具体的に何に取り組めば良いのでしょうか?

本記事では、脱炭素経営において取り組むべき活動を、2つの視点で解説していきます。

脱炭素経営の第一活動はCO2削減

脱炭素経営において、まず取り組むべき第一の活動は「CO2の排出削減」です。

脱炭素経営は「どれだけCO2排出量を削減できたか?」が評価の重要な指標となります。

CO2排出削減の手順は「排出量の把握・省エネ活動・再生可能エネルギーの導入」の順で取り組みます。

CO2排出量の把握

まず始めなければいけないことが、自社が排出するCO2量を把握することです。

CO2排出量を把握することで、自社がどこでCO2を多く排出しているかが明らかになり、どこから削減に着手すべきかが明確になります。

CO2排出量は、自社が使用している電気やガスなど燃料の消費量から、各燃料に固有のCO2排出係数をかけることで求められます。

つまり「CO2排出量=燃料消費量×CO2排出係数」という計算式にあります。

上記の計算方法では、パッとわかりにくいと思います。

タンソチェックでは、面倒なCO2排出量の計算も、自動で計算し可視化することが可能です。

省エネ活動

自社のCO2排出量が把握出来たら、無駄なエネルギーの消費を削減する省エネに取り組みます。

設備の稼働に無駄があれば設定やプロセスを見直したり、使用していない電気や電源を可能な範囲で落とす工夫をします。

また、設備自体を最新の省エネ設計のものに更新するなど、様々な方法が検討できます。

再生可能エネルギーの導入

省エネはCO2削減に効果的であることは間違いありません。

ですが、企業が事業活動を行う以上、省エネを行うにも限界があり、どうしてもどこかで頭打ちになってしまいます。

そのため、使用するエネルギーをCO2の排出がないものに変えてしまう方が、効果は大きいものになります。

自社の敷地内に太陽光発電を設置し、再生可能エネルギーを自家発電して使用する方法や、電力会社から購入する電力を再生可能エネルギーに切り替えることも、再生可能エネルギーの導入方法のひとつです。

第二活動はエネルギー枯渇への備え

脱炭素経営の第2の活動は、エネルギー資源の枯渇への備えをする事です。

今後、全ての化石燃料は枯渇に向かい、再生可能エネルギーもその供給量が限られている以上、現状のままではエネルギーの需要に供給が追いつかない状況になります。

つまり、少ないエネルギーで現在の事業を維持できるよう、事業活動の生産性を飛躍的に向上させる必要があるのです。

脱炭素経営においては、先述したCO2排出量の削減だけではありません。

その先のエネルギー枯渇を乗り越えるための、技術開発やビジネスモデルの見直しも重要な取り組みとなります。

2050年までに達成すべき目標とは

それでは脱炭素経営において、企業はどのような達成目標を掲げるべきでしょうか?

日本政府は、2030年までにCO2排出量を2013年を基準に46%削減し、さらに2050年までに100%削減を達成すると宣言しています。

そのため、国内企業に求められる目標も同様の数字となり、2050年までにCO2排出量0%を目指さなければなりません。

しかし、この目標が達成出来れば、国内の事業活動が安泰というわけではありません。

私たちが懸念すべきもうひとつの問題が、再生可能エネルギーの奪い合いです。

多くの企業がCO2排出量100%削減を達成するということは、再生可能エネルギーのみで事業活動を行っていることになります。

当然供給量に限りがある再生可能エネルギーは、取り合いになることが予想されます。

そうならないためには、今よりも少ないエネルギーで、今と同水準の事業活動が出来る状態を「2050年までに確立」しておく必要があります。

経営革新視点で再エネ導入とエネルギー生産性向上が必須

このように、再生可能エネルギーの奪い合いを起こさずに「CO2排出量を100%削減した社会を実現する」という高い目標を達成するには、脱炭素経営の取り組みの中で、必ず成し遂げないといけないことがあります。

それが、再生可能エネルギーの完全導入と、エネルギー生産性の向上です。

まず、CO2排出量を0にするためには、事業活動に使うエネルギーを100%再生可能エネルギーに置き換える必要があります。

その上で、現在の事業活動と同水準の成果を、現在よりも少ない再生可能エネルギーであげるための、エネルギー生産性の向上を達成しなければいけません。

私たちに求められるエネルギー生産性の向上は「現状使用している3分の1程度のエネルギー量」で「現在の事業活動を行えるレベルのもの」が求められると試算されています。

まとめ

ここまでCO2排出量100%削減に向けて、脱炭素経営で取り組むべきことについて解説してきました。

CO2自体の排出削減はもちろんのこと、さらにその先を見据えたエネルギー生産性の向上にまで思考を広げて取り組む事が大切になります。

著者のプロフィール

福元惇二
福元惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。