脱炭素経営

IT導入補助金とは|デジタル化・AI導入補助金2026の要件とCO2排出量管理

タンソーマン 事務局・

この記事は2026年10月時点の情報です。「IT導入補助金」は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)として実施されています。補助額は申請枠によって異なり、通常枠では5万円以上450万円以下(補助率1/2以内)です。現在公表されている締切は6次締切分の2026年10月30日(金)17:00で、7次締切分以降の日程は事務局の事業スケジュールページで順次公表されます。

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する費用の一部を国が補助する制度です。本記事では、2026年度の制度の全体像、申請できる事業者と申請要件、申請枠ごとの補助額、申請の流れと注意点を解説します。あわせて、CO2排出量の把握・管理などの脱炭素の取り組みに、この補助金がどのように関わるかも整理します。

IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)とは

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入)等に対応するため、生産性向上に資するITツールの導入費用の一部を補助する制度です。公募要領では、ITツールを「ソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定義しています。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が補助を行い、事務局はTOPPAN株式会社が運営しています。申請者は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と共同事業体を組み、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールの中から導入するものを選んで申請します。

主な特徴

  • 製造業、建設業、小売業、サービス業のほか、医療法人、社会福祉法人、学校法人、NPO法人など幅広い事業者が対象です。
  • ソフトウェアの購入費だけでなく、クラウド利用料(最大2年分)や、導入設定・研修・保守サポートなどの役務の費用も補助対象になります。
  • 年度内に複数の締切回が設けられています。
  • 補助金は交付決定後にITツールを契約・導入・支払いし、実績報告を経て交付される後払いです。
  • 返済を前提とした融資ではありませんが、賃金引上げ計画が必須となる申請で目標が未達の場合や、効果報告を期間内に提出しなかった場合、ITツールを解約した場合などは、補助金の返還を求められることがあります。

申請できる事業者と申請要件

中小企業・小規模事業者等の定義

申請できるのは、次の規模に当てはまる中小企業・小規模事業者等です(インボイス枠の電子取引類型は大企業も対象)。

業種・組織形態 資本金・出資総額 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他の業種(上記以外) 3億円以下 300人以下
医療法人、社会福祉法人、学校法人 - 300人以下
商工会・都道府県商工会連合会、商工会議所 - 100人以下
中小企業団体、特別の法律によって設立された組合・連合会、一般・公益の財団法人・社団法人、特定非営利活動法人 - 主たる業種の従業員規模以下

会社と個人事業主は、資本金・出資総額または従業員数のいずれかを満たせば対象です。発行済株式の総数の2分の1以上を同一の大企業が所有している事業者などは、申請の対象外です。

通常枠の主な申請要件

  • 日本国内で法人登記され国内で事業を営む法人、または国内に補助事業の実施場所を有する個人であること
  • 交付申請の直近月において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること
  • GビズIDプライムを取得していること
  • IPAの「SECURITY ACTION」で「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言していること
  • 交付申請時に、申請者自身が管理する携帯電話番号を1つ登録すること
  • 国や中小機構等の他の補助金と重複する事業を補助対象に含まないこと
  • 労働生産性を1年後に3%以上、事業計画期間の年平均成長率で3%以上向上させる3年間の事業計画を策定し、実行すること(過去に通常枠等で交付決定を受けた事業者は4%以上)
  • 補助金申請額150万円以上の場合は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とする賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明していること
  • IT導入補助金2022~2025で交付決定を受けた事業者は、150万円未満の申請でも1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明していること

本補助金でいう労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」で計算します。保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業を行う事業者、学校などは、賃金引上げ計画の要件の適用外とされています。

IT導入支援事業者の確認方法

IT導入支援事業者とITツールは、事務局サイトの「IT導入支援事業者・ITツール検索」で確認できます。補助対象になるのは事務局に登録されたITツールだけです。登録のない事業者から補助金の利用を持ちかけられた場合や、自己負担額を減額・無償にする販売方法(キャッシュバックを含む)を提案された場合は、応じないようにしてください。こうした行為は補助金の目的に反するものとされ、交付決定の取消しの対象になります。

