「freee」は、多くの企業が利用している会計ソフトです。手作業だと時間のかかる仕訳処理や確定申告、決算書の作成を簡単かつ短時間で行えます。タイムカードの集計や給与計算の転記作業も不要になるため、人事業務の効率化も可能です。

ソフトの導入には初期費用がかかりますが、費用を抑える方法として「IT導入補助金」を紹介します。事業概要に加えて、申請方法やスケジュールも説明するため、本記事を通じて補助金の活用に必要なことを理解できます。補助金を活用し、freeeを賢く導入しましょう。

IT導入補助金2024年度で「freee」を活用しよう

IT導入補助金と会計ソフト「freee」の概要を解説します。具体的には、補助金額や対象となるツール、freeeが行える業務内容について説明します。

IT導入補助金:効果的な経営支援制度の概要

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のデジタル化を促進するための政府支援制度です。業務効率化と生産性向上を実現するため、ITツールやソフトウェアの導入を経済的にサポートすることが目的です

例えば、パッケージソフトの購入費やクラウドサービスの初期導入費用に対して最大4分の3の補助を行います。パソコンやタブレットといったハードウェアに対しても、最大50%(上限10万円)の補助金を交付しています。

対象となるのは、以下のソフトです。

  • 会計ソフト
  • 受発注管理ソフト
  • 決済ソフト
  • ECサイト運営ソフト

上記のソフトは「デジタル基盤導入類型補助金」の対象となります。注目すべき点は、複数の中小企業や小規模事業者が共同でITツールを導入する際も補助金を活用できる点です。ほIT導入補助金は経営資源が限られた企業間での連携を促進し、デジタル化の波に乗り遅れないための一助となるのです。

2024年度のIT導入補助金に対応:「freee」とは?

「freee」は、法人向けのクラウド会計ソフトです。経理・会計業務の効率化を目的として開発されており、初心者でも簡単に操作できます。導入時も充実したサポートが提供されるため、問題なく利用を開始できるのも特徴です。クラウドベースで運用しており、いつでもどこでもアクセス可能なのも魅力の1つと言えるでしょう。

freeeは手作業による仕訳入力を自動化し、業務時間を大幅に削減することを可能にします。銀行口座やクレジットカードの明細と連動し、自動で帳簿付けを行うことも可能です。転記作業や多重入力の必要がなくなり、経営資源の有効活用につながります。

さらに、freeeは会計業務の自動化だけでなく、請求書作成や債権債務管理など、多岐にわたる業務支援機能を標準で搭載しています。インボイス制度や電子帳簿保存法の法改正にも対応しています。freeeは経営のデジタル化を推進するための強力なツールであり、2024年度のIT導入補助金を活用する際の有力な選択肢となるでしょう。

IT導入補助金申請ステップ

IT導入補助金の申請の流れや提出書類の作成方法など、申請に欠かせない情報を解説します。規定や手順をきちんと守り、問題なく申請を完了させましょう。

IT導入補助金申請の流れと書類の作成ポイント

IT導入補助金の申請するには「gBizIDプライム」のアカウントIDとパスワードの取得が必要です。IDは複数の行政サービスへのログインに使用するもので、取得には約2週間ほどかかると予想されます。法人が申請する場合は、印鑑証明書の取得も必要です。

次に「みらデジ」における経営課題のチェックを行います。中小企業や小規模事業者のデジタル化をサポートするポータルサイトで、経営に関する課題の洗い出しを行うことが可能です。

情報セキュリティ対策の一環として「SECURITY ACTION」の宣言も欠かせません。SECURITY ACTIONは、中小企業が自主的に情報セキュリティ対策を行うことを奨励する制度です。一つ星または二つ星の宣言を行い、IDを作成しましょう。

提出書類については、以下のとおりです。それぞれ税務署や法務局で取得できます。

  • 納税証明書
  • 履歴事項全部証明書(会社の登記簿謄本)
  • 決算書または確定申告書2期分(1期分のみの場合は1期分)

その後、IT導入補助金を使用して導入したい「freee」製品やプランを決定しましょう。導入に関する相談やサポートを受けることも可能です。IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のデジタル化を推進し、経営効率化を図るための重要です。各段階を丁寧に進め、紳士絵をスムーズに行いましょう。