申請枠と補助額

申請枠 補助額 補助率 主な補助対象
通常枠 業務プロセス1つ以上:5万円以上150万円未満/4つ以上:150万円以上450万円以下 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション、役務
インボイス枠(インボイス対応類型) ソフトウェア等:1機能は50万円以下、2機能以上は350万円以下/PC・タブレット等:10万円以下/レジ・券売機等:20万円以下 ソフトウェア等:50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内/ハードウェア:1/2以内 インボイス制度に対応した会計・受発注・決済のソフトウェアと、その使用に資するハードウェア
インボイス枠(電子取引類型) 350万円以下 中小企業・小規模事業者等:2/3以内/大企業等:1/2以内 受注者に無償でアカウントを供与するインボイス対応の受発注ソフトのクラウド利用料
セキュリティ対策推進枠 5万円以上150万円以下 中小企業:1/2以内/小規模事業者:2/3以内 サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用料(最大2年分)
複数者連携デジタル化・AI導入枠 基盤導入経費と消費動向等分析経費をあわせて3,000万円以下、事務費・専門家費は200万円以下 基盤導入経費はインボイス対応類型と同様、それ以外は2/3以内 10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携して導入するITツール等

最低賃金近傍の事業者として通常枠の補助率2/3以内の適用を受けるには、一定期間に地域別最低賃金の近傍で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あることを示す必要があります。判定に用いる期間は、第6回公募までは令和6年10月~令和7年9月、第7回公募以降は令和7年10月~令和8年9月とされています。

補助対象となる業務プロセスとITツールの例

通常枠では、ITツールが持つ業務プロセスの数で補助額の区分が決まります。業務プロセスは、共通プロセス(顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務)、業種特化型プロセス、汎用プロセス(汎用・自動化・分析ツール)に分けられています。汎用プロセスだけのITツールは単独で申請できません。

  • OCR・RPA:手書きや印刷された帳票のデータ化、定型的な転記・集計作業の自動化
  • 財務会計:仕訳、財務三表の作成、経費精算、外部システムとの連携による仕訳の自動作成
  • 人事・労務:勤怠管理、シフト作成、給与計算、社会保険計算、年末調整計算
  • 顧客管理・営業支援:顧客情報と商談情報の共有、営業活動の可視化
  • 文書管理・ワークフロー:電子契約、申請・承認の電子化
  • 分析:BIツールによるデータの収集・分析・可視化

申請の流れとスケジュール

必要書類

区分 用途 必要な書類
法人 実在の証明 履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
事業実態の確認 税務署で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その1」または「その2」)
財務状況の確認 直近分の貸借対照表および損益計算書
個人事業主 本人の確認 運転免許証(有効期限内)、運転経歴証明書または住民票(発行から3カ月以内)
事業実態の確認 直近分の所得税の納税証明書(「その1」または「その2」)、税務署が受領した直近分の確定申告書の控え
財務状況の確認 所得税の青色申告決算書または収支内訳書

申請から効果報告までの流れ

  1. 制度を理解する:事務局ホームページ、交付規程、公募要領を読みます。
  2. IT導入支援事業者とITツールを選ぶ:商談・見積依頼を行います(契約はまだしません)。
  3. GビズIDプライムを取得し、SECURITY ACTIONを宣言する:いずれも全枠共通の申請要件です。
  4. 申請マイページを開設する:IT導入支援事業者からの招待を受けて申請者情報を入力します。
  5. 交付申請を作成・提出する:IT導入支援事業者が事業計画とITツール情報を入力し、申請者が確認・宣誓して提出します。
  6. 交付決定を受ける:結果は申請マイページで通知されます。
  7. ITツールを契約・導入し、代金を支払う:交付決定後に行います。支払いは原則として銀行振込またはクレジットカードの1回払いです。
  8. 実績報告を提出する:請求書、支払いの証憑、ITツールの利用を示す資料などを提出します。
  9. 補助金の交付を受ける:事務局が補助金の額を確定し、交付します。
  10. 効果報告を提出する:事業計画期間(3年間)について、生産性向上に係る数値とITツールの継続活用を示す書類を報告します。

2026年度のスケジュール

交付申請の受付は2026年3月30日に始まりました。現在公表されている日程は次のとおりです。

申請枠 締切日 交付決定日(予定) 事業実施期間(予定)
通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠(6次締切分) 2026年10月30日(金)17:00 2026年12月10日(木) 交付決定~2027年5月31日(月)17:00
複数者連携デジタル化・AI導入枠(3次締切分) 2026年10月30日(金)17:00 2026年12月10日(木) 交付決定~2027年5月31日(月)17:00