申請から交付までのスケジュールと対応策

会計ソフト「freee」を導入できるIT導入補助金のデジタル化基盤導入枠は、2023年8月1日から同年12月25日の17:00まで交付申請を受け付けています。交付決定日は2024年1月29日を予定しており、事業実施期間は交付決定日から2024年7月31日の17:00までとなっています。

2024年の予定はまだ未定です。

参照:デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) | IT導入補助金2023(後期事務局)

以下の表に、交付申請に必要な手続きの概要をまとめています。誰が何をし、申請を進めていくのかなどの対応策を確認してください。

項目実施者概要
事前準備補助事業に関する相談等(gBizIDの取得)申請者 ⇒ IT導入支援事業者、申請者補助事業についての相談やgBizIDの取得プロセス
交付申請ITツールの選定及び商談、見積依頼等申請者 ⇒ IT導入支援事業者適切なITツールの選定、商談、見積もりの取得
申請マイページの招待IT導入支援事業者 ⇒ 申請者申請者が申請マイページへのアクセスを得る
申請マイページの開設申請者 ⇒ 事務局申請マイページを開設し、補助金申請の準備をする
交付申請の作成申請者/IT導入支援事業者申請者とIT導入支援事業者が協力して交付申請を作成
交付申請の提出申請者 ⇒ 事務局作成した交付申請を事務局に提出
交付決定事務局 ⇒ 申請者(補助事業者)申請が承認され、補助金の交付が決定される

参照:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠 (デジタル化基盤導入類型) p.17

freeeで効率的な会計・経理業務を実現

会計ソフトの「freee」を利用すれば、会計や経理の業務を効率化できます。以下では、freeeを使うメリットや導入した企業の事例を紹介します。

自動化された会計・経理業務のメリット

freeeの会計・経理ソフトウェアは、業務の自動化によって効率性と正確性を向上させます。自動仕訳機能をはじめ、ソフトウェアは銀行口座やクレジットカードの明細と同期し、帳簿付けを簡単に行えます。時間のかかる明細の転記作業や仕訳入力がすべて自動化されることで、業務時間が大幅に削減されるでしょう。

自動入力・自動仕訳の導入により、手間と時間を最小限に抑えることも可能です。経理担当者は日々の繰り返し作業から解放され、より重要な業務に集中できます。人為的なミスが減少するため、データの正確性も向上するでしょう。正確なデータは、経営判断に必要な財務情報を提供するうえで非常に重要です。

freeeは効率化だけでなく、コスト削減にも貢献します。多くの企業では、会計業務の自動化により業務時間を半分以下に削減しています。業務時間の削減は、人件費やその他の運営コスト削減に直結するため、経営資源をより効果的に活用することが可能です。

freeeの利用は会計・経理業務の効率化だけでなく、経営全体の品質向上にも貢献します。業務の自動化により時間的な余裕を生み出し、経営者や従業員がより戦略的かつ創造的な業務に専念できる環境を提供するのです。freeeは単なる会計ソフトウェアを超え、企業の成長と発展をサポートする強力なITツールだと言えるでしょう。

freee活用事例:中小企業・個人事業主の成功事例

敦賀市にある雑貨屋兼カフェ「coto」のオーナー、田中氏は2017年の開業当初からクラウド会計ソフトfreeeを導入し、経理業務の効率化を実現しています。freee会計の導入により田中氏は経理作業の時間を削減し、店舗運営により集中できるようになったと報告しています。

freee会計とPOSレジや銀行口座などのシステムの連携のおかげで、日々の売上や支出のデータが自動的に同期されるようになりました。その結果、田中氏は経理作業を週に1回程度の短時間で済ませられるようなったのです。レシートのデータ入力作業も自動化され、ScanSnapによるレシート取り込みとfreee会計の管理画面での確認・処理を行うだけで済むようになりました。

業務の自動化によって経理作業は大幅に簡略化され、初めての確定申告を行う際にもfreeeを使用し、迅速に完了できたと田中氏は話しています。freee会計の導入は、田中氏にとって経理作業の負担軽減だけでなく、店舗経営やお客様とのコミュニケーションにより多くの時間を割くことを可能にしました。

田中氏の事例は中小企業や個人事業主が会計ソフトの選定とシステム連携により、業務効率化を実現し、事業の核心部分に集中したよいモデルです。

参照:本業に集中するため経理作業を自動化。生み出せた時間はお客様とのコミュニケーションに充てる – freee

お問い合わせ方法と相談実績

freee会計のサービスに関するお問い合わせは、ホームページを通じて簡単に行えます。お問い合わせには、以下の情報が必要です。3営業日以内に、freeeから返信があります。

  • 導入したい製品
  • 事業形態
  • 氏名
  • 会社名
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 従業員数
  • 設立年数
  • 備考

参照:実質75%OFFでfreee製品を使えて IT導入補助金で会計、労務業務をDX化 – freee

freee会計は幅広い業種や規模の企業に対応しており、導入実績は298件に及びます。具体的な利用事例としては、以下のようなものがあります。

  • グループ企業の経理一元化
  • 経営課題のリアルタイム把握
  • 初心者でも扱いやすい経理や労務管理
  • 口座やカードの明細の自動同期
  • 請求・入金消込の自動化
  • 紙やエクセル管理からの脱却
  • 複数人や複数拠点での経理データ共有
  • 自由な時間・場所での経理作業
  • パッケージ型ソフトからの移行
  • 月次決算の早期化
  • 給与計算の簡略化
  • レジ連携による売上データの自動入力
  • 税理士・会計士との業務効率化
  • バックオフィスの体制構築・効率化

多岐にわたる導入事例は、freee会計が企業の経理・財務業務の効率化やスムーズな経営判断に貢献していることを示しています。経費精算やワークフローの利用、リモートワークの実現など、現代の働き方にも対応している点も注目すべきでしょう。

参照:

freee会計にご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。 – freee

導入事例 – freee

他の補助金・サービスとの併用で効果

IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠は、他の補助金との併用は不可とされています。ただし、事業内容が重複していない場合は申請可能です。

参照:ⅠT導入補助金2023 デジタル化基盤導入類型 よくある質問 p.3

以下では、会計ソフト「freee」が提供している複数のサービスを紹介します。サービスを併用し、業務をさらに効率化しましょう。

インボイス制度対応とデジタル化基盤導入

2023年10月から導入されたインボイス制度は、消費税の適切な管理を目的としており、企業にとって大きな転換点となります。制度に対応するためには、デジタル化基盤の導入が不可欠です。しかし、手作業で対応するには時間とコストの両面で非効率でミスも増えるため、デジタルツールの活用が推奨されます。

クラウド会計ソフト「freee」は、インボイス制度に対応したデジタルツールの1つです。freeeは書類のデジタル化や自動化も可能とするため、インボイス制度に対応すると同時に業務の効率化を図れるのです。導入にはIT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)を活用することで、コスト負担を軽減してシステム導入を行えます。

freeeのデジタル化基盤導入はデータの一元管理を実現させ、事業者はリアルタイムでの情報共有や意思決定できるようになります。freeeの導入はインボイス制度に適応するだけでなく、企業のデジタル化と柔軟な経営を実現する手段となるでしょう。

労務・人事業務の効率化にも活用できるfreee

freeeのサービスの中には、企業の労務・人事業務を効率化する「freee人事労務」があります。システムを導入することで、紙ベースや手作業による管理をデジタル化することが可能です。さらに、タイムカードの集計や給与計算の転記作業も効率的に行えます。

システム機能には勤怠管理や給与計算、社会保険の手続きが含まれていますが、すべてを一元化することで業務の効率化を実現します。個人情報の管理をペーパーレス化すると紙の紛失リスクがなくなり、情報セキュリティも高めることも可能です。アラート機能を活用すれば従業員の等級変更なども可視化できるため、抜け漏れの防止につながります。

また、freee人事労務は充実した導入サポートを提供しており、法律や給与計算に詳しくない担当者でも簡単にシステムを使用できます。複数の他社サービスとのデータ連携も可能で、給与計算・年末調整・労務書類作成などを総合的に管理することも可能です。

導入事例として株式会社タイセイやラクスル株式会社などが挙げられ、いずれの企業もタイムカード集計の作業時間を削減したり、毎月の締め作業が効率化したりしています。医療法人社団慶実会のように、業務時間を半分以下に短縮する事例もあります。

freee人事労務は労務・人事業務の効率化において、中小企業や個人事業主にとって非常に有用なツールです。自動化による時間の節約とミスの減少は、企業の成長と効率的な運営に大きく貢献するでしょう。

参照:freee人事労務 – 労務の「人的なミス」をゼロへ

よくある質問

IT導入補助金に関するよくある質問に回答します。補助金を活用するうえで欠かせない情報もあるため、目を通すことをおすすめします。

IT導入補助金は自分で申請できますか?