7次締切分以降を対象とする公募要領は2026年10月9日に公開されていますが、7次締切分の締切日は2026年10月23日時点で公表されていません。なお、IT導入補助金2023の最終締切は2024年1月29日で、受付は終了しています。

審査の加点項目と減点措置

通常枠の審査では、自社の経営課題を理解し具体的な問題意識を持っているか、改善すべきプロセスとITツールの機能が合っているか、セキュリティ対策を進めているかなどが確認されます。主な加点項目と減点措置は次のとおりです。

主な加点項目

  • クラウド製品、サイバーセキュリティお助け隊サービス、インボイス制度対応製品を選定している
  • デジタル化セカンドオピニオンの取組みを実施している
  • 賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明している
  • 「IT戦略ナビwith」または「IT経営サポートセンター」を利用している
  • 健康経営優良法人2026の認定、えるぼし・くるみん等の認定を受けている
  • 中小企業庁「成長加速マッチングサービス」に挑戦課題を登録している、中小機構「省力化ナビ」を活用している

主な減点措置

  • IT導入補助金2022~2025で交付決定を受けた事業者
  • デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠で申請中、または交付決定を受けた事業者(同一機能のITツールを導入する場合はさらに減点)
  • IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアとプロセスが重複する事業者(完全に一致する場合は不採択)
  • 過去に賃金引上げ計画で加点を受けて採択されたにもかかわらず、要件を達成できなかった事業者

CO2排出量の見える化と脱炭素への活用

脱炭素経営の第一歩は、自社の事業活動に伴うCO2排出量を把握することです。デジタル化・AI導入補助金は脱炭素を直接の目的とする制度ではありませんが、通常枠の公募要領では、製造業の業種特化型プロセスの機能の例として「CO2排出量管理」が挙げられています。建設・土木業の業種特化型プロセスには「省エネ性能(分析・評価)」が、共通プロセスには企業が持つデータを収集・分析・可視化するBI・分析ツールが含まれています。

ただし、CO2排出量の算定・可視化の機能を持つソフトウェアが補助対象になるかどうかは、そのソフトウェアがITツールとして事務局に登録されているか、どの業務プロセスで登録されているかによって決まります。導入を検討しているツールが登録されているかは、「IT導入支援事業者・ITツール検索」で確認するか、提供事業者に問い合わせてください。

このほか、請求書や給与明細などの電子化による用紙・印刷・郵送の削減、クラウドでの情報共有やオンライン会議による移動の削減など、業務のデジタル化そのものが資源やエネルギーの使用量を減らすことにもつながります。

よくある質問

2026年度のIT導入補助金はいつから申請できますか?

交付申請の受付は2026年3月30日に始まり、締切回ごとに審査が行われています。現在公表されている締切は6次締切分の2026年10月30日(金)17:00です。

補助額の上限はいくらですか?

通常枠は450万円、インボイス枠(インボイス対応類型)はソフトウェア等で350万円、インボイス枠(電子取引類型)は350万円、セキュリティ対策推進枠は150万円です。複数者連携デジタル化・AI導入枠は、基盤導入経費と消費動向等分析経費をあわせて3,000万円です。

補助額の下限はありますか?

通常枠とセキュリティ対策推進枠は5万円以上です。インボイス枠(インボイス対応類型)のITツールには下限が設けられていません。

まとめ

IT導入補助金は、2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として実施されており、幅広い業種の中小企業・小規模事業者等がソフトウェアやクラウドサービスの導入費用の補助を受けられます。申請にはGビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言が必要で、労働生産性の向上計画や、申請額・過去の利用状況に応じた賃金引上げ計画も求められます。CO2排出量の管理に使うソフトウェアも、ITツールとして登録され業務プロセスの要件を満たすものであれば対象になり得ます。申請を検討する場合は、最新の公募要領と事業スケジュールを確認し、早めに準備を進めましょう。

参考資料

著者のプロフィール

タンソーマン 事務局
株式会社タンソーマンGXのメディア編集長です!日々、脱炭素に関わる情報を発信しています♪

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