IT導入補助金は自分だけで申請できません。交付申請に必要な「gBizIDプライム」アカウントの取得や「SECURITY ACTION」の宣言、「みらデジ経営チェック」の実施は自分だけで行います。しかし、その後のITツール選定や事業計画策定の際にはIT導入支援事業者のサポートが不可欠です。

申請後も事業報告のほか、ITツールの運用など事業全般のサポートを受けることになります。IT導入支援事業者が協力的であるかどうかも、ITツール選定・見積もり相談の際に確認しましょう。

参照:新規申請・手続きフロー(中小企業・小規模事業者等のみなさまの手続き) | IT導入補助金2023(後期事務局)

IT導入補助金はいくらもらえる?

IT導入補助金の上限額は事業ごとに異なりますが、最大3,000万円もらえます。今回の記事で紹介した「デジタル化基盤導入枠」では、最大350万となっています。補助金の詳細は、以下の表を確認してください。

枠名型名補助金の範囲
通常枠A類型5万~150万円
B類型150万~450万円
セキュリティ対策推進枠特記事項なし5万~100万円
デジタル化基盤導入枠デジタル化基盤導入類型PC:タブレット等:10万レジ・券売機等:20万ITツール:350万円
商流一括インボイス対応類型~350万円
複数社連携IT導入類型基盤導入経費※1・消費動向等分析経費※2:~3,000万円その他経費※3:~200万円

※1. 「会計・受発注・決済・EC」の機能を持つソフトウェア・オプション・役務・使用にい必要なハードウェアに係る費用

※2. 異業種間の連携や地域の人流分析・商取引等の面的なデジタル化に必要なソフトウェア・オプション・役務・ハードウェアの係る費用

※3. 参画事業者の取りまとめに必要な事務費、専門家費

参照:

IT導入補助金とは | IT導入補助金2023(後期事務局)

デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型) | IT導入補助金2023(後期事務局)

効果報告しないとどうなる?

補助を受けた事業が終了した後、事業者は事業実施の効果報告を行う義務があります。効果報告を期日までに行わない場合、補助金を返還しなければなりません。特別な事業で期日までに報告ができない場合は、その旨を速やかに事務局へ連絡してください。

参照:令和4年度第二次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規程 デジタル化基盤導入枠 (デジタル化基盤導入類型) サービス等生産性向上IT導入支援事 p.11~12

まとめ

会計ソフト「freee」は、会計に関するさまざまな業務を効率化・自動化できます。銀行口座やクレジットカードの明細と同期し、帳簿付けを簡単に行える他、タイムカードの集計や給与計算の転記作業も可能です。

会計業務の自動化により業務時間を半分以下に削減できた企業もあり、人件費などの運用費の削減にもつながった事例も複数あります。

ソフト導入時のコスト削減に利用できる補助金として「IT導入補助金」を紹介しました。ソフトの購入費はもちろん、クラウドサービスの導入費用などに対して最大4分の3の補助を受けられます。パソコンやタブレットといったハードウェアに対しても、最大10万円の補助が提供されます。

IT導入補助金は、脱炭素化に向けた取り組みにも利用可能です。補助金を活用して企業のデジタル化とともに、脱炭素化も効率的に進めましょう。

IT導入補助金【freee】に関する重要用語

項目説明
freee会計や人事労務など、さまざまな業務をサポートするクラウド型のソフトウェア。
デジタル基盤導入類型補助金中小企業や小規模事業者等の労働生産性を向上させつつ、インボイス制度の対応や企業のデジタル化を推進するITツール導入に交付される補助金のこと。
gBizIDIT導入補助金の申請に必要なID。
みらデジ中小企業や小規模事業者のデジタル化をサポートするポータルサイト。
SECURITY ACTION中小企業の情報セキュリティ対策を促す制度。

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。